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転生先で最強の元奥さん達?が待っている。~これはハーレムと言って良いのだろうか?~  作者: ユウヒ シンジ
第5章 ラングトン大学 始動編
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入学Ⅶ

「それでは、これよりタクミ・カーヴェルの試験を開始致します! 双方、準備は宜しいですか?」


先生の確認の言葉に僕と会長は無言で頷く。


「タクミ君頑張ってね。」


小声でコーナル先生が応援の言葉を投げかけてくれ、ポンと背中を押された。

なんだか落ち着くなこれ。

カーリーが合格のお墨付きをもらったから、自分も合格しなければと気負ってたところがあったのか、今の先生の言葉で力が抜けた気がする。

僕は集中し魔素を練り、召喚陣を発動させる。

先ほどのカーリーの召喚陣より一回り小さい魔術式だが、先程より複雑でより光の波が強く現れていた。

そして、白狐のエルがその召喚陣から姿を現す。


「な!なんですか!その聖獣は!」


グランディール会長が物凄く驚いてる。

あれ?驚き方が尋常じゃないぞ?


「タクミさん!あなた何者なんです?! はっきり言って神獣様ですよ、そのお方は!」


その言葉に、ルゼもコーナル先生もこちらを見て青ざめてるよ。

少し離れたところにいるキーザ君は、あ、まだ落ち込んでてこっちに気づいてないけど、キルバ君はこっちをじっと見てるよ。


『エル、どうして会長はエルを神獣だって言ってるんだ? 隠蔽してるんじゃなかったのか?』


『はい、確かに隠蔽魔術は完璧に働いてますよ。』


『じゃあなんで、あんな驚き方してるんだ? 完全に解ってるよあの態度は。』


『もしかすると、あの方、あの歳で聖人格を持ってるんじゃないかと。』


『聖人格??何だそれは?』


『はい、タクミ様やカーリー様は神格を持っておられますが、これは普通人の身のこの歳で持つ事はありえません。全能神パデュロス様がタクミ様達への償いとしてと、それ以上にタクミ様達が次代の神候補として相応しい方とお認めになったが故の神格なんです。で、通常、人として神の存在に近づける者が最初に目覚めるのが聖人格なんです。』


『つまり、彼女は僕たちやエルに最も近い普通の人間で、その聖人格とやらのせいでエルの隠蔽魔術関係無しに神に近しいものと感じたと。』


『はい。』


『はいじゃないよ、どうすんの? それに、僕やカーリーの神格には気づいてないの?』


『判りませんが、多分タクミ様達の神格はまだ成長している最中ですので、感知されるほどでは現時点では、ないという事では?』


どうする?このままではエルの正体もばれるし、そうなると僕たちも何事もなく学校に通うなんて出来なくなるかも。

取り合えずここは、隠蔽工作しかないな。


「会長、この事は今騒ぎたてないでくれませんか?」


僕は周囲には聞こえないくらいの小声で会長に頼んでみた。

すると、さっきまで驚いていたのに、急に真顔になり小さく頷いてくれた。

え?了承してくれたって事かな?


「あーゴメンなさいね。急に大きい声出して。その聖獣があまりにも綺麗だったんでつい神獣みたいって思っちゃったんだ、てへ。」


頭をコツンと自分の拳で軽く叩いて、舌をチロっと出してるよ。

さっきまでの威厳は何処に行ったんですか?

って言うかそんなんで誤魔化される訳が、


「なあんや、そうやったんか。うち、びっくりしてしもうたやないですか。」


「私もびっくりしましたよ。神獣様なんてこの100年位で確認されたのは、世界でも数例しかないのですよ。本当に神獣様だったら大騒動になってますよ。」


二人ともあっさり認めてくれた。

もしかして余りの出来事に理解が及んでなくて、強制的に神獣ではないと思い込んだのかな?

それならそれで好都合なんで、これ以上は言わないでおこう。


「ありがとうございます。何とかごまかせたようです。」


「そう、ごまかせた、つまりその子は神獣って事で君は認めたのね?」


ああ!会長に嵌められてしまった。

結構したたかだぞ。


「それじゃあ後でゆっくり聞きたいから、入学式が終わったら付き合いなさいよ。」


これは断れないだろうな?


「判りました。で、試験どうしますか?」


「そんなの決まってるじゃない。タクミさんも合格に決まってるじゃない。」


また、戦いもせず合格出しちゃったよこの人。

どんな選考基準で決めてるのかちょっと興味が湧くな。


「会長、ちょっと聞いてみたいのですが、選考基準ってちゃんとあります?」


「失礼ねちゃんとあるに決まってるわよ!」


ちょっとふて腐れた顔をしてそっぽを向いた。

会長の性格ってどれが本当何だろう?


「私が、この学院生活で退屈しないでいられるかが基準よ。その点、あなた達は色々と隠し玉を持っていそうで楽しそうだからね。」


この会長、学校を私物かしてないか?

ちょっと心配なんだけど、取り合えず大学院への入学試験が無事終わったようだった。

僕と、カーリーそれとルゼは見事に大学院への飛び級試験に合格したようだ。


「先生、しれっと僕の後ろにまた隠れないで下さい。」


「えー良いじゃない、減るもんじゃないし。」


そういう問題じゃないんだけどな。

嬉しそうにしている先生を見てると、駄目とも言いきれないんだよね。

カーリーには後で甘い!て怒られたけど。

でも、これからの学校生活でもくっついて来る気じゃないだろうな?

一抹の不安を抱えながら入学式に向かう僕たちだった。

読んでいただいてありがとうございます。

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