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誤字脱字と
書き方の解りにくい箇所の
書き直しをしたいと思います
数日更新が
途絶えると思います
ご免なさい
(。>д<)
ラルフは戻ると直ぐフロルの手紙をマーズに渡した。
予想した通り、フロルからの手紙にはベルを許して欲しいとあった。
「知ったら書いてくると思ってましたが」
アランがマーズの後ろから読んで肩をすくめた。
「感情で行動するな、と話しても聞けないのはまだ子供なのか性格なのか、軍師には向かないかもですね」
「本来の軍師にしなくても情報把握の能力は使える。それには軍師の肩書きは便利だ」
マーズが言った。
ベルに関する手紙は、シド老人からもハンナからも着ているから知っている。
知っていて手を差し伸べなかった。
マーズが助けるのは容易い。
しかし、それは他国にフィアを攻める口実を与える事にもなる。
だから、城にベルを置いてきた。
ハンナが外されたのは予測外だったが、暮らせてるようだから指示は出してない。
仕事の合間に様子を見に行っている、とハンナは書いてきていた。
「俺はフィアの城で見たのが初めてだから、シド老人が言う痩せたがどれくらいか分からないが、俺から見てもヤバイくらい細いぞ」
「元々食事もまともに与えられていなかったので、15歳にしては小さいし細いしガリガリでしたよ」
ラルフにアランが返した。
「おどおどして、可哀想なくらいだった」
ラルフは思い出して初めて会った日の話をした。
「シド老人を訪ねてきてな、俺とルシルを見て固まっていた。シド老人がお茶と席を勧めたら、何と言うかな、絶望と言うか諦めと言うかふわりと笑ったんだ」
ラルフが気味悪そうに身震いした。
「笑ったんですか?」
アランがもしや、とマーズを見た。
「例えが悪いと思うが、こう目の前で扉を閉じられたような気がしたさ」
ラルフが思い出しながら話した。
まさかのお茶の時の再現かと、背筋が冷たくなる。
「マーズ」
アランが呼んでもマーズは書類から目を離さない。
「俺はベルの手を離した。今から差し出す手は無い」
マーズの態度から、アランはマーズが怒っているんだと感じていた。
おそらく怒っている事にマーズ本人気付いてない。
妹のように思っていた存在から、裏切られたと思っているんだろう。
それだけか?
アランはマーズを見て考えた。
そもそもあの日は初めから躓いていた。
あの日ハロルドにベルのエスコートを頼むと、シルビアに疑われるのは嫌だとベルの前で拒否られ、逆にハロルドから『アランがしなよ』と返された。
成り行きで当人の前で押し付け合う流れになり、しおれるベルに、今回の舞踏会はシルビアの社交界デビューなのでエスコートは肉親と決まっている、と話しハンナに付き添いを頼んで欲しいと伝えたが、ハンナは男性のエスコートに執着した。
ハンナとマサラの件が無ければベルは突然の急病で欠席で終わりだったが、今回は腹に据えかねていたハンナが引かなかった。
ハンナの提案で、急遽マーズに仮面を付けさせてエスコートさせたのだ。
今になって思えば、あれがきっかけに思える。
今のマーズの反応だけでは見極められないが、マーズが気にする事がもしかの可能性を感じさせた。
アランは頭の中にいくつかの道を思い浮かべる。
その中の1つ、たらればだがマーズの妻としてのベルは可もなく不可もなくだ。
一応は王女だから、他国への言い訳も必要ない。
姉のマリアに比べれば素直だから、必要な事は後から教育しても間に合うだろう。
浮浪児のようなベルを知っているだけに、是非にと薦める気持ちは無いが、十分対処はできる。
アランの中に、結婚しないよりは相手がベルでもして貰いたい気持ちがある。
それでマーズを生に結び付ける事が出来るなら、相手は誰でも目を瞑るとアランは決めていた。
幸いロナルドの所に男2人子供がいるから、ベルとの間に子供が産まれなくても跡継ぎの心配もない。
そこまで考えてから、マーズに次の書類を渡した。
3人で話していたら来客の知らせがあった。
ホールに降りると、グリフィアのアレスが数人の供を連れて立っていた。
アレスは剣のある目で降りてきたマーズを睨み付けてから、左右に誰かを探してるらしい。
