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「さっきから聞いてレバ、ワタシノ事を侮ってイルノカ?」
驚き、固まっているお父様にハンス兄様と、私。
「ワタシガ、気に入った、ニンゲンを、守れナイト、思うノカ?」
一句づつ区切られて話すシルフィ様はものすごく怒っているようで、シルフィ様の周りに風の渦ができ始めてきた。我に返ったお父様が慌ててシルフィ様をなだめ始めた。
「いえ、滅相もございません。ただただ、リリアンのことが心配だっただけで、聖霊様のことを決して侮っているわけではないのです。」
「・・・ソウカ?心配なダケナノカ?」
「はい。生きた心地がしませんでした。でも、リリアンが決して危険なことはしないと約束してくれましたし、こうして偉大な聖霊様がリリアンと契約していただいたおかげで、もう心配なことはないと思っております。」
こくこくと首を縦に振るハンス兄様と私を見たシルフィはすこし機嫌が直ったようで風の渦が消滅しました。
「ソウカ、ならばいいのだ。しかし、ワタシハ機嫌が悪いのだ。リリー、頭を撫でナサイ。さっきリリーがしたみたいのがイイ。」
「わかりましたわ。」
私に気を許してくれているのが嬉しくて、にこにこしながらシルフィ様の頭をそおっとなでなでしていたらお母様も私の部屋に戻ってきて、シルフィ様の紹介タイムになってしまいました。
「お前タチは、ワタシの人間の家族だから特別にシルフィと呼ぶコトを許してヤル。」
「よろしいのですか?」
「イイ。リ、リリーが喜ぶカラナ」
真っ赤になって可愛いことを言うシルフィ様に可愛いものに目がないお母様は大喜びです。
お互いの紹介をし、聖霊様の印のことと、シルフィのことは家族以外には内緒にしておく、という約束事を決め、みんなが部屋を出て行こうとした時、私はハンス兄様を呼び止めました。
「ハンス兄様、お聞きしたいことがあります。」
「なんだい?」
ベットの横に来てくれたハンス兄様と私に撫でられているシルフィ様に向かって、私は先ほどから疑問だったことを聞きました。
「先ほどからハンス兄様とシルフィが言っている、『オオキイ人間』や、『武骨な男』とは、どなたのことですの?」
おおよその予想は何となくですがついています。でも、やっぱりきちんと確かめたいわけで・・・。
「ああ、ジークリオンだよ。」
「やっぱり・・・。どうして、なんで、裏庭の池なんかにいらっしゃったのかが、よくわからないのですが?」
「ああ・・・。うん・・・。それは・・・。」
珍しく言葉を濁すハンス兄様。何か言いたいことがあるのかと待ちますが、ごにょごにょ口の中で話していてよく聞こえない。
こんにゃくとか、杉、とか、よくわからない単語が聞こえてくる。
なんなんですか!と、イラッとした時に、先にシルフィ様が怒った。
「ナンナノダ!ニンゲン!はっきりシロ!」
ものすごく局地的に起こった突風によって、ひっくり返ってしまったハンス兄様は起き上がってもごにょごにょしていて、更にシルフィ様を怒らせている。
おまけに、気弾のようなものをぽこぽこ当てられて、もうこれ以上は怪我をしてしまうと、シルフィ様をなだめているとハンス兄様がキッと顔をあげて叫んだ。
「これ以上は俺からは言えない!!本人に聞いてくれ~!!」
ちょっと涙目になっているハンス兄様を初めて見ました。
名前の間違いを修正しました。申し訳ありませんでした。