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ハイフン  作者: 高夏 浮斗
第一章⑪
35/51

マラソン、なんて嫌な響きだ

「ううぅ。」

まぁ、五教科全勝してしまった訳だが、

その代わり槇の機嫌が悪くて悪くて、

まぁ槇も全教科80点を超えていて十分と言えば十分で

というか普通に点数は良い。

だがこの世界での勉強はなんかこう、簡単なのだ。

というか一年ほど遅れている。

だから俺は中学三年の復習を一年かけてしているようなものなのだ。

と言う事でテストで高得点を取る事は容易い、と言うか余裕だ。

なので今、槇の機嫌が悪い上に梓沙はまぁあれである。


「まぁそう落ち込むなよ」

「勝ったからそういう事を言えるんだ!」

「まぁそうだけどさ」

「悔しい・・・」

「良いじゃん!梓沙には勝ったんだし。」

「全然嬉しくない!」

「え・・・」

「まぁ、梓沙だしな」

「えぇ?・・・」

「そうよ!梓沙に負けるわけないじゃん!」

「えええええ!!!」

「悪かった。謝る」

「うわーん!」

「仕方ないわね、次こそ勝つんだから!」

「おう!」

「・・・そういえば梓沙は?」

「何処行ったんだろ?」

『ま、いいか。』





この時間は体育、俺らが最も嫌いとする教科だ。

別に運動が嫌いなわけではない。

むしろ好きなのだが、

この世界での体育は前の世界ほど軽い物ではなかった。

「ぎゃああああぁぁぁぁぁあああ」

俺たちは逃げ回る。

今日の体育の授業内容は簡単に言えば持久走だ。

だが、一度足を止めるとその時点で失格。

上位になればなるほどお仕置きが軽くなり

1~10位はお仕置き(腹筋×500等)がなくなる。

因みに最下位のお仕置きは腹筋、背筋、腕立て、300回づつである。

そしてこの持久走。素晴らしい事に魔法で相手を蹴落とす事が許される。

なので俺らは後ろから飛んでくる魔法を避け、追い抜きざまに放って来る魔法を避け、

精いっぱいなのである。

なぜここまで狙われるのかと言うと教室での槇との会話に原因があったのだろう。

「次の体育持久走だって~」

「持久走?じゃあ俺ら余裕だわ。」

「なんで?」

「だって俺ら歩くだけでお前らと同じくらいのスピード出るしな」

「それはせこいな~!」

「残念だったな!俺らのどっちかが一位だ」

「因みに魔法で蹴落とすのありだけどね」

「まじで?」

「割とマジ」


というかなんであいつらあんなたわいもない話聞いてるんだよ。

お前らと喋ってたわけじゃないんだけど!

男連中はまだわかる。

槇は確かに若干ウザいにしろ可愛いし、

梓沙はまぁ、あれだし。

俺らも多分クラスの可愛い奴が他の男と喋ってたら会話が気になるからな、

でも女連中なんなの?

百合なの?まさかの百合なの?

そう思うと後ろから『よくも梓沙ちゃんを泣かせたわね!』というオーラを感じなくもない。

いや感じないけどな?殺意しか。

どっちにせよヤバいのだ。全員敵。

味方は自分だけ、(まぁ隼は自分だし)

どうしたものかと考えていると後ろからたくさん魔法が飛んでくる。

俺らはなんとか避けるも次の魔法が飛んでくる。

避ける、飛んでくる、避ける、飛んで・・・・

どれほど続いただろう、後10分で終了だ。

なにの周年だか知らないがまだ誰一人と脱落していない。

このマラソンは時間制。

どれだけ走ろうが一番に脱落すると腹筋背筋腕立て300回なのだ。

後10分で脱落者無し、これが意味するものは『もしかすると誰一人お仕置きを受けないかもしれない』と言う事だ。

「後十分だぞ!俺ら狙ってる暇あったら走れよ!」

俺はあいつらの目的を『1位を落とす』ではなく『最下位にならない』に変更した・・・つもりだった。

だがこの馬鹿野郎共だった。

全然動じない。

「あいつの言う事なんて無視しろ!」

『おぉ!』

何なの?あいつら真性の、いや神性の馬鹿なの?あぁ、馬鹿だ、本当に馬鹿だこいつら。

魔法は体力を使う。

あれだけの魔法を使った今じゃ走り切る体力すら殆ど残っていないに違いない。

なのに魔法を使ってくる。

そして俺らも限界だ。避けながら走るのはしんどい。

後5分、後は体力勝負になるだろう。

あいつらの体力が尽きるか俺らの体力が尽きるか、

ただ、それだけだ。

残り1分、あいつらは最後の攻撃を仕掛けてくる。

後1分なんだから大人しく走っていて欲しいものだ。

だが、お構いなしに放って来る。

魔法の雨だ。

まずとてつもない逆風が巻き起こり俺たちの速度を下げる。

因みにこの逆風なのだが、この世界の奴に向かって撃ったら確実に吹き飛ばされるレベルだ。

そんな風に向かって俺らは走る羽目になる。

こいつらマジでしつこい。

体力を消耗させる気だ、そしてグラウンドがぬかるみ始める。

水魔法だ、こいつらやる時はとことんやるな。

常人には走れないであろう道(?)を俺らは走る。それはもう必死にだ。

そして後10秒、俺らがよろけながら走っているにもかかわらず

雷と火属性の奴らが本気の魔法を一斉に発射してきた。

俺らはもう精一杯だった。

「これ、冗談抜きで・・・」

「ヤバくないか?」

俺達に向かって本当に死ぬのではないかという強大な魔法が飛んでくる。

その時、俺の頭の中に何やら模様が思い浮かぶ。

いや思い浮かぶと言うよりは無理やり押し込まれるといった感じだ。

二重の円、その中に何やら幾何学的な模様と文字、

ハッとする。これは魔法陣だ。

隼もハッとした顔つきで何やらしようとしている、

俺は考えても仕方ないのでその魔法陣を出現させるようなイメージで魔力を振り絞った。

そして俺たちは魔法の海に飲み込まれた。



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