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可愛らしかった幼馴染の女の子が偉丈夫に成長してドラゴン討伐をするまで

作者: 出稼ぎ君
掲載日:2026/10/17

頑張って書きました。我ながら良く描けたと感心しています。

村の男の子が騎士を目指して頑張ります。彼が好きな幼馴染が、彼とは離れたくなくて一緒に騎士を目指します。

あるきっかけで、幼馴染は紋章を得て、それは彼女に祝福を授けますが…

強大な大女とのエロにまで行くので、2話以降はノクターンで宜しくお願い致します。

(https://novel18.syosetu.com/n0438mx/2/)

【ガラルド視点】

俺が初めてまともに剣を教わったのは、十歳のときだった。村に一人の旅の剣士が滞在した。村の近くには小さなダンジョンがあり、それが目的だったと聞いた。無名なダンジョンなのだが、何か特別なものがあるとの噂があるらしい。その剣士は、剣の鍛錬をしているところを見れば、相当に腕の立つ男だということが子供にも分かった。俺はその男が剣の鍛錬をしているところを何度も見に行った。最初は見るだけだった。そのうち棒を拾って男の所作を真似するようになった。ある日、剣士に呼び止められた。


「それ、もう一度やってみろ」


俺は言われたとおりに棒を振った。笑われると思った。ところが剣士は笑わなかった。立ち方を直された。足の位置を変えられた。棒の握り方まで直された。翌日も来いと言われた。剣士が村に滞在したのは一か月ほどだった。その間、俺は毎日のように教えてもらった。楽しかった。昨日できなかったことが、今日はできる。剣士に打ちかかって一本も当たらないのは当たり前だったが、それでも褒められることが増えていった。彼が村を去る日、剣士は俺に言った。


「続けろ。お前なら騎士を目指せる」


その言葉を、俺は何度も頭の中で繰り返した。騎士。村の子供なら、一度くらいは憧れる。冒険者として名を上げ、騎士に取り立てられた者の話も聞く。騎士になって功績を立て、貴族になった英雄の物語もある。村を出る。王都へ行く。騎士になる。それまで遠い物語だったものが、急に自分にも手が届くものになった気がした。その日の夕方、同い年のララに話した。ララは綺麗な金髪で、青い瞳の整った顔をしている女の子だ。


「俺、騎士になる」


ララは少し驚いた顔をした。それから、


「じゃあ私もなる」


と言った。俺は笑った。


「お前、あんまり剣なんか振らないじゃないか。」

「これから真剣にやるのよ」

「騎士って、誰でもなれるわけじゃないぞ」

「知ってる」


ララはむっとしていた。それでも翌日、本当に木剣を持ってきた。俺にはなんとなく分かっていた。ララは騎士に憧れたというより、俺だけが一人でどこかへ行くのが嫌だったのだ。昔からそうだった。俺が何か新しいことを始めると、ララもやりたがった。少し面倒だった。それでも、嫌ではなかった。むしろ嬉しかった。


◆◆◆


二年後。十二歳になった俺は、身長が百七十センチほどになっていた。体重も六十キロほどある。村の同年代では一番大きかった。ララは百五十センチほどで、五十キロくらいだった。二人が並べば、頭一つ近く違う。俺から見ると、ララは小さかった。昔から一緒にいるので普段は意識しない。だが剣を持って向かい合うと、よく分かった。肩の位置が低い。腕も短い。握っている木剣も、俺が持つとちょうどいいものが、ララの手には少し大きく見えた。それでもララは毎日やってきた。弱かった。十本やれば、手加減をしてもだいたい九本は俺が取った。


それでも一年前よりはずっと強くなっている。俺は本気で打ち込んではいなかったが、それでも一本取られると、俺は本気で悔しかった。


「今のなし」

「なんでよ」

「足滑った」

「負けた人って、いつもそう言うの?」

「十本中一本だろ」

「一本は一本でしょう」


ララは勝ち誇った顔をする。俺は、その顔を見るのが嫌いではなかった。しばらくして、またララが負けた。木剣を受け損ねて体勢を崩し、二歩ほど後ろへ下がる。


「もう一回」

「待てよ」

「何?」

「今の、踏み込むとき身体が開いてる」

「身体?」

「こう」


俺は自分の木剣を構えた。足を踏み出し、身体の向きを見せる。


「ここで開くから、次が遅れるんだよ。俺から見てもどこへ振るか分かる」


ララが黙って見ていた。


「もう一回やって」

「だから、こう」


俺は同じ動きを繰り返した。今度はゆっくりやった。ララも真似をする。


「違う。足が先」

「こう?」

「そう。さっきよりいい」


ララは自分の足元を見て、それから木剣を構え直した。


「もう一回」

「まだやるのかよ」

「今の直ったか試すの」

「はいはい」


俺は笑った。自分も旅の剣士にこうやって教えてもらった。今は自分がララに教えている。それが少し嬉しかった。ララは昔から可愛かった。本人に言ったことはない。言えば何を言い返されるか分からない。それに、あまり考えたこともなかった。ララはララだった。


