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光のもとでⅠ 第十章 なくした宝物  作者: 葉野りるは
サイドストーリー
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おまけ Side Akira 01話

 御園生はキャンパスみたいだ。もしくは真新しいノート。

 とにかく、「白い」というイメージ。

 どんな色を足しても、どんな言葉を書き込んでも、何にも染まらない。

 白といえば、ほかの色と調和するとか、ほかの色に負けるとか、そんなイメージしかないのに、御園生はそれらのイメージとイコールになることがない。

 何もかもを白く、無垢な状態に戻してしまう強さがあるように思える。

 時々、御園生にはそんな強さを感じる。

 あんなに細っこくて、どんなことにも臆病で、一歩踏み出したかと思うと二、三歩下がるような、そんな小動物みたいなやつなのに、時々小動物とは思えないような面を見せる。

 たとえば、目の前に飢えたライオンがいるのに平気で近寄っていって挨拶をしてくるような……。

 我ながら的を射たたとえだと思う。

 ほかに何かたとえるとしたら――。

 雪なんてどうだろう?

 一見したところ、ふわっとしていて包み込みたくなる。

 けど、手にした途端に水になって消える。

 あ、消えたらやばいか……。

 じゃぁ、雲なんてどうだろう?

 あれも真っ白でふわふわしているように見える。

 けど実際は――山へ行くとわかるけど、手に触れることはできるのに、それはすでに雲とは呼べない水蒸気の集り。

 その場に行くと霧というものへ変化している。

 掴めそうで掴めない。

 それもまずいかなぁ……。

 じゃぁ、羽毛は?

 うん、いいんじゃないかな?

 ふわふわしていてあたたかくて、手にも取れて……。

 でも、ポキっと折れそうで折れないのが御園生なんだよな……。

 あぁ、天使の翼くらいだったらそう簡単には折れないかもしれない。

 天使、か……。それはそれではまり役だからちょっと怖い。

 そのまま天国に直結していそうだから、これも取り消し。

 なんにせよ、御園生は白い。

 何度上から色を塗られても、きっとほかの色に交わって負けることがないくらいに白い。

 それが、御園生を見た俺のイメージ。

 御園生の色は白。最上級の白。

 誰も勝てそうにない感じの白――。

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