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必殺断罪人  作者: 高柳 総一郎
羨望不要
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羨望不要(最終パート)








 ペンドラム家の屋敷は静まり返っていた。当然だ。あの世話係の老人も、住み込みと言うわけではないのだから、もう帰ってしまっているだろう。フィリュネはあらかじめタマコと打ち合わせたとおりに、彼女の部屋へとつながる窓の下へと移動し、そこから垂れているてぐすを引っ張った。にわかに部屋に明かりが灯る。裏口の扉が僅かに開き、タマコが警戒するように現れた。

「はやく入れ」

 ドモンの側からは、裏口の隙間に現れたタマコの姿を伺うことはできなかった。タマを強引に押し込みながら、フィリュネはドモンに礼を言う。

「旦那さん、ありがとうございました。これ、お礼です」

 フィリュネは気前よく金貨一枚に銀貨五枚を、にんまりと破顔するドモンに渡した。断罪の金だとしても大金なレベルだ。ドモンは袖口の隠しポケットに金を収納すると、うきうきとした気分で外へと出た。女同士の秘密の話、とやらがあるらしい。何を話すのかは知らないし、ドモンには関係のないことだ。

「ま、パジャマパーティーってわけじゃないでしょうが……」

 ファム・ファタール・ストリートは、閑静な住宅街だ。およそ夜中に出歩くものなど、一人もいない。ドモンは、ランプすら消えてしまった暗闇へと歩き出そうとした、その時であった!

「ドモン! そこでとまれ!」

 思わず後ろから呼びかけられたドモンは、ゆっくりと手を上げた。剣を抜こうと思えば抜けるが、声には聞き覚えがあった。

「動くんじゃないぞ、貴様。俺は今剣を抜いている。貴様も抜くならば抜け。切り捨ててやる」

「ラズロさん、後ろから剣で斬りつけるのは、剣士としてどうかと思いますがねえ」

「黙れ! ゲイル!」

 ゲイルがひょこひょこと前から現れ、ベルトで固定していた剣を外し、抱えた。何やら、妙に警戒されているらしい。

「いいか、ドモン。貴様も俺と同じ憲兵官吏。イヴァンの平和のため働きたいという気持ちは同じはず。……貴様、あの屋敷の者にいくら積まれた?」

 ドモンにはラズロの言うことがとんと理解できなかった。確かに金は積まれている。金貨一枚と銀貨五枚。しかし、そこまで目くじらを立てるようなことだろうか。わざわざイヴァンの平和を引き合いに出すようなことにも思われぬ。

「何の話ですか?」

「とぼけるんじゃない! 貴様、ペンドラム家の屋敷から出てきたろう。俺には分かっているぞ。貴様だろう、客待ち狩りの情報をバラしたのは!」

 全くもって何の話かさっぱり理解できない。弁明する余地も与えないまま、ラズロは得意気に持論を続けた。

「ペンドラム家から出てきたということは、絵図を書いたのはあの家の誰かだ。しかし、あの家には確か、ペンドラム家の末子しか住んでいない。ということは、その末子が絵を書いたのだろう。フフフ、どうだ。図星で声もでんか」

 ドモンは悩んだ。何せこのラズロの思い込みの激しさときたら、筋金入りだ。そのくせ、自分が優秀極まると信じて疑わぬのもたちが悪い。自分の考えだしたものは全て正しいし、自分が悪いものだと信じたらそれをとことん追い詰める。運だけはいいので、時折本当に正しかったりするのがまたタチの悪さに拍車をかけていた。

「や、確かに……客待ち狩りの情報が漏れてるな、って思ったのは分かりますがねえ。僕の担当地区ももぬけの空でしたから」

「ホラ見ろ! やはり貴様ではないか。前々から、貴様はいつかやらかすと思っていたのだ。団長に突き出し、裁きを受けさせてやるぞ。ゲイル、貴様はドモンを詰め所へ連れて行け」

 ゲイルははあ、と生返事をしてから、自らの素直な疑問を旦那に投げかけた。

「で、ラズロの旦那はどうなさるんで」

「馬鹿者。貴様も分かっていないな。ドモンがこのまましらばっくれるのならば、先ほどの女どもをとっ捕まえて吐かせるまでよ。どうせぐるに違いないのだからな」

 まずい。ドモンはさすがに焦り始めていた。自分一人捕まって、ラズロが恥をかいて済む、それならば良い。しかし、フィリュネやあの客待ちのタマが捕まれば、ラズロは嬉々として自分の持論を真実にすべく拷問を始めるだろう。フィリュネはともかくとして、タマはただの客待ちだ。拷問に負けて何を言い出すかわかったものではない。

