魔法!というかなんだ、お疲れ様
「おっす!帰ったぞ~」
「おっす!帰ったぞ~」
「遅かったな!」
「結構遅かったね。」
「まぁ色々あったんだよ、」
「そうそう!俺達の魔法!どんなのか分かったぜ!」
「ほんと~?どんなのなの?」
「知りたい!」
「え~とな・・・」
「カクカクシカジカ」
「へ~。空気を物質に変える魔法ね・・・」
「そんな魔法聞いたことないよ~」
「私も!変わった魔法を使う人、1人は知ってるんだけど、ここまでレアな魔法じゃなかったしな~」
「え?槇ちゃんそんな人と知り合いなの?凄いね!」
「うん!名前は何て言ったっけ、あの子だよ、あの子。中学の頃の夏に転校してきた子!居たじゃん?」
「あの子?あの子そんなに珍しい魔法使うの?」
「うん!そういえばあの子もすっごく足速かったよね!」
「そうそう。運動とか苦手そうなのに4.5秒で50m走ってたよね?」
「そう!その子の魔法が凄かったんだよ!」
「そうなの?」
「うん!重力を操るんだよ?凄くない?」
「え~?そうなの?知らなかったよ!」
「・・・で、名前は何て言ったっけ?」
「えーっと、確か・・・あい、あいさわ?あいざわ?どっちだっけ?」
その名前に俺達は心当たりがあった。相沢芳樹だ。俺達の世界から去年の冬に忽然と姿を消した
男・・・いや、俺らの友人の名前だ。芳樹だけは俺達の秘密(クローンである事)を知っており、
俺らが最も打ち解けていた友人である。
だがその確証はない。まだ期待レベルだ。俺達は期待を確証に変えるため、口を開いた。
『そいつの名前って、相沢芳樹?』
「あぁ~そうそう、って言うかなんで赤青コンビが知ってるの?」
あれ?おかしいな、いつの間に赤青コンビって言う愛称が広まってるんだ?
いや、そうではない。いやいやそうでなくはないんだがそうではない。
「そいつ、俺等の友達なんだ、どこにいるか知らないか?」
声のトーンが下がっているのに自分で気づいた、相当イライラしてるな、俺。
「なんで怒ってるの?まぁいいんだけど、相沢君なら1か月ほど前に行方不明になっちゃったんだよね・・・」
「いや、悪い、怒ってるわけじゃないんだが、相沢はまた行方不明なのか、ありがと、教えてくれて。」
「あ!でもでも大阪の陣地で見たって人が居たよ!15日ほど前だけど。」
「そうか!ありがとう、また探しに行くよ!」
「うん、でも大阪の陣地、あんまり入ったらだめだよ?」
「わかったわかった」
「じゃ、あたし達今から検査だから!」
「ちょっと待っててね?」
「おう!」
「わかった!」
・・・・・・。
「で?どうするよ。」
一が突然尋ねるねて来る、分かってはいるが条件反射で聞いてしまう。
「なにが?」
「何がって・・・芳樹だろ?」
「あぁ、どうしたものか・・・」
「っつってもなぁ・・・」
「あぁ・・・」
『行くしかないよなぁ・・・』
「まぁ、すぐにじゃなくてもな・・・」
「そのうち行くか。」
「おう!」
それから他愛もない話を数十分していると、
「たっだいまぁ~!」
「ただいま。」
あいつらが帰って来たようだ。
「で?どうだったの?」
一が話を進める。
「ん~・・・レベル4ですね~最近ずっと4なんだよね~」
「わたしもレベル4。」
「4あるだけましじゃん!」
「そうだな、俺らなんて0だからな。」
「でもどんな能力分ったらすぐに出来ると思うよ?」
「ん?そうか?」
「そうだよ!」
「じゃぁちょっとやろうぜ!隼!」
「おう!」
~数分後~
「マジか・・・これマジか・・・」
「まさかのまさかだったな・・・」
俺達の目の前には黒く、堅く、重い。そんな四角い物体が出現していた。
その物質に名前は無い。
その物質は四角く、黒い物のイメージから生まれた物体であり、
一や隼が白い物体をイメージすると白い物質がイメージ通りの形で出現するだろうし、
鋭く、堅く、軽い。そんな物をイメージするとそれに見合ったものが生成されるのだろう。
そしてこの物質は本来存在しない未知の物質であり、存在自体がイレギュラーなのだ。
よって、隼や一が今は使わない、消えてもよい。と考えたものはその場から姿を消すだろう。
そんな未知なる魔法を俺達は手に入れた。