消さない記憶と消えない誓い
桜の花びらが舞う春の空。
俺たちは、共通してある場所に立っていた。
「もう一年か...アイツが死んでから...」
第一声を放ったのは俺の親友でもある亮平。彼女を心底好きだった、でもそれは俺も同じ。
「また来ちゃったな、ここに...」
「俺らが来なくて誰が来るんだよ。中学からの唯一の親友だろ? 俺たちは」
現在、高校生になった俺たちは、二年に上がってすぐ...親友で想い人を亡くした。今日は彼女の命日で、大きな桜の木があるこの公園は、俺たちがよく三人で集まっていた場所。
「...強さって、なんだろうな...」
「そんなの、俺に聞いたって分かるワケないだろ」
あの子はいつも何処か違うところを見ていて、最初は不思議に思ったが話してみると結構普通で、そんな彼女に俺は徐々に惹かれていった。
まさか、五年後にこんなことになるとは思ってもみなかったけど...。
「なんで...アイツが死ななきゃならないんだ...!」
「あの時の俺に、彼女を止められる自信は無かった...」
桜の木に手を当てて、目を瞑る。
「...どうか、安らかに...」
「......」
突如として彼女の死を知った時、俺は家の自室で読書をしていた。同時刻、亮平は部活動で弓道の練習をしていて、それを知らされた時はお互いに電話で話しながら急いで通ってる学校に向かった。
学校の屋上から飛び降りた彼女の靴は綺麗に整っていて、その下に遺書が置いてあった。
彼女の遺書には、〈二人に会えて良かった。でも、この世界に居るのは耐えられない。もう...私のことは探さないで......〉と書いてあった。
文面にある二人が誰のことであるかはすぐに察しがついた。でもだからこそ、俺たちは彼女の事を絶対に忘れない。
その誓いのために、ここに居るのだから...。
完