「や、困りましたねえ……実は、あのお屋敷は」

「知っておる。帝国貴族ペンドラム家の別宅だろう。聞かれずとも分かっている。だから俺とて、慎重になっているのだ。たっぷり貴様とあの女どもに聞いてやる。安心しろ」

 一縷の望みは絶たれた。もはや、ここまで思い込みが激しいとなると、ドモンにはどうしようもない。ラズロに自分で気づいてもらうしかない。自分がどれだけ愚かなことをしようとしているか、自ら知ってもらう他方法は残されていないのだ。

「分かりましたよ、分かりました。こうなっちゃどうしようもありません。……ラズロさん、一つだけアドバイスを。聞いてもらえるかは分かりませんが」

 ラズロは不機嫌そうにこちらを睨めつけているが、それだけだった。どうやら、少しは話を聞く余地を残しているらしい。

「客待ちの方は、おそらくありゃ何も知りません。無視していいでしょう。ですが、フードを被った方。あっちは問題です。泳がせておくと、誰に話すか分かりませんからね」

 ラズロは鼻で笑うと、引き続きゲイルに連れて行くよう指示した。できることはした。後はなんとか、つなぎを取ってもらうまでだ。







「ご苦労だった」

 タマコは金貨五枚を震える手で取り出し、フィリュネへ渡した。動揺するのも無理は無い。確かに身代わりとなる人間を探してほしい、とは言ったが、ここまでとは思わなかったのだ。黄金色の瞳。多少くせがついているが、きちんとトリートメントを行い、けばけばしい化粧も落とせば、十分だろう。

「助かった。……今日はもういい。本当に、ご苦労だった」

 タマコは、それ以上フィリュネをその場に居させるような雰囲気を持っていなかった。そして、フィリュネはそうした彼女の機微を敏感に感じ取り、金を懐の財布にしまうと、静かに退出した。

「仕事って」

 タマはたまらず口を開いた。天蓋付きの巨大なベッド。柔らかなじゅうたんに足を踏み入れるたび、彼女は自分が来てはいけない場所へ来てしまったかのような恐怖を覚えた。そんな彼女の気持ちを知ってか知らずか、タマコはベッドの側に座り、タマに隣へ座るよう命じた。

「わたし……女とするのは、慣れてないよ」

 彼女たちは、黄金色の瞳でお互いを見つめた。良く似ている。ここまでよく似ていて、かくもここまで違う世界に生きているというのは、二人にとっても不思議でならなかった。

「ば、馬鹿を言うな。フン、よく似ている。声までそっくりだ……わたしにとっては、都合がいい」

 タマコは白い手を伸ばし、あまり手入れが行き届いていないのだろう、かさついたタマの手を引き、そのままベッドへ落とした。

「名前は」

「タマ」

「私は、タマコだ。ますます気に入らんな。お前もそうだろう。名前は一文字違いで、容姿はそっくり、境遇はまるで違ってしまっている。……客待ちとか言ったか」

「うん。男の人に、サービスしてる」

 タマはおずおずと言った。タマにとって女とは、似た境遇の人々でしかない。タマコの言葉はまるで、タマに金を払った後の横柄な男の態度を思わせ、気持ちが悪かった。

「サービス。フン。知っているさ、そのくらい。だが今はどうでもいい。お前に頼みたい仕事はな、そんなサービスじゃない」

 タマコはベッドから降り、クローゼットを押し開けた。色とりどりのドレス。タマにはわからぬが、パーティ用、外出用、普段着、冠婚葬祭用。様々な種類が用途に合わせそろっている。

「この服を着ろ。そして、この屋敷で暮らせ。今からお前は、私になる。私はお前になる。……しかし、そんな格好ではどうにもならんな。湯浴みをするぞ。従者が湯浴みをしてから寝ろとうるさいのに感謝したのは初めてだ」

 湯けむりの中、タマコはいつも自分がしていることをタマに指示しながら、自分の事について話した。これからは自分のことだから、よく覚えておけと。

 タマコは人生に飽いていた。今や母親はペンドラム家での地位を無くし、浮上はありえない。それまでの父親からの寵愛は一転し、母親は故郷で肩身の狭い思いをしていると聞く。タマコはまさに、天国から地獄を見たのだ。一流の教育、一流の食事、一流の衣服。それらはほとんど失われた。与えられたのは、こうして別宅の管理をしながらの幽閉生活という、何の夢も希望もない現実のみ。そしてそうした喪失は、タマコから生きる気力や何かをなそうとする気持ちすらも奪った。今や彼女は、従者のあの老人無くして、髪すら自分でとく気になれないのだ。

「このままでは、私は生きながらにして死ぬ。父上や、兄上や姉上達の思うがままだ。わたしは、それだけが許せない。だから、私は『誰か』になりたかった。どれだけ短い期間でも、構いはしなかった。そして、お前が来た」

