ながはま:歴史と出会いが交差する町
皆様、はじめまして。山田ひさまさです。
お久しぶりの方は、ご無沙汰しております。
執筆活動を再開いたします。
転生モノではない、恋愛要素あり?の歴史小説です。
『長浜ものがたり』、どうぞお楽しみください。
『長浜ものがたり』
~ ながはま:歴史と出会いが交差する町 ~
≪大都会東京≫
地方であれば大きいといえるビルが、さらに巨大な摩天楼に見下ろされている。
天上に住まう者にとって、眼下に見える人間の行動など蟻の営みと等価なのではなかろうか。
人は己の持つ『いのちの時間』が有限である事を忘れ、愚かしくもひたすらルーティーンワークを繰り返している。
人の波で、ごった返す駅のホーム。
渋滞で車が溢れかえっている。
個人個人の小さなエゴのために、まるで進まない車の列。果たして道路といえるのだろうか。
東京の悪いイメージといえば、人が多すぎることであろう。
通勤時ともなれば、まるで地獄のようなラッシュが飽きることなく繰り返されている。
満員電車から吐き出される人、人、人。
人の波。
人は多いが、皆が無関心を装い心を閉ざし見知ら者同士が互いに身を寄せあっている。
まるで機械の部品のように……、整然と列に並び会社や学校へと向かう。
皆それぞれが、ネジや歯車になりきっているかのようだ。
「確かに電車のダイヤは正確だし、本数も多い。でもこの混雑はさすがにないんじゃないか!!」
とある駅のホームには、人ごみにうんざりする青年の姿があった。
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≪近江長浜≫
JR長浜駅から田村駅へと走る電車の車窓には、田園風景が広がっている。
春のうららかな陽気と咲き誇る桜。
そして、右手にはきらめく琵琶の湖
長浜駅を出た電車は、新春の近江路を南下して行く。
始発駅ゆえ、早めに乗車すればたいてい座れる。
運悪く席を確保出来なかったとしても、混雑にうんざりすることはまずない。
新快速ではあるが、のんびりとしたものである。
見えてくる長浜地方卸売市場と長浜ドーム。
田村駅に到着し、電車は人の集団をはき出す。
降車客には、バイオ大学や滋賀文教短期大学に通う生徒の姿がある。
その中には友達と談笑しながら歩く、新入生の初々しい姿も見受けられる。
無人の田村駅ではあるが、通学時間ともなるとそれなりに乗り降りがある。
電車の車掌(運転士)が安全確認とともに降車客を見送る。
出勤するサラリーマンであろうか……。
乗り遅れまいと慌てて駆け寄る背広姿の男をジッと待つ電車、運転士が指差し確認し再び走り出す。
(忙しない都会と、のんびりした長浜の対比を思い描いてください)
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とある日の光景(物語のプロローグ)
自動車学校に通う女生徒。
田舎に住む以上、自動車の運転免許は必修だ!
どこに行くにしても、車なしではいられない。
住むところによっては、コンビニだっていうほど地理的にコンビニ(便利)というわけじゃない。
そろりそろりと、教習所内をクルマが走っている。
教習は厳しい!
