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ハイフン  作者: 高夏 浮斗
紅蒼編 第一章①
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クローン?え、あぁ僕です

隼は内心焦っていた。一が人を撃ったのではないかと、そんなことするはずがないとわかっていても心配になる。

この辺で拳銃なんてもの持っているのは一くらいだし、昔1度だけだが一は生身の人間を撃ったことがある。

そのときその弾は狙われたまま一の親父の太腿を綺麗に打ち抜いた。

あの時の一は狂気的になっていたな、俺が初めて一に会った日のことだった。

一は否定していたが、きっと俺の存在が許せなくて一は家を飛び出したのだろう、

それを追おうとして走ってきた親の足をきれいに弾丸が貫いているのをこの目でしっかりと見た。


 そんなことがあった手前一がいるであろう方向から銃声が聞こえてきたのだからたまったものではない。

一はまた何かに憤怒しているのであろうか、それとも誤射なのか、

後者の可能性が限りなく0に近いのは分かっている。

一がそんなミスを犯すわけがない、頭では分かっていてもついつい期待してしまう。

人間の脳は馬鹿だ。


 「この辺りか・・・」大通りに出る。

ここで隼は少し疑問に思う。一は大通り嫌いなはずなんだが・・・と。

そんなことを考えていても仕方がない。とりあえず周りを見渡す・・・と、

「居た!」一がいた。そしてその周りを見渡す。他に人は居ないようだ、良かった、

その時疑問がよぎる。

・・・じゃあなぜ一は拳銃を使ったのか・・・だ。

思考が違和感に気付くのが遅かったようだ、一に向かって何かが、‘黒い何か’がぶつかった。



 

 俺は撃った。練習用ボード以外に向けて銃を撃ったのは久方ぶりだ。

・・・あの日以来だな、と一はあの時のことを思い出す、父親に憤怒感を抱き銃を向けた時のことをだ・・・

あの日は今日と違って雨が降ってたか・・・俺の前に俺が、いや一が突然現れて俺に向かって言った

「僕の名前は一二三 一ですまぁ貴方も一二三 一だと思いますが、」・・・意味が解らなかった、というか意味を解ろうとする

必要性を感じなかったという感じか。

?マークが100の100乗な俺に向かって、俺、いや一二三一はさらに言った。

「実験は失敗したようなのでご挨拶に来ました。とは言っても実験なんて俺も10時間ほど前に知ったばっかりですけどね・・・。」なぜか俺じゃない一が怒っている。俺の親を睨みながら。

おいおいどういうことですか?と尋ねる事が出来る空気では無かったが、取り敢えず一は聞いた、

「実験ってなんだよ親父」・・・と。俺はなぜか俺がもう一人いることよりも実験の事を、

もう一人の俺に向かってではなく親父に向かって質問していた。

なぜかって?そんなの知らねぇな俺の脳ミソに聞いてくれ。それについて親父が答えた。悪びれもせずにだ。

「その子はお前のクローンだ」思考停止ってのはまさにこんな状態のことを言うんだろ、

でもやっぱり?って感じがあった、双子ってことはなさそうだったし何より名前が全く同じというのはおかしいからな、親父は続ける、

「実験というのは全く同じDNA細胞を持ったものが全く同じ生活を送ると全く同じ思考回路の人間が出来るかどうかという実験のことだ。そしてその実験は失敗に終わったようだ。」

はぁ?何言っちゃってんのこいつ中二か?中二なのか?

「こいつはお前が受精卵状態のときにDNA検査しそれをもとに作られた受精卵でできたお前と全く同じ人間で、とある大学からお願いされたからな。仕方なく「違いますよね?」一が遮った。

「貴方はそのDNAマップを提供する代わりに一君の生活費を全て出してもらうという条件で、貴方からこの会話を持ちかけたと聞いているのですが」

一がそういったところで俺は感じた、この親は屑だ、隼が言ったことはほぼ確実に真実だろう。俺のDNAだ。こういうときに嘘は吐かないはずだ。

俺は思った、この親とは一緒には居られない、と。吐き気すら催してくる。

「一!着いて来い!」そう言いながら俺は玄関まで歩き、ドアをわざわざ蹴破って(このときは本当に足が折れるかと思った)出て行く。

一が小走りで着いて来ている。何処へ行こう、

悩んでいると親父が「おいまて!お前にはまだ実験の続きが・・・」と追ってくる。

嗚呼、こいつはもうだめだ、金のことしか頭にない。俺は何の躊躇いもなく‘あいつ’の太腿を打ち抜いた。

そして言った、「死ねよ、屑。」と・・・「もしかして俺のせいですか?」一が聞いてくる、

「いや、俺とお前は被害者だ仲間同然だ、気にすんな。」言い返す、

そしてその後政府にこのことマスコミに報道されたく無かったらさっさと俺らの住居と金用意しろ、

と要求したところあっさりOKときたもんだ、

今では無かった過去みたいなもんだ。性格はちょっと歪んだかもしんねぇが・・・


 「おっと、物思いに耽ってる場合じゃねぇな。」‘影’を見る、

死んだか?そもそもあれに死という概念はあるのか?まぁ流石に死の概念はあるだろ。

などと考える、こういうミステリアスなの大好きなんだよ、俺、

‘影’が何事もなかったかのように立ち上がった。

・・・もしかして死の概念無かったり?そんなこと考えてる場合じゃねぇよな。

‘影’が向かって来る、結構速い、自転車の全速力並だ、

「でも、ちょっと速度たんねぇかな」俺は何でもできる。そう自分に言い聞かせる。そして

‘影’の体を掴み、その速度を利用して流す様に放り投げた。




 ‘影’が一とぶつかる、するとそのまま影がその方向に飛んでいく、隼にはどうなったかイマイチ分らないが、

隼は昔から思ってた言葉を言った。「一、なんかすげぇな。」

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