とら姫様に、願いを込めて!!
ひさまさお約束の、虎姫さま登場!?
『長浜ものがたり』 歴史探訪、虎姫編
『虎姫伝説』
あたらしい年も明け、世間も落ち着きを見せていた。
バレンタインのチョコは、郵送だった……。
とある日のことである。
ありていに言えば、春休みだ。
汎神タイガ~スの優勝を、祈願することになった。
ご多分に漏れず、『遠藤家』は、汎神ファンである。
そして、いつの間にか俺も汎神ファンになっていた。
(郷に入っては、郷に従えである)
ねねは、「ねね的には、強制しないよ。別にオリッ楠でもいいよ、最悪、仲日でもいいし」
と言っていた。
どこも近場である。
(多分、某球団だけは……絶対にダメだろうな。)
俺はまあ、もともと野球にそんなに興味が無いから良かった。
なんやかんや、応援していると情も移るし、のめり込んでしまう。
特に、夏場。
ホームグラウンド『甲子園』を、高校球児に取られてしまう汎神なのだ。
死のロード、アウェーばかりで正直可哀想だ。
しかし、負けても応援するのが、ファンの心意気である!!
なんとも、長浜の人に合っているな。
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虎姫は、隠れた 『タイガ~スの聖地』 である。
全国の市町村で、『虎』がつくのは、ここ虎姫だけである。
実りの季節になると、汎神応援の『田んぼアート』が、でかでかと勝利を祈願する。
新聞にまで取り上げられる、熱の入れようだ。
写真を見たが、確かによく出来ている。異常に芸が細かい。
ご丁寧にも、それを見るための櫓まで設置更されているらしい。
しかも、虎姫はおみくじの元祖の地でもあるらしい。
なんともはや、縁起のよいことだ。
たしかに、御利益がありそうだ。
というわけで、とある霊験あらたかな神社へとやってきた。
もちろん、汎神の優勝祈願のためである。
ふもとの広い駐車場に車を止め、山道を進む。
途中まで道路はあるが、ここは歩くのが正解だろう。
登ること、しばし。ようやくたどり着いた。
清冽なまでに神聖な空気をまとうお社がある。
「御利益ありそうだ」
汎神優勝を祈願した絵馬が、ところせましと沢山奉納されている。
多くの人が、訪れているのだろう。
「すごいな」
「すごいね」
今は、ねねと二人きりだ。
周りに人影はない。
なんだかドキドキするな。
二人並んでお参りする。
お賽銭を投げ入れ、二礼二拍手一礼だったかな。
とりあえず、ねねの真似をした。
ねね:「今年こそ、わが汎神タイガ~スが優勝できますように」
長政:「今年もねねと、楽しく過ごせる時間が出来ますように」
ふたりとも、声に出して願い事をする。
「ちょっと長政君、まじめにお参りしてよ」
「えっ」
(え、俺ハズしたの……ねねへのラブコール)
「トラ姫さまは、熱烈な汎神ファンよ」
「そんなバカな!!」
適当にこじつけた、『町おこし』 じゃなかったのか?
「勘弁してよ、もう~」
ねねは、大真面目に抗議してくる。
「ごめんごめん」
慌ててあやまった。とりあえず、ひとまず落ち着かせよう。
そんなやり取りをしているうちに、辺りに霧が出てきた。
それからのことは、覚えていない……。
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その年、ねねの願いの通り『汎神タイガ~ス』は、優勝した!!
残念ながら……。ねねは、汎神優勝を知るよしも無かった。
『長浜ものがたり』
~ ながはま:歴史と出会いが交差する町 ~
= 第一部.完 =
無事に戦国時代にタイムスリップいたしました。
『長浜ものがたり』
戦国時代へと、舞台が移ります。