「ここは第2王子マジェスティの城だと聞いたが」
「そうですが」
アランが一歩前に出て肯定した。
「マジェスティはどこに居る」
アレスのいきなりの言葉に、空気が殺気で膨らんだ。
あちこちからアレスに視線が突き刺さる。
が、アレスは少しも感じず不躾にマーズを見ていた。
「それがグリフィアの挨拶ですか。礼儀もわきまえないようですね」
アレスはアランに動じず言った。
「本当はマジェスティに会いに来たんだけど、マーズが居るなら先に片付けるよ」
アレスはマーズを名指しした。
アレスは気付いてないが、周りにいた城の者たちがポカンとアレスを見て、その後顔を背けて苦笑する。
アランのグリフィアの言葉がアレス重なり、兵たちは哀れむように見た。
アレスが連れて来た兵に食事を出し、アレスだけ応接間に通した。
「俺に話とは何だ」
「ベルの事だ」
マーズがお茶を飲んで聞き流した。
「ベルは後悔している」
マーズがそんな事か、と立ち上がろうとした。
「ベルはお前に付いて行きたかったんだぞ」
アランが呆れた顔でアレスを見た。
「もし売れ残れば娶ると言ったのは誰だ」
マーズの返事にアレスがハッとした顔をした。
「ここに居ても城に耳はある」
「ベルの扱いの悪さで、グリフィア本国への問い合わせも多数とか」
アランが冷たく見返し、目が合うとにこりとした。
「早くフィアの城に戻るべきでしょう。舞踏会から2ヶ月、待つのにも限界があります」
「待つってまさか」
アレスの口許がひくひくした。
「手土産がなければ国へ帰れない者もいる、と言う事でしょうね」
アレスの顔が歪んだ。
「その顔だと、グリフィアからの手紙をわざと受け取らなかったようですね」
「受け取らなかったのではない。行き違いになった」
アレスの顔が悔しそうに歪んだ。
「手紙の事は行き違いだ。それよりベルの話だ」
「話も何も、ベルはあなたの婚約者だとみんな思ってますよ。あなたが動かないとまた本国からお叱りを受けるんじゃないですか?」
アレスがグッと詰まった。
「最初に、まだ舞踏会のメンバーが居た時に、謝罪して婚約を白紙にしていればこんな騒ぎにはならずに済んだでしょうに」
「それは…」
「今からだと婚約を認めて、あなたの有責で婚約破棄に持っていくしか道はないですね」
アレスが何か言う前に、アランがとんとんと話を締めて切り上げた。
「今夜は泊めますが、急いだ方が良いですよ」
翌朝、悔しい思いでマーズの城を後にしたアレスは意地でも戻らず、フィアの城にやっと戻ったのは舞踏会から3か月経ってからだった。
ぎらぎらした視線の中に戻ったアレスは、ベルとの婚約を白紙にすると一方的に言った。
誰もそんな話を受け入れる筈もなく、アレスは更に状況を悪くした。
そんな頭の痛い状況の中、グリフィア本国も手をこまねいていた訳ではない。
それなのに、アレスの対応の不味さばかりが悪目立ちして、アレスだけが悪いような話ばかり流れた。
話の中で、フィアが後ろで糸を引いているとか、本当はフィアがわざとベルをアレスに近付けたとか、噂は勝手に飛び交った。
爆発する寸前の他国の王族から逃げるように、アレスは帰国を急いだ。
アレスがフィアの城から出るのと前後して、バルスがイファに進軍した。
イファの大臣がバルスに救援を求めた形で、一方的な戦争が開戦した。
戦争の大義名分は、マリアの虐殺からイファの国民を守るためとあった。
バルスに助けを求めたのが大臣とあって、バルスは自国の正当性を他国に触れ回った。
マーズの手元にこれを知らせる手紙が届いた時は、フィアの城にアレスは居なかった。
「故意ですか?」
アランが聞いてきた。
「違うな。知ってたらフィアの城に戻らないし、イファを通ってグリフィアへ帰らないだろう」
「確かに」
マーズは真剣な顔で手紙を読んでいた。
「他にも何か?」
「バルスの大臣とイファの大臣が影で組んでいたとしたら、イファの大臣の口封じに動くな」
王と皇太子を暗殺しようとした大臣が、自分の身を脅かす証人を生かしておくとは思えなかった。
「仲間をですか」
アランが驚いた声を出した。
それに構わずマーズが言った。
「バルスから、マリアとベルの引き渡しを要求する使者が来るはずだ。交渉にカインを城に向かわせろ」
「マーズが動いた方が速いですよ」