 二人が湯浴みを終え、純白のバスローブを着ると、もはやどちらがタマコでどちらがタマか、見分けがつかなくなりつつあった。タマコはほくそ笑むと、タマの汚いドレスをひっつかむ。一瞬、きつい香水の臭いに顔をしかめるが、今はそうしている時間もおしかった。

「タマコ」

「違う。わたしはタマ。お前がタマコだ」

「本当に、わたしがタマコ? 貴族の、お嬢様」

 タマコはおぼろげに残る幼少期の記憶を引っ張りだしながら、自分に対してドレスを着せるという、なんとも奇妙な任務を完遂してのけた。そこには、紛れも無くタマコ・ペンドラムがいた。タマは、タマではなくなっていた。

「そうだ。私は客待ちのタマ。何も持たぬ自由なタマだ。少なくとも、当分はな」

 タマコは自室のデスクの鍵を開け、小遣いとして与えられた金貨を十枚ひっつかむ。これだけあれば、十分満足行くまで『外』で生活できるだろう。

「お前、財布を持っていないのか」

 タマは──いや、既にタマコと呼ぶべきだろう──は、ふと思い出す。憲兵官吏のドモンに、財布を盗られたままであることを。タマは行儀悪く舌打ちすると、そのまま内ポケットに金貨を滑りこませた。

「明日の朝、従者が来る。その前に、今夜中に立つつもりだ」

「で、でも……わたし、どうしたらいいの」

 当然の疑問だった。タマコになるのはいい。しかし、バレればただでは済まないことくらい、彼女にもよく理解できていた。寝た男から小金をかすめとるのとは、わけが違うのだ。しかし、タマはもはやタマコのことなど何も見ていなかった。

「大丈夫だ。もしバレても、わたしが帰ってきていない以上、どうしようもない。必ず戻るから、それまで身代わりをしているんだな」

 そう言うが早いが、タマはゆっくりと階段を降りていき、裏口の戸を開け、外に出た。何年ぶりか分からなかった。月明かりも乏しい、真っ暗な夜。鼻孔をくすぐる夜の薫りに、タマはむせ返りそうになる。裏門を開け、ゆっくりと通りへ出る。どのくらいの期間、そうしていられるかは分からぬ。しかし確実に、タマの人生は変わるだろう。







 翌日。従者の老人が上がってくるまで、タマコは全く眠れなかった。何しろふかふかだ。まるで女の上に乗っている……いやそれ以上の柔らかさだ。タマコには、ベッドの柔らかさを表現する力すら無かった。

「お嬢様、朝にございます」

 返事ができない。なんと返事をすれば良いのかも、分からない。

「お嬢様?」

「き、昨日、眠れなかったの」

 上ずりそうになった声を必死に抑えながら、タマコは決死の覚悟で返事をした。従者から返事は無い。沈黙。疑われているのでは。タマコはとにかく、心のうちでバレないよう祈ることしかできなかった。

「左様でございますか。では朝食は」

「いらない。何も食べたくない」

 まだ心臓はバクバク脈打っていたが、一度言ってしまえばなんということはなかった。そうだ。わたしは、タマコなのだ。それ以上でも、以下でもない。おそらく、昨日やってきたタマも、タマが受けた仕打ちも、みんなみんな夢だったのだ。そう考えると、タマコの口元は緩み、再び夢のようにやわらかな世界へ潜り込んだ。

 それは、日が高くなり、タマコがのそのそとベッドから這い出しても変わらなかった。従者の老人は優しげな男で、丁寧に髪をとき、服を着せ、程良い温度の焼きたてのパンケーキと紅茶が用意してある食堂へと案内してくれた。ナイフと、フォーク。どう使えばよいのかも分からぬ。しかし、わたしはタマコなのだ。使えるようにならなくては。

「今日は、その……一人で食べたい」

「これは失礼致しました。では、ごゆっくり……」

 ぎこちない様子でナイフとフォークを扱いながら、タマコはパンケーキを口へと運ぶ。甘い。これまで彼女が食べたどんなものよりも、幸せな味がする。食べたことがない味だ。

「こんな美味しいものを、毎日食べているなんて」

 タマコは驚愕し、ぎこちなく口へパンケーキを運び続けた。その内、その味に怒り、憎悪しさえした。あのタマは、全てに飽いたと言っていた。一方タマコは、こんな味がするものを食べたのは初めてであった。安っぽい、薄い甘さは感じたことはある。それとは全く別次元の甘み。