物心ついたころから隣にいる。将来も、たぶん隣にいる。騎士になれば二人で王都に住む。もっと先のことまで考えると、二人で同じ家に住んでいるような気がした。結婚という言葉をわざわざ口にしたことはない。それでも俺の中では、何となくそうなるものだった。


「もう一本」


ララが言った。


「また負けるぞ」

「今度は勝つ」

「無理だって」


ララが睨んだ。俺は笑った。こういう日がずっと続くのだと思っていた。


【ララ視点】

私は、ガラルドに負けるのが嫌いだった。今日も負けた。昨日も負けた。その前も負けた。二年間も練習しているのに、まだ十本に一本くらいしか勝てない。でもガラルドも練習して上達しているのだから仕方がない。頭では分かっている。それでも腹が立った。ガラルドは何かと偉そうだった。構えが悪い。足が遅い。そこで振るな。今のは読めた。勝ったあとにいちいち教えてくる。今日も、踏み込むとき身体が開いていると言われた。実際にガラルドがやって見せると、自分との違いが分かった。同じようにやったつもりでも、ガラルドに「足が先」と直された。


ガラルドの指導が役に立つことは分かっている。実際、教えられたとおりにすると少し動きやすかった。だから余計に腹が立つ。


「もう一回」


私が言うと、ガラルドはまた笑った。私が見上げる。ガラルドは大きかった。自分より二十センチも背が高い。近くに立つと肩の位置から違う。腕も自分より太い。手も大きい。剣を握れば、さらに大きく見えた。剣だけではなかった。村で何か重い物を運ぶときもそうだった。ある日、家から頼まれて粉の入った大きな袋を運ぼうとして、私は途中で諦めた。持ち上がらないわけではなかった。けれど、抱えて歩こうとすると重くて仕方がない。ちょうどそこへガラルドが来た。私は袋を地面へ下ろした。


「ガラルド、これお願い」

「またかよ」


口ではそう言いながら、ガラルドは袋を持ち上げた。私が苦労した袋を、そのまま抱えて歩き出す。


「重くないの?」

「重いけど、これくらいなら平気」


私はその後ろを歩いた。少し悔しくてもよさそうなのに、不思議とそうは思わなかった。


――やっぱり男の子って力あるんだな。


むしろ頼もしかった。ガラルドができて、自分にはできないことがある。それが嫌ではなかった。私は、ガラルドが自分より大きいことも嫌だと思ったことがなかった。むしろ好きだった。ガラルドは自分より大きい。自分より強い。何かあれば助けてくれる。それが当たり前だった。十歳のころ、旅の剣士に教わっていたガラルドを、私は毎日のように見ていた。あの剣士から、


「お前なら騎士を目指せる」


と言われたときのガラルドの顔を覚えている。本当に嬉しそうだった。その顔を見たとき、私は急に怖くなった。ガラルドだけが村を出るかもしれない。自分の知らない場所へ行ってしまうかもしれない。それが嫌だった。だから自分も騎士になると言い出した。最初は、それだけだった。今は違う。私自身も騎士になりたい。二人で王都へ行く。二人で選抜を受ける。二人で騎士になる。それが二人の未来だと思っていた。ただ一つ、不安があった。自分だけ落ちるかもしれない。ガラルドには才能がある。旅の剣士から認められた。自分にはそんなものはない。


本も勉強も得意だった。けれど、それで剣が強くなるわけではない。だから一本取れると嬉しかった。ガラルドが本気で悔しそうな顔をすると、もっと嬉しかった。いつか本当に勝ってやりたい。そう思う。それでも、何か危ないことがあればガラルドに頼ればいいとも思っていた。重い物なら持ってもらえばいい。剣で分からないことがあれば教えてもらえばいい。危ないことがあれば守ってもらえばいい。自分が勝ちたい。でも守ってもらいたい。十二歳の私には、その二つが矛盾しているとは思えなかった。