教官がまるで意地悪するみたいにブレーキを踏む。
それに合わせ、急停止するカラフルな教習車。
シートベルトをしているものの、思わぬ突然のブレーキで前のめりになる少女。
目の前には、黄色からようやく赤に変わった信号が……。
「遠藤さん、前を良く見てくださいね。予測行動心がけてね!」
教官がしたり顔で注意する。
「……はい」
少し頬を膨らませ、いささか不機嫌な遠藤さん(仮)。
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(場面は変わって遠藤さん(仮)が通う、とあるキャンパス)
「くぅ~あのクソ教官、腹立つわ~」
「ねねは少しばかり、”ぼ~っ”としているからね」
「由美子なんて可愛い子ブリッ子して、ノーミスで路上でしょ!」
ねねと呼ばれた娘は、納得がいかないとばかり、プクッと頬を膨らます。
(それにしても『可愛い子ブリッ子』とは、いささか表現が古い)
「あんたが要領悪いんでしょ。普段あんなに愛想が好いんだから、もっと教官に好かれるようにしたらイイのに」
「こっちがお金を払っているのよ、いわばお客なのに納得できな~い」
「あ~はいはい、補習もタダじゃないんだからガンバんなよ。ねね」
「う~」
「もー拗ねないの、お昼おごってあげるから」
「ホント、やったぁ~! 由美子大好き!!」
「その代わり、治部少さまの事もっと教えてね!」
「は~、由美子が歴史に興味をもってくれたかと思ったら。ゲームが原因だもんね」
少しばかりげんなりしました、というポーズをするねね。
同じ高校から同じ大学に入学した友達の由美子。
彼女は歴史にまるで興味がなかったんだけれど……。
数年前のある日の事
「三成さまが好きになった!」と言うから、歴史好き仲間が出来たと喜んだのに。
彼女は、歴史好きではなくゲームのキャラ好きだった……Orz
まあ元から2次3次問わず、面食いだったしね。
自由奔放で活発な由美子は、文化祭の時『三成のコスプレ』をしていたなぁ。
ヒゲまでつける女子高生は、そういないと思う。
おしゃれな喫茶店でランチをとりながら談笑する花の女子大生。
ひとりは私。
歴オタと云うか。
地元 『 長浜 』が大好きな、”遠藤ねね”
もう一人は……ある日”にわかオタク”になった、親友の”国友由美子”
とても気が合う二人である。
話なんていくらだって盛り上がれる。
「ゲームの世界もバカにできないわよ。
最近では(長浜の)街じゅうを”みつなりタクシー”が走っているんだから」
あ~、こないだ由美子に付き合わされたアレね。
もう一人の友達を含めた3人で『観音の里めぐり』をしたことを思い出す。
(想い出シーン)
タクシーで巡るには些か難儀したわ。
もうひとりの親友、小堀千里は、今年から長浜市の職員になったの。
市の広報の関係で、今『観音の里』をPRしているみたい。
そのせいか。
「ねねっ、長浜・高月の観音さまについて教えて~」
と、私に泣きついてきた。
「自転車をこぐのは嫌だから、車出してよ」
「ごめん、まだ免許取れてないや」
就職するのなら車の免許を早く取るように言っていたのに、3月生まれな事もあって間に合わなかったらしい。
「は~、仕方ないな。誰かに車を出してもらおうか」
「え~、それはご遠慮したいな」
千里は人見知りが激しい、職員なんて務まるのかな?
「なになに、私も混ぜて!」
由美子が面白そうと話に加わってきた。
「そんなのタクシー頼めばいいじゃん、3人で割り勘ならそんなにしないし」
そういうわけで木之本・高月方面をタクシーを頼んで、女3人で廻ったのだった……。
悪友由美子が加わったため、噂の『みつなりタクシー』で行くことになった。
まあ、いきなり初心者の運転というのも怖いし良かったと思う。
(でも、みつなりタクシーなのに観音めぐりなんかしてホント良かったのかしら。
運転手さんも最初、目が点になっていたよ。
車内は三成の話で盛り上がったから、私的にはとても面白かったけれど。)
先日、千里に会った時は。
「夏休みがある学生が羨まし~い」と、ぶ~垂れていた。
いざ就職してしまうと、まとまった時間を取るのがむずかしいらしい。
免許を取るのに貴重な有給を使ってしまったと聞いた。
ー 閑話休題 ー
私たちは、食後の紅茶を飲みながら話に花を咲かせた。
「早く免許が欲しいわぁ」
「それは同感!」
『卒業検定』や、『学科試験』
テストに悩まされる学生にとって試験がイヤなのは、みんな同じよね。
第1章はもうすでに書いてあるので、ご安心ください。
他の作品も、そのうち再開しますね。
おまたせして申し訳ございませんでした。