「わたしの人生って、なんだったんだろう」

 タマコは誰も居ない食堂でひとりごちる。たった半日しか過ぎていないのに、タマコの世界は劇的に変化した。夢の様な世界。いつしか見た、通りの向こうの世界に、タマコは確実に存在した。しかし、タマは言った。いつとは言わないが、必ず戻ると。戻ってくれば、どうなる。戻ってくれば、タマコはタマに戻らねばならぬ。掃き溜めのゴミの一部になり、いつ枯れ果てるとも分からぬ女を売り、脂ぎった男の肉の下で、天井で揺れるおぼろげなランプを見つめるのだ。

 それだけはいやだ。

 甘い紅茶を、一気に飲み干す。タマコは、タマコになりたくなっていた。タマに戻りたくなど無い。タマコは、空になった真っ白な皿とカップを見つめ、考えこんだ。







「そんで、どうなったんだ」

 ソニアは不機嫌そうに話を促した。目の前には、目の下に濃いクマを作ったドモンがいた。ラズロとゲイルの詰め所で、終わりのない堂々巡りの尋問をされたのだ。ゲイルに話を聞かれている時はまだマシだったのだが、何やら指示を受けて出て行ったゲイルの代わりに、ラズロが尋問を始めたのには参った。なにせ、自分で結論を出してそれを曲げることをしないのだ。結局朝を迎えても決定的な証拠が出てこないので、ドモンはようやく開放された。

「だから、僕はもう全然寝てないんですよ……。客待ち狩りの情報をバラしたってところから、ペンドラム家と組んで政権の転覆を狙ってるなんてとんでもない話にまで発展しましてね……」

 眠気からゆらゆら揺れるドモンの側で、フィリュネは申し訳無さそうに話を続けた。

「ソニアさん、旦那さんは悪くないんですよ。あのラズロとか言う憲兵官吏がいけないんです」

 ソニアは納得行かない様子でうーんと唸っていたが、聖書を頭に被せ昼寝をしていたイオがのそのそと起きだし、やはり不機嫌そうに言った。

「もういいだろォ、ったく。とにかく、その……ペンドラム家のタマコとか言ったか? お嬢様が満足して、嬢ちゃんと旦那が金をもらったんならいいじゃねェか」

「そういうことならいいがな。俺達の裏稼業がバレるような話じゃなければ、俺は文句はない」

 ソニアがそう締めくくり、この話は終わった。ドモンはまるで倒れこむようにベンチに背を預け、少しばかりの惰眠を貪ろうとした。

「……それにしても、フィリュネさんを追うように言ったのに、どうしてですかねえ」

 ぽつりつぶやいた言葉を、誰も聞いていなかった。






 帝国憲兵団拘置所内、尋問室。ここでは、憲兵官吏が必要とすれば、容疑者に対し尋問が許されている場所である。当然、精神的、肉体的に追い詰めるものだ。肉を叩く音が響く。白襦袢を着て、同じように白い肌を散らすのは、ダークブラウンの長髪の小柄な女。

「いい加減に吐かぬか。ん? ペンドラム家と、あの憲兵官吏のドモン。大方貴様とあの金髪の女が、つなぎを取っているのであろう! あの金髪を囮に、貴様を逃がそうとしたのが! 何よりの証拠よ!」

 ラズロは嗜虐心丸出しの薄汚い笑みを浮かべながら、タマの身体を乗馬用ムチで殴る! 肉が爆ぜ、白かった肌が赤くただれた!

「し、しらな……」

「旦那が喋れって言ってんだ! このアマ!」

 ゲイルが桶になみなみとついだ塩水を、タマに向かって浴びせる! もはや何度も刻まれた傷に染み込む塩水に、タマは声にもならぬ絶叫を上げる!

「強情なやつよな」

「旦那、しかし今回の事はかなり信憑性がありますぜ。俺はペンドラム家が客待ち狩りの情報を漏らすよう、ドモンの旦那に指示していたってえのが分かりませんでしたが、つなぎに女を使ってるんなら話がはええ。女を吐かせちまえばいいんですからね!」

 ゲイルは既に、ラズロの『陰謀論』を完全に信じきっていた。ラズロの執着心から来る妄執めいた飽くなき事件の説明は、完全な虚構をゲイルに信じさせるに至ったのだ! まさに嘘をつくなら最後までのことわざ通りである! もはや、なぜペンドラム家がそのようなことをしようとしたのか、分かっていない!

「違う……違うんだ……わたしは……わたしはペンドラム家の……タマコ・ペンドラムなんだ……」

 もはや美しかった顔は腫れ上がり、滴る塩水は涙と区別がつかなかった。しかし、『彼らにとっての真実』を手に入れたラズロ達にとっては、タマの語る真実はただの無視すべき嘘に相違ない!