◆◆◆


「ダンジョン、行かない?」


言い出したのは私だった。村からそれほど遠くないところに、小さなダンジョンがあった。冒険者が時々入る。浅い場所なら危険な魔物も出ない。でも村の子供が勝手に入っていい場所ではない。それは分かっていた。だが騎士を目指すなら、いつまでも村で木剣を振っているだけでは足りないような気がした。ガラルドは少し迷った。結局、一緒に来た。私はそれが嬉しかった。二人なら大丈夫だと思った。実際、最初は何も起こらなかった。知っている道を歩いた。ところが奥の方で、最近崩れたように見える岩の陰に細い通路を見つけた。私は立ち止まった。


こんな道があるとは聞いたことがない。


「ねえ」

「やめとけ」


私が何を言う前に、ガラルドが答えた。


「まだ何も言ってない」

「行こうっ、ていう顔してる」

「少しだけ」

「未踏破領域だったら危ないだろ」

「だから少しだけよ」


ガラルドは嫌そうな顔をした。私は通路の奥を見た。誰も入ったことがない場所かもしれない。何があるのだろう。胸が高鳴った。


「行ってみようよ」


結局、私が押し切った。ガラルドは最後まで乗り気ではなかった。それでもついてきた。そのことを、私は当然のように受け取っていた。ガラルドがいる。だから大丈夫。そう思っていた。通路の先に小さな空間があった。壁には見たことのない模様があった。私は近づいた。あとから考えれば、何も触らず戻るべきだった。けれど、そのときは好奇心の方が勝った。一歩踏み出した。足元が沈んだ。何かが鳴った。


「ララ!」


ガラルドの声がした。次の瞬間、私は身体を強く突き飛ばされて、床へ転がった。何が起きたのか分からなかった。すぐ後ろで、硬いものが壁に突き刺さる音がした。振り返った。黒い槍のようなものが飛び出していた。さっきまで自分の胸があった高さだった。ガラルドが倒れていた。


「ガラルド?」


返事がなかった。頭の中が真っ白になった。私は這うように近づいた。


「ガラルド!」


声が震えた。自分が誘った。ダンジョンへ行こうと言ったのは自分だ。知らない通路へ入ろうと言ったのも自分だ。ガラルドはやめようと言った。それでも自分が押し切った。罠を踏んだのも自分だった。ガラルドは、それに気づいて自分を突き飛ばした。そのせいで倒れている。


「ガラルド!」


肩を揺すると、ガラルドが顔をしかめた。


「痛い」


私は息が止まりそうになった。生きている。肩を傷つけていた。血が出ている。それでも生きていた。私はその場に座り込んだ。涙が出た。


「ごめん」


最初に出たのは、その言葉だった。


「私が……私が行こうって言ったから」

「泣くなよ」

「だって」

「死んでない」

「でも」


言葉が続かなかった。ガラルドが助けてくれなければ、自分は死んでいた。間違いなく死んでいた。黒い槍が胸を貫いていた。それに気づいたのはガラルドだった。自分では何もできなかった。私は涙を拭いた。


「ありがとう」


ガラルドが少し困った顔をした。


「別にいいよ」


よくなかった。そんな一言で済むことではなかった。ありがとう。何度言っても足りないと思った。ダンジョンへ誘ったのは自分。未踏破の場所へ行こうと言ったのも自分。罠を踏んだのも自分。危険に気づき、自分を助けたのはガラルド。全部、自分が原因だった。それでもガラルドは自分を守った。私は倒れて怪我をしているガラルドを見た。今までもガラルドの事が大好きだった。大きくて、強くて、頼れると思っていた。今は、その気持ちが以前とは比べものにならないほど大きくなっていた。この人がいなくなるのは嫌だ。自分のせいでいなくなるなど、絶対に嫌だった。


――忘れちゃいけない。


私は強く思った。今日のことを。ガラルドが自分を助けてくれたことを。自分がどれほど感謝したかを。何があっても、一生忘れてはいけない。そのとき、暗かった部屋が突然明るくなった。


【ガラルド視点】

最初に思ったのは、間に合ってよかった、だった。肩は痛かった。頭をぶつけて気を失いかけていた。それでもララが無事ならいい。あの黒い槍がララに当たっていたら、たぶん助からなかった。俺にとって、ララを突き飛ばしたことは特別な決断ではなかった。危ないと思った。身体が動いた。それだけだった。ララは泣いていた。何度も謝った。ありがとうとも言った。俺は少し困った。そこまで言われるようなことをした気がしなかった。ララが危なければ助ける。当たり前だと思っていた。それより、泣いているララの方が気になった。


普段は負けず嫌いで、少し偉そうで、口では自分に負けない。そんなララが泣いている。でも、やはり小さく見えた。俺は無事な方の手を伸ばして、ララの頭に触れた。ララの頭は、自分の手の下にすっぽり収まった。


