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FastStage:滅霊士  作者: ツアンサ
第壱章:滅霊士
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第肆話:飢餓者

霊魔No.2飢餓者がきしゃ常に空腹な霊魔

二階に通じる階段を登って行く洸騎と澪。

そして二人が見る二階の光景は!!


「……っ!!」

「……酷い事をしやがる!!」


洸騎と澪の視界に映った光景、其は正に地獄絵図…その物を表しているかの様だった。


何かに貫かれたのか全身から体液を流し出す男性。


焼け焦げた様な焼失が激しく性別不能な遺体。


酷く全身が裂け凍り付いている女性。


瘴気が漂うのは変わらないが、そんじょそこらに転がる遺体は瘴気の影響を受けないのか、はっきりと視界に映ってしまう。


「……悪趣味な野郎だ。人間を、地獄絵図に見立て殺しやがるなんてな」


忌々しいと、口に出す洸騎だが、


「……洸騎は何で地獄絵図に見立て殺してるって思うの?」


澪には分からなかったらしく、軽く首を傾け洸騎に問い掛ける。


「……あぁ其は、あの全身が裂け凍り付いている女性の遺体。其は、大紅蓮地獄を表しているんだ」

「………むー」


大紅蓮地獄と言われても、ピンと来ないし分からないと、言いたげな澪の表情に、洸騎は苦笑いしつつも説明を続けた。


「……大紅蓮地獄ってのは、全身が裂けて鮮血で真っ赤に凍り付く地獄なんだ」


だから、あの遺体も全身が裂けて鮮血=紅蓮に見立て殺されてるから見立て殺しだと推理した訳さ。


「だったら、かなりの頭が狂った霊魔って事ね。洸騎」

大紅蓮地獄を理解した澪は、真剣な表情を洸騎に向ける。


「あぁ間違いない。だから絶対に滅してやらねぇとな」


洸騎も一階の時以上に真剣な表情で澪を見て言う。


「そうだね!!絶対に私と洸騎で霊魔を滅してやるんだから」


お互い力強く頷き、この二階に潜むであろう霊魔に、戦意を燃やす。


「……うああっ…あぁ」


捜査を続ける中、呻き声の様な掠れた声が洸騎と澪の耳に聴こえた。


「気を付けろ…俺達の方に向かって来てる」

「えぇ、一階の時の様なミスは犯さないわ」


神乃矢霊符と銀狼を構え臨戦体制を取り声が近付く奥の通路を睨み付ける。


そして、

洸騎達と声の主を遮る扉が開かれた……。


「何か…喰わせろ。何か…喰わせろ」


扉の先から姿を現したのは、酷く痩せ細り頬が痩けた4〜5人の社員達だった。


「何か喰いたいの?だったら、此をどうぞ」


澪は現れた男女が、襲い掛かる気配を感じず小さな握り飯を差し出す。

(……地獄に見立てられてる殺しなんだ。この地獄は餓飢道)


「澪、待て!!そいつらから離れろ」


洸騎は、此処が地獄絵図に見立てられてる事を気付いていた。だから罠だと伝えようとした。


其は永遠に餓えに苦しむ地獄、


「この地獄は餓飢道!!餓えに苦しむ地獄なんだよ」


洸騎が声を必死に張上げる。

「えっ!!」

(そういえば、昔読んだ漫画に餓飢道ってあった!!)


叫びが届き、澪は罠だと気付いた。


「貴様の身体を喰わせろー!!」


だが気付いた瞬間に、霊魔の本性を露にした。

餓飢者が澪に喰らいつこうと襲ってきた。


「しまっ……!!」


咄嗟に銀狼を構えるが間に合わない。

目を瞑り、来るであろう肉を食い千切られる激痛を覚悟した。


「ぎゃええええ!!」


だが、悲鳴を上げたのは澪ではなかった。


「……あっ!!」


目を開けた澪の視線に映った…其は。


「あれは……神乃矢霊符…!!」


爆裂した霊符に顔を歪める餓飢者。


「……全く…罠に掛からないんじゃなかったのかよ」


呆れた様な声が澪の背後から掛けられる。そして爆裂する霊符を投げ放ってくれた人。


「洸騎!!」


澪は、ホッとした表情で、洸騎の名を呼んだ。


「澪、反撃と行こうぜ」


洸騎の不敵な笑みが澪の視界に映る。その笑みは反撃の証。


「えぇ、仕留めてみせる」


同じ様に不敵な笑みを洸騎に返し、餓飢者達から離れ洸騎の隣に下がる。


「うあ…ああぁ!!」


餓飢者達が、床を蹴り肉を食らうべく駆け出してくる。しかし、殆ど骨と皮だけの霊魔が駆け出した所で速さは変わらない。


「焼き尽くすは地獄の業火。爆炎轟け、魔を焼き尽くせ!!」


洸騎の高速詠唱が術を読み神乃矢霊符が、激しく燃え上がる。


「獄業火炎!!《ごくごうかえん》」


そして、投げ放つ霊符は、数匹の餓飢者に直撃する。


「がぁああああ!!」


激しき裁きの業火が噴き上がり、直撃した餓飢者を焼き尽くす!!。

断末魔を発しながら餓飢者達は塵も残らず焼き尽くされた。


「さて、残りは澪の番か」


神乃矢霊符をしまい、洸騎は、もう一人の戦闘を見届ける。


「バラバラに散ってしまいな!!斬裂弾ざんれつだん


銀狼から、避ける事は許さぬ銃弾が放たれる。


「ぐうっ!!只の銃弾で消せると思うな」

その銃弾は、餓飢者の胸に撃ち込まれ鮮血を噴き上げるが、餓飢者は死なない。


「どうかな…其は少し違うんだ」


澪は、餓飢者が駆け寄るにも関わらず冷静だった。


「減らず口を…っぐ!!」


餓飢者が歪んだ笑みを向けたと思った瞬間…


「さよなら、時間差発動なんだよ。斬裂弾はな」


そう吐き捨て洸騎の元に駆けていく澪の声は聞けはしなかっただろう。


何故なら、残りの餓飢者は、肉片と化してしまったのだから……。


「……エレベーターか。彼方から、御誘いの様だぜ」


仕留め駆け寄ってきた澪を視界に納めるなり、洸騎は不敵な笑みで澪に告げた。


「…えぇ、上等じゃないの。このビルでの戦闘に終止符を打たせて貰うわ」


彼方から誘って来るなら、受けて立つ迄の事だと、洸騎に言う澪を見て、


「そうだな、終止符を打たせて貰うぜ!!」


そう力強く言い、終止符を打つべく、最上階に導くエレベーターに二人は乗り込んだ。

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