「その言葉は聞き飽きたぜ、この……」

「待てい」

 再びゲイルが塩水を浴びせようと桶を持って構えるのを、意外にもラズロは止めた。彼はすこしばかり沈思默考した後、縛られ座らせられているタマの目線までしゃがみ、乗馬用のムチで腫れ上がった頬を持ち上げた。

「ふむ。貴様が、タマコ・ペンドラム。そう言うのだな?」

 タマは必死に頷いた。他にも何か、ぱくぱくと言おうとしているようだったが、衰弱しているのか声が出ていない。ラズロはにやりと笑うと、タマをそのままに、ゲイルを伴い尋問室を出た。笑みを含ませながら。

「どうしたんで、旦那?」

「貴様、ひとっ走りして、ペンドラム家の屋敷まで行って来い。確かあの家には、使用人……確かじじいだったか。一人居たはずだ。連れてきて面会させろ」






 タマコの心臓は、初めて自分でない者の名を呼ばれた時と同じように、バクバクと脈打っていた。始めは、従者の老人だけでいいから来るように言ったのを、彼に頼み込んだのだ。

「お嬢様、拘置所などにいく必要はございませぬのに。所詮はお嬢様の名を騙る偽物、私めが一目見て確認すれば、それで済む話でございます」

「私の偽物だと言うなら、私も見たい」

 タマコの尊大なしゃべり方は、既に彼女が戻る気などさらさらないことを表しているかのようだった。かび臭く、暗い通路をゲイルに案内される。通路に響く音が、徐々に大きくなる。いつだったか、自分のズボンのベルトを外し、殴ってきた男がいたことを思い出す。そうすると興奮するのだ、と息を弾ませながら。頭を振って、現実へと戻る。わたしはタマコだ。タマではない。

「おお、来たか」

 ラズロはジャケットの袖で汗を拭うと、従者に向き直ってから、こちらを見て驚いたようだった。無理もない。タマコ・ペンドラムが二人。少なくとも顔はほぼ同じなのだから、混乱するに違いない。

「ラズロの旦那。こちらがまぎれもなく本物の、タマコ・ペンドラム様にございます。タマコ様も、偽物の姿を見たいと仰せになりまして」

 ラズロは困惑しながらも頷く。ゲイルがランプを高く掲げると、湿った石造りの牢の中で、顔を腫れ上がらせたタマの姿が浮かび上がった。

「タマ……タマだな? 隣にいるのは、オースティン。迎えに……」

 か細い声が牢に響く。従者が暗闇の中で一瞬眉を潜めた。助けを求めるその声は。タマコにとって、憎悪を掻き立てる響きに他ならなかった。

「あれがわたしの偽物か」

 タマコは、ここ一番精一杯自分をタマコに仕立てると、かき消すような通る声でそう言った。

「汚らわしい。どうせ、苦し紛れにそう言ったのだろう」

「馬鹿な……馬鹿な! わたしが、タマコ・ペンドラムだ! そっちが偽物だ! 金で、身分を……」

「黙れ、この……売女が!」

 ラズロのムチが唸り、空を裂き、タマをしたたかに打ち据える!

「……ちょうどいい。タマコ様、あなたにどうしても聞かねばならんことがあります。客待ち狩りの情報を漏らした憲兵官吏がいます。ドモンという男です。帝国貴族の一員たるあなたにお聞きするのは恐縮ですが、昨日私は、あなたの屋敷からドモンが出てくるのを見ました。しかも、この女も……何か、ご存知ありませんかな」

 タマコは、帝国貴族という言葉に、何か全身にエネルギーを入れられたような気持ちになった。目の前に光が走り、昔の記憶が蘇る。昔、十歳になった頃、当時の仲間と一緒にまとめて、戯れを起こした貴族に抱かれたことがあった。あの男と、同じ貴族。事実を認識したタマコは、自然とその男の言動が口をついて出て行った。

「……では、お前はわたしがその憲兵官吏とぐるだと言いたいのか」

「そのようなことは申しておりませぬが」

「そう言っているように聞こえる。わたしには関係ないことだ。……行くぞ」

 タマコは踵を返して牢から離れる。それに続いて、従者の老人も。タマの声が空気を裂くが、タマコの耳には、もはやそよ風の吹く音ほど何も聞こえはしなかった。タマの口は暗闇の中で緩んだ。

 タマコは、タマコになった。








 翌日、ドモンが憲兵団本部にパトロールから戻ると、ちょうどラズロが上役のガイモンの執務室から出てくる途中であった。ラズロは昨日までの自身みなぎる表情とは打って変わって、少し落ち込んだ表情ではあった。ドモンに挨拶もせず通りすぎてゆく。