「もう大丈夫だから」


ララは一瞬だけ驚いたように俺を見上げた。泣いているのを子供扱いされたようで恥ずかしかったのかもしれない。それでも、頭から手をどけろとは言わなかった。むしろ少しだけこちらへ寄ってきた。そして、また泣いた。俺はしばらく、そのまま頭を撫でていた。その直後だった。白い光が二人を包んだ。俺は反射的にララを自分の方へ引き寄せた。何が起きたのか分からない。光はしばらく二人の周囲を漂った。やがて消えた。ララが自分の手を見ていた。手の甲に、見たことのない紋章があった。大きかった。俺も自分の手を見る。


こちらにも紋章がある。ただし、ララのものよりずっと小さかった。二人はしばらく、何も言えなかった。


【ララ視点】

翌朝、村長に言われて二人は隣町の教会へ向かった。歩けば往復一日ほどかかる。ガラルドの肩の傷はひどくはなかった。それでも私は何度も気にした。自分のせいだと思うたび、胸が痛んだ。


教会の神官は、私の手を見ると表情を変えた。何度も確認された。古い本まで持ってこられた。そして言われた。


「金剛神の紋章です」


私はその神様の事も聞いたことがなかった。数百年に一人現れるかどうかというほど珍しいものらしい。神様からの祝福で、そして呪いなのだそうだ。


「強大化をもたらすとされています」


身体。力。知性。その人間が持つものを、強く、大きくしていくらしい。私は怖くなった。呪いという言葉が嫌だった。だが同時に、別の気持ちもあった。強くなる。それなら、ガラルドに勝てるかもしれない。騎士にもなれる。その考えが浮かんだこと、少し恥ずかしく思った。神官によれば、王都の大聖堂なら解呪できるだろうとの事。二人は十三歳になれば王都へ行くつもりだった。騎士選抜を受ける。それなら、その時解呪できるから大丈夫だ。


ガラルドが呪いと聞いてひどく慌てていた。ダンジョンに行ったことをガラルドは今になってすごく後悔しているみたいだった。だから私は、


「これって、ちょうど良いのよ」

「えっ、呪いがちょうど良いって何がだよ?」

「私、騎士選抜大会で王都に行くって親から反対されているんだ。でも、呪いを解呪しに行くって言ったら絶対に反対なんかしないから」

「なるほど、そうだよな。良かったな。なのか?」


私はそう思った。一年もない。王都へ行ったら消してもらえばいい。ちなみにガラルドの小さな紋章については、神官にも分からなかった。「こういう小さいものは一生何だか分からないことも多いんですよ」と。


私は自分の手とガラルドの手を並べて見た。自分の紋章は大きい。ガラルドのものは小さい。ただそれだけなのに、自分の方が立派なものなのが誇らしい気がした。ほんの少し、嬉しかった。するとガラルドの肩が目に入った。昨日、自分はこの人に命を助けてもらって怪我をさせたばかりなのに。紋章の大きさなどのことで喜んだ。自分が物凄く恥ずかしく思えた。


ガラルドは心配そうに私の顔を見つめた。


「でもなぁ。呪い、なんだよなぁ。大丈夫かな。」

「1年間何もなければ問題なんかないのよ。祝福なんだから1年くらいは大丈夫よ。」

「そうだな。来年は必ず王都に二人で行って大聖堂で解呪してもらおうな。」

「うん、大丈夫だよ。心配し過ぎよ。必ず解呪してもらうって約束するから。」


と言った。気が小さな私が、なんでこんなに自信満々なんだろう、とちょっとだけ思った。


◆◆◆


私は以前から本が好きだった。村にある本は、紋章をもらった後にすぐにすべてを読みつくしてしまった。仕方が無いので、隣町の図書館まで行った。初めはガラルドにもついてきてもらった。ガラルドは剣について書かれた本を少し読んだあと、すぐに飽きた。私には、それが理解できなかった。本には知らないことがいくらでも書いてある。知らなかったことが分かる。それが楽しかった。紋章が現れてから、その楽しさがさらに大きくなった。読むのが速くなった。難しい言葉もなぜか理解できる。一度読んだ内容をほとんど忘れない。難しそうな本が簡単に感じる。


私は夢中になった。ある日、以前なら読んでも理解できなかった本を読み終えた。あまりにも簡単だったので、拍子抜けした。そのとき、ガラルドのことを思い出した。


――ガラルドって、あんまり頭はよくないのかな。


自然にそう思った。私はすぐに顔をしかめた。嫌な考えだった。ガラルドは本に興味がないだけだ。自分とは好きなものが違う。それだけだ。それにガラルドは剣が強い。自分にはできないことができる。重い物だって、自分よりずっと簡単に持てる。剣だって、まだ自分に教えてくれている。私はそう考えた。それでも、一瞬だけ感じたものが残った。自分の方が分かる。自分の方が知っている。自分の方が上にいるような、小さな感覚だった。私は手の甲を見た。金剛神の紋章。


