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ハイフン  作者: 高夏 浮斗
第一章⑨
28/51

最悪の記念日というかなんだか酷い

俺たちがここにきて1ヵ月が経ったころの秋中盤、

騒がしい毎日を送って来た俺たちに静かな日がやって来た。



「明日の学校は黙祷日なので休みです、宿題出すからやって来てください。」

山内先生が明日の学校が休みと言う事を皆に伝えたのだが・・・

皆のテンションは上がっていない。

俺は横で「うがー」とか言いながら机に突っ伏している槇に聞いた

「黙祷日ってなに?」

槇はとても驚いた顔で

「え?黙祷日も知らないの?」

俺は「うん、初めてだし・・・」

「始めてって、今何歳?大体15でしょ?じゃぁ15回は経験してるはずだよ?」

そういえば、俺の誕生日は7月7日、俺がここに飛ばされた時は春だったのに

ここに来たときはもう秋だったよな、俺今何歳なんだろ。まぁそれは置いといて、

「ド忘れしちゃって・・・」

「黙祷日は戦死してしまった方々へ感謝を表す意味で黙祷をする日でしょ?」

「そうだったか・・・。」

「あんまり思い出してないみたいね・・・」

「あぁ、悪いな」

「一応教えてあげるけど明日は一言も喋っちゃ駄目なんだからね?」

「え・・・マジ?」

「だから皆のテンションが低いのよ」

「なるほどな・・・」





  ~次の日~


俺は朝の9時に眼を覚ました。

確か今日は黙祷日だ、喋っちゃいけないんだったか・・・

俺はパジャマからカッターシャツに着替え(なぜかこの屋敷の私服はカッターしかない。)

俺は一言も喋べらず一の部屋に向かった。


途中でメイドの明香さんとすれ違ったので俺は会釈をした。

すると明香さんは俺の肩に手を置き、俺の耳に口を近づけてとても小さな声で

「会釈もお辞儀もしなくて良いのですよ?」と、言ってそのままどこかへ行ってしまった。

正直、今の内容が俺を軽く罵る内容ならば俺は興奮しただろう。

俺はソフトなM体質のようだ。・・・まぁ今の状況と全く関係ないけど。


とりあえずノックもせず一の部屋に入る、一は既に起きており俺に軽く手を振った。

俺は一に小さい声で「そういうのもしなくて良いんだって」

と、教えてやる。一は、なるほど。と言った顔つきで軽く頷いていた。

さぁ、ここに来たのはいいがどうしようか・・・

俺が考えていると一が何か思いついたような顔をし、UNOを取りだし俺に向かって7枚投げる。

俺は特にやることも無いのでUNOに乗る事にした。




俺はUNOを始めた事を激しく後悔した。

多分いま、隼も同じことを考えているだろう。

・・・・「UNO!」って言えねぇええええええ!!!!

そう。知っての通りUNOには手札が残り1枚になると「UNO!」と

宣言しないといけないという、むごいルールがある。

小さい頃、複数人でUNOをした時に残り1枚になり「UNO!」と、高らかに

宣言すると次の順の子が、

「はいっ!ドローフォー!」そしてその次の子が

「俺もドローフォー!」そしてその次の子が

「俺も俺も!」そしてたまに

「俺はドローツー3枚(笑)」

結果「UNO!」と、宣言した子の手札の量がえげつなくなってしまうという、

悪魔のルールだ。というか俺の体験談だが、

それのルールには「UNO!」と宣言しないと+2枚手札が追加されると言うルールがある。

・・・要は「UNO!」と、言えない今日、勝負はつかないのだ!


あれ?今思ったんで子供の頃の話に戻るが、「UNO!」と言ってドロー攻め喰らう位なら

「UNO!」言わずに手札2枚引いた方が良くね?・・・まぁ今は関係ない話だがな。




一の野郎、何でUNOなんか始めたんだよ、終わらねぇじゃん!

俺たちには「UNO!」と言う方法が無い、要は無限ループだ!最悪だ!

それにUNOって異常なまでに体力浪費するんだよな、何故か。

子供の頃、最初こそは「UNOやろうぜ!」「いいねいいね!やろうぜ!」

ってなるんだが、3回目位には、「どうする~?まだやる~?」

「う~ん、どうしよっか・・・?何かめんどくさいしなぁ・・・」

ってなる奴だ!あれだ!そんなアレがあるのに俺らは30分以上UNOを続けている。

というか止めたら負けかなって思っている。




~そこから1時間後~


もうしんどいんだけど!

もうしんどいんだけど!


大事な事だから心の中で2回複唱したわけだが、

これ、予想以上にしんどいな、隼とUNOを始めた時間が9時半で今が11時か・・・

これはいつまでやる気なんだろう。

あれだな、昔友達が遊びに来てそいつは今日6時までだから!とか言ってたけど、

ゲームとかに熱中し過ぎて向こうのお母さんから電話がかかって来るまで遊び続けちゃうっていう

あれだな。

お母さん!来て!助けて!この地獄から解放させて!




~さらに3時間後~


もう午後2時だよ・・・一の奴いつまでやる気だよ!

マジで洒落にならないぞこれ!

しんどいって言うか吐きそうなんだけど、

前代未聞だよ!他に誰がUNOを一回もゲーム終わらせずに4時間半もやってるんだよ!

これは記録だよ!ギネスだよ!

何これ、なんなのこれ。

前代未聞だよ!ニューハーフの存在を始めて知った時以上の驚愕だよ!



~その上5時間後~


腹減った!超腹減った!というかもう夜7時だよ!

ゴールデンタイム突入だよ!隼!知ってるか?俺ら9時間半もUNOやってるんだぜ?

信じられないよな!俺は信じられないよ!

よっしゃ!こうなったらこのままUNOでランデヴーだな!



~さらにそこから4時間後~


「・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・。」


(もう、何も考えたくねぇ・・・)

(もう、何も考えたくねぇ・・・)



~そして1時間後、つまり12時~

「よっしゃああああああああああああ!」

「おっしゃああああああああああああ!」

「終わったぞ隼!地獄の時間がようやく終わったよ!」

「あぁ!一!俺らやり切ったんだな!15時間半も!」

「UNOやべぇ!マジやべぇ!死ぬかと思った!」

「よっしゃ!どうする?今からどうする?」

「どうするって?答えは一つしかないだろ!」

「あぁそうだな!」

『・・・まぁ普通に考えて寝るよな・・・』


「じゃあな」

「おう」


こうして二人は清々しい気分で眠りに就いた。



そして俺らはベッドの中で気付いた

『あ・・・勝敗付けるの忘れた』





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ってことがありましてですね・・・」

「それで遅刻した上に宿題もしていないと?」

「・・・すいません」

「というか、聖なる日になんでUNOなんてしてるんですか!」

『・・・申し訳ないです。』



 こうしてSSクラスは爆笑に包まれたのであった。

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