「なんでしょう、あれ」

「なんだ、ドモン。貴様もうパトロールから帰ってきたのか」

 ガイモンの不機嫌そうな声に、ドモンは一気に冷や汗をかく。ガイモンの評価は芳しくない。これ以上何か評価を下げるような真似だけは避けたいものだ。

「や、や。そんなことはありません。まったくもって。ええ。それより、あれ。ラズロさん、どうなさったんですか?」

「貴様にも関係あることだ。あやつ、客待ち狩りの情報漏洩があったとワシに言ってきよった。まあ、それ自体はワシも憂慮していることではある。貴様も含め、あの日も客待ち狩りは不発に終わったからな」

 ガイモンの鋭い視線が、まるでドモンを非難しているように光る。

「しかし、やつはあろうことか、帝国貴族のペンドラム家が関係していると言ってきよった。しかも犯人はお前だとな。さらに昨日、容疑者を捕らえ尋問した時に、わざわざペンドラム家末子のタマコ様を容疑者に接見させておる。おまけに、容疑者の客待ちも殺してしまいおって。早々に捜査をやめるように言ったが、ワシが止めねばどうなっておったか分からん」

「それはそれは。ラズロさんの思い込みにも困ったもんですねえ」

 ドモンはのんきに言う。これでラズロに付け狙われるようなことはないだろう。

「貴様より仕事ができる分マシと言うものよ。それに、仲間に疑われておるとは何事か! 貴様はたるんどるわ、バカモンが!」

 ガイモンはひと通り怒鳴り終えたようで、再び執務室へ戻ろうとした。だがドモンは安堵すると同時に、一つだけ解消すべき疑問を浮上させたのだった。

「あ、その、ガイモン様」

「なんだ! ワシは忙しいんだ」

「その、昨日死んだ客待ち。名前はなんと?」

「確か、タマとか言ったな。名前は良く似とるが。……それがどうかしたのか」

「いえ、別に」

 ドモンは嫌な予感がしていた。帝国貴族のタマコと、客待ちのタマ。フィリュネはタマコから身代わりを探せと言われ、タマを探したのだという。

「死んだのは、どっちなんでしょう?」









 その日、フィリュネが店を開けようと準備をしていると、見覚えのある老人がふらふらと歩いているのが見えた。ペンドラム家の従者の老人だ。青ざめた顔。時々、壁に手をつき、ゲーゲーと吐いている。

「おいおい、やめてほしいぜ。こっちはこれから店を開けるのに」

 ソニアが老人を見もせず言う。フィリュネは店を頼むと小さく言ってから、老人に駆け寄り肩を抱いた。もはや、老人は吐くものすら失ってしまったようだった。

「あの、ペンドラム家の方ですよね。どうしたんですか、こんなところで」

「お、おおお……あなたは、アクセサリー屋の」

 往来で介抱するにも、人目が多すぎる。咄嗟の判断で、フィリュネは老人を路地裏の影へと連れて行くと、座るよう促した。

「だ、大丈夫ですか? 何かあったんですか」

「わ、わたしは……お嬢様を……お嬢様を守れなかったのです」

「一体何の……」

「お嬢様があの家から出たがっておいでなのは、私も理解しておりました。あなたに何を頼んだのかも、分かっておりました。私は所詮家に仕える従者。お嬢様を見守るくらいしか能の無いじじい……。しかし……しかし。身代わりとなった偽物は、言われなき罪で捕まったお嬢様を……知らぬ存ぜぬと切り捨てたのです! お嬢様はあの憲兵官吏に何度もムチで打たれ……塩水を浴びせかけられ……無残な姿で……お亡くなりに!」

 フィリュネは全てを理解した。

 そして、自分の行いが、一人の少女の生命を奪ったことを、理解せざるをえなかった。

「そんな……あの、客待ちの子が……」

「お願いです……お願いです。あなたは、お嬢様の身代わりすら見つけてきて下さった。だから、このお金で……このお金で、お嬢様を殺した奴らに、報いを受けさせてやって頂きたい!」

 老人は、懐から震える手で金貨を出した。二枚。三枚。ぼろぼろとこぼれ、十枚になったそれを、フィリュネも同じく取りこぼしそうになりながら必死に拾い集めていた。そして、なんとか口を開くと、老人に尋ねた。