――これも強大化なのかな。


少し怖くなった。けれど目の前には、まだ読んでいない本がたくさんあった。私は次の本を開いた。すぐに夢中になった。


【ガラルド視点】

ララの変化に最初に気づいたのは、食事だった。よく食べるようになった。以前の倍近くも食べている気がする。本人は最初、かなり恥ずかしがっていた。次に服が合わなくなった。袖が短い。裾も短い。靴もすぐにきつくなるらしい。そして、少しずつ背が伸びた。俺は最初、面白がっていた。


「また伸びたんじゃないか」


そう言うとララは嫌そうな顔をした。俺には、その気持ちがよく分からなかった。自分も背が伸びている。大きくなるのは悪いことではないと思っていた。ただ、ララにとっては違うらしい。それでも、まだ俺の方がかなり大きかった。並べばララは下にいる。話すときもララが見上げる。そのことを俺は当たり前だと思っていた。剣の方は、当たり前ではなくなってきた。ララの打撃が重くなった。以前なら簡単に受けられた剣に、少し力を入れる必要が出てきた。踏み込みも速い。届かなかった距離から剣が届く。


以前なら構えを見ただけで分かった癖が、少しずつ消えていった。俺が教えたことを、ララは一度言えば覚えた。それどころか、次の日にはもう自分の動きにしている。一本取られる。また一本取られる。十本に一本だったのが、手加減を止めても二本になる日が出てきた。俺は悔しかった。同時に嬉しかった。ララも強くなっている。これなら本当に二人で選抜に受かるかもしれない。俺は自分がララに負ける未来までは考えていなかった。ララが強くなる。それでも自分の方が強い。そして二人で騎士になる。それでいいと思っていた。


【ララ視点】

身体が大きくなることを、私は最初喜べなかった。食べても食べてもお腹が減る。服が合わなくなる。鏡を見るたび、少しずつ身体の形が変わっている。何より、ガラルドとの身長差が縮んでいた。それが嫌だった。私は大きなガラルドを見上げるのが好きだった。自分より頭一つ近く大きい。肩も広い。腕も太い。剣を持てば強い。重い物を持てなければ、頼めば持ってくれた。剣で分からなければ、聞けば教えてくれた。ダンジョンでは、自分が罠に気づくより先に危険を察して助けてくれた。あのとき、泣いている自分の頭を大きな手で撫でてくれた。ガラルドが大好きだった。


あのときのことを思い出すたび、胸が熱くなった。ありがとうと言った。けれど、あれだけでは足りない。たぶん何をしても返しきれない。自分が誘った。自分が未踏破の場所へ行こうと言った。自分が罠を踏んだ。助けてくれたのはガラルドだった。


――一生、忘れちゃいけない。


私は何度もそう思った。ガラルドは、自分にとってそういう人だった。だから、自分がガラルドと同じくらい大きくなることなど望んでいなかった。強くはなりたい。でも、大きくなりたいわけではない。ところが剣を持つと、その気持ちは変わった。ガラルドの剣を受けられる。以前より押されない。こちらから押し返せることさえある。一本取った。次の日には二本取った。ガラルドが本気で悔しそうな顔をした。私は嬉しかった。身体が大きくなることへの嫌悪より、その喜びの方が強くなった。もっと強くなりたい。もっと勝ちたい。


ガラルドを本気で負かしてみたい。そう思った。夜、手の甲の紋章を見る。王都へ行けば消せる。そのつもりだった。今も、そのつもりのはずだった。けれど、もし消したら。頭の働きも元に戻るのだろうか。剣も弱くなるのだろうか。縮んだガラルドとの剣の差も、また元に戻るのだろうか。そう考えると、少し惜しいと思った。選抜までは、このままでいい。選抜が終わったら消せばいい。大聖堂は王都にあるのだから。私はそう考えた。それなら何も問題はないと思った。ガラルドはまだ自分より大きかった。まだ自分より強かった。何かあれば守ってくれる。


そして二人で王都へ行く。二人で騎士になる。私はその未来を疑っていなかった。ただ以前とは一つだけ違っていた。ガラルドに勝てるかもしれないと思うと、胸が少し弾んだ。そして、せっかく手に入れたこの力をなくすのは、ほんの少しもったいないと思うようになっていた。


挿絵(By みてみん)


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続きは、「https://novel18.syosetu.com/n0438mx/2/」へとお願い致します。

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