とりあえずミッション終了だ馬鹿野郎!
「ごぶぁっ!冷てっ!ごぼっ!」俺は突然海に投げ込まれる、四肢を縛られているので当然泳ぐ事はおろか動くことさえままならない。俺にも策があるとはいえ、あいつらにここ居続けられようものなら確実に溺死ルートまっしぐらだ。俺はあいつらに死んだと想わせないといけないのだ、俺は決死の覚悟で息を押し殺し、すでに息をしていないものだとあいつらに信じ込ませることにした。
「おいお前ら!さっさと帰るぞ!こっちに引き込んでるとは言え上に見つかったら厄介だからな!」
八条がそう怒鳴っている。間に合うか・・・1分も居続けられるなんて堪ったもんじゃないぞ、
糞ったれ・・・意識が・・・・・持た・・・な・・・・・い・・・・・。聡の意識はここで途切れた。
「一、どうやって情報を持って帰るつもりだ?」「それは誰かの話しているのを盗み聞きしたらいいじゃないか」「・・・誰も居ないのに?」「・・・・。」警備ロボットを撃墜し、ようやくまともな部屋に入ったはいいが、俺たちは誰にどうやって情報を聞きだせばいいのかが分らず考えることにした。
「一、そういえばさっき警報鳴らなかったか?」「鳴ったような気がするな」「これってまずくないか?」
「あぁ相当まずいよな傍からみなくても分るレベルで」一は自嘲気味に「ハハッ」っと笑う、そしてすぐに「お?俺名案思いついた!」と、顔を輝かせた、「マジでか!ちょっと早く教えてくれ!敵が来ちまう」
「この部屋の一番でかいパソコンからデータをぱくって行っちゃえばいいんだよ!」・・・なるほど、ル〇ンで言う所のフ〇コちゃんが良く使う戦法だな「良いんじゃないか?でも俺フロッピーディスクはおろかマイクロSDすら持ってないぞ?」「それならそこら辺に落ちてるだろ、研究所だろ?・・・っとあったあった」一はドヤ顔で俺を見たが、俺はスルーしてさっさと作業に取り掛かる、まず、メモリのデータを削除し、デスクトップにあった、[本研究所での主な取り組みについて]というデータの塊をメモリに移す、
「げ?10分もかかるんだけど!」「おいおい、敵が来ちまうよ」一は焦りを隠しきれないようだ、
「そうだ、先に逃げ道作っとこう!」と一が言う、「どういうことだ?」俺は意味がわからず一に尋ねる、
すると一は元気に、こういった。「壁、ぶっ壊しとこうぜ」・・・こいつ・・・馬鹿だ、「いやいやここ地下だから壊すなら天井だろ!」「おっ!なるほど!」そう言って俺たちは天井の破壊を始めた。
「ふう、兄貴ってばすげぇな、ビデオカメラ持って来いってこういうことだったのかよ」
その10mほど先には海に叩き落とされている男、聡がいた。「それにしても兄貴はいつもいつも忙しそうだな、巻き込まれる方の身にもなれよな。」彼は八条らが一人の男、すなわち聡を海に落とす一部始終を録画していた。「それにしても最近のビデオカメラはすげぇな、結構遠いのにこんなにアップで映るなんてな、」そこには数日前に行方不明のニュースに出ていた顔が写っている。「そいやあいつの顔どっかで見たと思ったらニュースだったか・・・」その男は兄が海に突き落とされたのを見ても特に動かない、何故なら自分が行っても無駄な事が分っているからだ。あんな厳ついSP4人に囲まれるなんて想像しただけでゾッとする。そんなことを考えているうちにSP集団がボスらしき高校生を囲んで帰って行く、「1分36秒か・・・生きてるかな?」と小走りで彼は兄の元へ向かって行った、
後1分の所で足音が聞こえる、一らは、今にでも逃げ出したかったが、ここで逃げると無駄足になる上に
金が貰えない、一も隼人もギリギリまで粘るという結論で一致した。「ここに来るのも時間の問題だな。」
「というか一、ここパソコンのファンの音が五月蠅いから近く通るだけでばれると思うんだけど、」「マジかよ・・・いや俺に任せろ」そういい一は開けた天井の穴を使い一つ上の階へ上がった。
(もしかして逃げたんじゃないだろうな・・・)隼がそう思った時、上で何かが壊れる音がした、多分上で一が壁でも壊したんだろ・・・そこで一のしたかった事がようやく分った、「どうだ?いけたか?」と一がニヤニヤしながら戻ってくる。「おう!バッチシだ!」『上だ!早く上がれ』という声をBGMにして俺たちは普通のルートで研究所を出た。そして帰り道に一はこう言った。言わなくて良い事を言ってしまった、
「あそこにパソコン大量にあったんだから軽いのをそのまま持って帰ったほうが良かったんじゃないの?」