「一つだけ聞かせてください。なぜ、捕まったほうが本物だと?」

「私のような従者の名前を、お嬢様は呼んでくださった。私の名前は、もはやタマコお嬢様の他に知る人はおりません」

 老人はようやく全てを吐き出すことができた安堵からか、ぼろぼろと涙を流し始めた。しかし彼はそれを拭うと、一人の従者に戻り、すっくと立ち上がる。

「頼みましたよ……私は……屋敷に戻ります」

「しかし、もうタマコお嬢様は……」

「私は、ずっとペンドラム家にお仕えして参りました。それは、死ぬまで変わりません」

 先ほどまでの死にそうだった足取りが嘘のように、老人は歩いて行った。フィリュネには、彼の足取りを見守る他なかったのだった。






 夜。静まり返った薄暗いイオの教会に、四人は集まっていた。

「標的は、憲兵官吏のラズロ、駐屯兵のゲイル。そして、客待ちのタマ。金は、ここにあります」

 整然と並べられた金貨と銀貨。一人金貨二枚に銀貨五枚。久々に実入りのいい仕事だ。イオとソニアはいそいそと取り分を取り始める。フィリュネは取り分をまだ取らなかった。自分の行いが、全て裏目に出て、結果あのお嬢様は生命を落とした。外の世界を見ることも叶わず、屋敷より酷い拷問室の中に閉じ込められて。

「取らないんなら、僕が……」

 ドモンが手を伸ばそうとするのへ、フィリュネはぱちんとその手を叩き、自分の分をひっつかんだ。これは自分の恨みでもある。ケリをつけなければならない。

「タマは……わたしに殺らせてください」

「ずいぶん殺る気満々だなァ。気負うのも構わねェが……空回りした時に死ぬのは、自分なんだぜ、嬢ちゃん」

 イオはカソックコートの内ポケットに金貨をねじ込みながら茶化した。

「構わねえ。俺がフォローに入る。だが、一人でやれ。俺はまずい時にしか手を出さん」

 ソニアは、フィリュネの気持ちを少なくとも三人の中では一番正確に感じ取っていた。それが何よりもありがたかった。ドモンが取り分を袖口の中へ収納し終えると、それぞれが薄暗い教会の聖堂から去っていく。最後にフィリュネがろうそくについた火を吹き消し、教会は完全な暗闇に落ちた。








 ファム・ファタール・ストリートのパトロールを終えた二人は、詰め所へと戻り、休憩に入っていた。ラズロはゲイルの入れた薄いコーヒーを飲みながら、ブツブツと恨み言を紡ぐ。ガイモンに叱責されたのが、気に入らないのだ。

「クソ……なぜだ。やはり、ガイモン様もペンドラム家に金を掴まされているのか……」

「旦那。もうよしましょうや。ガイモン様に睨まれちゃ、仕事に差し障りが出まさあ」

 なおもブツブツとなにやら恨み言を続けているラズロを見かね、ゲイルはたまらず外に出る。懐から紙巻タバコのセットを取り出し、巻紙をべろっと舐めてくるくる巻く。携帯火種を取り出そうと、懐をまさぐるが、出てこない。

「なんなんだ、クソ……」

 その時であった。横から、おぼろげな光がゲイルの目に入った。ランプを掲げた男が二人連れだって歩いてくる。一人はゲイルも見覚えのある男だった。

「や、どうもどうも。夜遅く大変ですねえ」

「これは……ドモンの旦那」

 ゲイルにとっても、今ドモンに会うのは複雑な気分だった。何せ、自分が旦那と仰ぐラズロが、一方的に悪党だと決めつけているのだから。ゲイルもその言葉を信じただけあって、顔を合わせるのは気まずかった。

「先だっては無礼な真似を……」

「や、いいんですよ、そんなの。……それより、近くを通りすがったら怪しいやつを捕まえましてね。ラズロさんにも少し手伝っていただきたかったんです」

「それはそれは」

 ドモンがランプを掲げると、その男の顔が暗闇に浮かび上がった。ゲイルはその男の顔を見て、ぞっとした。まばたきをしていない、無表情な顔。作り物のような美しい男だ。男は、手にロザリオを持っており、なにやらいじっている。その度に、空気が破裂するようなおかしな音がするのだった。

「……神父様ですかい?」

「その通りです。イオと申します。ドモンの旦那が私の事を信じていただけないので、ラズロの旦那に間に立ってもらおうかと……。私がやっている商売が気に入らんと仰るんですよ」

「へえ、商売を。一体、何をおやりになるんで?」

「……人殺しだよォ」

 ばきり。三回転目。イオはロザリオを天高く掲げ、先をゲイルの眉間に突き立てる! その途端、中のぜんまいが回転し、ロザリオから針が突き出し、ゲイルの頭にねじ込まれる! ゲイルは全身を痙攣させると、後ろへ倒れ、そのまま死んだ。

「どうした! 何かあったのか」

 ラズロの声が中から響く。イオは示し合わせたとおりにそのまま歩き去る。ドモンはそれを見届けてから、中に向かって声をかけた!

「ラズロさん! ラズロさん! 大変です、人殺しが!」

 勢い良く扉を開け、ラズロが飛び出してくる! 彼の視界には、既に事切れ死体となったゲイルの姿が! 長年の相棒の変わり果てた姿に、思わずラズロはしゃがみ込み、彼の身体を揺らすも返事はない!