「俺はモルグを止めに行く。バルスの挑発に乗ってからでは遅いからな」
「カインをモルグに向かわせるべきです。アムロはカインを苦手にしてますから」
「俺が行けば事態は悪化する」
報告に、父王は悪化して正気を保てないとあった。
マーズを見て、見境無く敵意をむき出しにする。
狂気の時の父王には、マーズは息子の1人ではなく生意気な聖騎士の1人だった。
アランと話して、モルグにはカインを差し向け城にはハロルドを向かわせた。
カインがアムロに約束させた事は2つ。
相手の挑発に乗らず、親戚にあたるイファからのバルスの退去を求める事。
あくまでも非はバルスにあるとして、決してモルグから武力の行使はしない事。
可能な限り開戦は遅らせたい。
フィアにすれば収穫後が望ましいが、バルスが飢えているなら収穫を終えるまで待てないだろう。
予測した通り、バルスからマリアの引き渡しを希望する使者が来た。
ハロルドがロナルドに言う必要もなく、怒っている王は使者を怒鳴り付けて追い返した。
「やっぱりマーズが来なくて正解だったね」
「来ないってマーズが言ったのか?」
ハロルドにロナルドが聞いた。
「うん。自分が行って何かを言えば、父上は逆の行動をするから行かないって。ロディに任せるって」
ハロルドはマーズからの手紙を見せた。
ハロルドが言った事がもっと詳しく書いてあり、最後に『ロディ任せれば間違いない』とあった。
「私に任せれば…マーズが本当に」
ロナルドの顔に嬉しさと不安が同時に浮かんだ。
ハロルドの目に期待が浮かんで、ロナルドに気付かれないよう伏せられた。
使者の要求は、ハロルドからマーズに伝えられた。
ベルの名前が無いのに、誰も話題にしない。
フィアの判断で、最初使者の話はマリアに伏せられたが、マリアを嫌う者が悪意で耳に入れた。
聞かされて、マリアが黙っているはずもない。
狂ったように城中ベルを探し回った。
「ベルはどこっ!不幸は全部ベルが背負うのっ。昔からそう決まってるのよっ!」
見兼ねたハンナがベルを逃がそうとしてる所へ、ハロルドが遭遇した。
ハンナはベルをシド老人の所まで連れて行ってくれるようハロルドに頼んだ。
「婚約者がいる女性を連れて行くのは無理」
ハロルドがきっぱり言った。
ベルがビクンとハロルドを見た。
「今そんな事を言ってる時間は無いんです」
ハンナが言ってもハロルドはうんと言わない。
「侍女を着けます」
「侍女と逃げれば済むじゃん」
「もし見付かったら侍女では狂ったマリアさまからベルさまを守りきれません」
マリアの声が聞こえてきて、ハンナも必死だった。
「お願いしますから」
「後でシルビアから泣かれたら、ハンナに責任取って貰うからね」
横に控えてる侍女に目配せして、ハロルドが後ろを守る形でシド老人の家へ急いだ。
ベルとハロルドを見送って、見えなくなってからハンナはマリアの元へと急いだ。
「どうされたんですか?」
「ベルを探してるのよっ!」
「ベルベットさまですか?とうに修道院へ移られましたけど、ご存じ無かったんですか?」
ハンナは惚けて言った。
「修道院?」
マリアが探るようにハンナを見た。
「お前は?」
「メイド長をしておりますハンナと申します」
「何故修道院へ行ったの?」
「グリフィアのアレスさまの言動が二転三転なさいますのでベルベットさまの心痛も酷く、静養のため離れた修道院へお移りいただきました」
マリアはふふん、と鼻で笑ってハンナを見た。
「そう、それで修道院へね。それは丁度良いわ。罰で死ぬには格好の場所だものね」
機嫌が治ったのか、マリアは素直に戻って行った。
一方ベルは怯えた顔で後ろを振り返り、ハロルドに睨まれるを繰り返していた。
「後ろは僕が守るから、サクサク歩いて。僕が守るんじゃ信用できない?」
ベルの態度にムカついてるハロルドの声もきつい。
やっと辿り着いたシド老人の家にベルと届けると、不機嫌な顔で戻ろうとした。
「待てハロルド。フロルが会いたがっておったぞ」
「こっちへ着てるの?」
シド老人が奥の部屋を指した。
「会って行くが良い」
「今度ね。もし逃がしたハンナにとばっちりがいってたら助けなきゃ」
次の予告
取り巻きの1人に騙されて
マリアの城からの逃亡
の前にあれこれしてくれる
あれこれを上手く書けなければ
逃亡は1話ずれ込むかも
です
(;>_<;)