「ラズロさん。申し訳ございません。一瞬のことで、僕にはなんとも」

「くそ……なんということだ! ドモン! どっちへ行った、その人殺しは!」

 ドモンは、ゆっくりと音も無く剣を抜く。逆手に持った剣を、そのままラズロの背中に突き立てた! 苦悶の表情を浮かべ、振り返ったラズロに、トドメとしてさらに深く刃を刺し込む!

「人殺しは……あんただよ」

 そのまま動かなくなったラズロの背中に足をかけ、ドモンは剣を抜く。血を振って、刃の血をラズロの袖で拭うと、ドモンは剣を収めながら、夜の街へ消えた。








 とうとう従者の男は帰ってこなかった。

 タマコはそれだけが少し気になったが、もはやどうでも良かった。タマコの机の引き出しには、金貨がなんと二十枚も入っていた。タマコにとっては、それだけだとしてもとんでもない大金だ。従者の一人や二人、雇えるだろう。自分はこの屋敷の主であり、もはや恐れるものなどなにもないのだから。

「フフ……フフッ……フフフ」

 思わず、笑みが漏れる。今まで浮かべたことのない、充実感、安心感からくる笑み。タマコは一生を約束されたのだ。ふわふわのベッドに身を投げ出し、大声を出して笑った。客待ちなどやっていたのが嘘のようだった。

 ひとしきり笑うと、裏口側の窓を叩くものがあることに気づいた。そういえばこの屋敷にドモンと一緒に来た時、フィリュネという女がそれで合図をしていた。窓から下を覗くと、フードを被った小柄な影が見える。

 厄介なことになった。

 しかし、この屋敷には一人しかいない。こうしてランプをつけている以上、誰かが出ないのも怪しまれるだろう。タマコは慎重に階段を降り、裏口の戸を開ける。フード付きマント。首元に銀のブローチで止めた赤いスカーフ。金色の前髪が覗いている。

「タマコ様」

「お前は、フィリュネとか言ったか」

 タマコは後ろ手に、食堂から持ってきた包丁を握っていた。金と地位は、何でも可能にする。おぼろげな全能感は、タマコに殺人すら決意させていた。

「ええ。……実は、ドモンの旦那から、落とし物をあずかりまして。返したいけど時間が無いそうなので、代わりに返しに」

「このような夜更けにか。……何を返しに来たんだ」

 フィリュネは、懐から小汚い財布を出し、差し出した。タマコには、見覚えのある財布だ。これは、タマが持っていた財布。タマだった時のものだ。

「こ、こんな財布は知らない……」

 裏口の扉を閉めようとするタマコ! 足を差し込み、扉をこじ開けようとするフィリュネ!

「よおく見て下さいよ。タマコ様からも、言われてるんですよ。タマに返してやってくれってね」

 タマは後ろ手に構えた包丁を闇雲に突き出す! フィリュネのフードが少し裂け、フィリュネの顔が顕になった! 彼女の手元には、包帯でぐるぐる巻きに固定したナイフ! 必殺の構えだ!

「くそ……わたしが、タマコだ! そんな薄汚い財布も、タマなどという女も、知るものかよ!」

 屋敷の中で、刃を構え合う女二人。タマが地面を蹴り、刃を横へ、縦へ薙ぐ! フィリュネは冷静に、それを見ていた。必死だが、必殺ではない。人が人を殺すためには、覚悟がいる。それは、一瞬で身につくものではない! フィリュネは、構えた刃を腹に据えると、タマの刃をもろともせず、懐に飛び込む!

「馬鹿め、死ね!」

 同じくタマが包丁を構え、突き出したその時! 高らかに銃声が鳴り響き、タマの包丁の刃が砕け散る! 直後、フィリュネの刃がタマの胸を深々と刺し貫いた! そのまま押し倒されるタマ! 血が溢れ、意識が混濁してゆく!

「わたしは……わたしは……お嬢様……タマ……コ……」

 フィリュネが刃を抜くと同時に、タマの傷口から血が溢れ、その場に血溜まりを作っていった。フィリュネはそこに財布を投げ込むと、既に中に侵入していたソニアと連れ立って、屋敷を出るのだった。






 朝もやの中を、その男は歩いていた。

 老人は、屋敷の正門前にたどり着くと、片膝をついた。

「今まで、ありがとうございました。私は、お嬢様をお守りすることはできませなんだ。死を持って、忠を尽くしとうございまする」

 そう言うと、老人は懐からナイフを取り出し首に当て刃を引いた。老人はその場に倒れ、血溜まりを作っていった。その光景が意味するのは一体何なのか、真実をうかがい知るものは誰もいなかった。




羨望不要 終

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