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ロード・オブ・三国志X ~ 乙女ゲーム転生! 推し軍師・郭嘉の神技能を継承し、曹操を主君として、乙女軍師として征く三国覇道 ~  作者: 初美陽一
第三幕 荊州の無血開城から、長坂の戦いへ――三国英傑と初の戦! 『VS劉備軍!』

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第29話 眠りから覚めたら、目の前にご主君がいるの――心臓に悪いわ賛歌

 ――――――★女軍師・甄嘉のやわらか人物評★――――――


趙雲ちょううん』敵対勢力

 字を子龍しりゅう。劉備勢力でも筆頭格の将軍の一人で、〝五虎将〟もしくは〝五虎大将軍〟の一人として有名。四天王の五人バージョンみたいなもの。中華はこの〝五虎将〟みたいな枠組みがやたら好きで、魏にも五将軍がいたりするわ。


 劉備と義兄弟の契りを結んだような関係ではないにも関わらず、趙雲は忠実すぎるほどに尽くした忠臣。しかも素行も良く、仁義に厚く、とにかく誠実……数多の武勇伝にも事欠かない、と非の打ち所がない完璧超人。

 まあ〝三国演義〟の印象も強いかもだけど、三国志モチーフの創作としては扱いやすいヒーロー的な存在だと思う。


〝ロード・オブ・三国志〟シリーズでも、全ナンバリング通して乙女ゲーム的に正統派すぎるイケメンヒーローとして描かれているわ。人気も全勢力を通してすら常に上位ランク、何度もパッケージを飾ったシリーズの顔よね。

 ……ぶっちゃけ、私もめっちゃ好きデス(小声)


 本当に非の打ちどころが無さすぎて、今回はネタに出来る部分がないのが辛いとこね。まあ別にしなくていいんですけど……。


 ……ところで本気で関係ないし、言わないほうがいいかもなんだけど……存在そのものが胆力の塊っていう意味の〝全身これたん〟って……。

 全身が胆(※内臓)だとしたら、って想像したらちょっとエグいわよね★ ……やっぱ言わない方が良かった?


 ――――――――――――――――――――――――――――



「……ふへえっ!? きもが、でっかい胆が槍持って襲い掛かってきて……あ、れっ? ここ、どこ……あれ、襄陽の、私の部屋?」


 なんだかエグめの悪夢を見ていた気はするけど、おかげでスパッと目が覚めた……とはいえ、状況が良く分からない。私、確か長坂で戦してて、最後は曹操様と夏侯惇殿の大声に挟まれて……う~ん、それから、どうなったっけ……?


 まだ寝ぼけているのだろうか、そういえば真夜中だもんね、と窓の外の月を見上げ、頭を掻こうとすると――上げようとした左手が、動かない。

 ……ま、まさか私、戦で何か怪我を!? と青ざめつつ左を見る。


「えっ。……ちょ、えっ……そそ曹操様!? ふえええええ!?」

「……ん、んん……甄嘉しんか、甄嘉よ……」


 なるほど、動かないわけだ。寝台の横から体を預けて眠る曹操様が、私の左手を握っているのだから――ていうか気付かないとか、鈍すぎるでしょ私。イヤでも寝て起きたら左手を握られてるとか、転生前でも経験なかったからなー……ウフフ、思いがけず私の心にダメージ★


 と、おちゃっぴい(※お喋りみたいな意味)な思考を繰り広げてみたおかげで、どうにか落ち着くことが出来た。これが女軍師の智謀ですわ、とくと御覧ごろうじあそばせ。うん私、まだ全然落ち着いてないな。


 ……うう、だって、だってぇ……目が覚めたら、いきなりご主君がいる……って、家臣なら驚いて当然でしょ!? 心臓に悪いわこんなん!


 うう、う~~~……ああもう、誤魔化すのはやめよう。そう、前にも思ったけど……ホント、顔がいいのよ、曹操孟徳。こんなイケメンが寝起きに手なんて握っていて、無防備な寝顔を晒しているなんて、ドキドキしたってしょうがないでしょ!


 それはもう、変な勘違いをしてしまいそうなほどに……と、とにかく、早く起こさなくては。月明かりに照らされて、眠っていても秀麗な横顔に向け、おずおずと囁きかける。


「あ、あの~、曹操様……曹操様~? 起きてくださ……」


「……ん、んん……甄嘉……甄嘉よ……」


「あ、はい、甄嘉ですよ~。ご心配おかけしたかもですけど、状況が分からないので、早く起きて頂けると~……」



「……甄嘉……どうか、どうか……死なないでくれ……!」



「! …………」


 どうやら私は、随分と心配をかけてしまっていた、らしい。何だか胸が締め付けられる思いがして、私は……私はっ――


 ――空いている右手で、思いっきり曹操様の肩を()()()()


「勝手に! こ・ろ・さ・な・い・で・く~だ~さ~い~! 曹操様~!?」


「……ふへえっ!? 甄嘉が、甄嘉が……全身が胆の槍使いに刺されてっ……んっ? おや、ここは一体……」


「なんか変な悪夢、見てますねぇ……ん? 何だろ今の、私にも刺さったな……まあいっか」


「ん……ん、んん!? し、甄嘉……甄嘉――! 峠を……峠を越えたのだな!? 一命をとりとめて、良かった……本当に、良かった……!」


「……えっ!? あ、あの、まさか私、そんなに危険な状態だったんですか? 私が気付いていないだけで……!?」


「うう、うう……医師団などは〝怪我とか一つも無いです〟〝疲れて眠っているだけです〟と言っていたが……」


「じゃあ何事もないんですよ。信じてあげてくださいよ。疲れていただけですってば、もう~……」


 さすがに少しばかり呆れている、と――ガバッ、と身を乗り出してきた曹操様が、急接近して言ってくる。


「だが、そうは言ってもだなっ……長坂での戦いが終わり、甄嘉、キミを馬車に乗せた瞬間……臥すようにして意識を失ってしまったのだぞ!? いくら声をかけても目を覚まさぬし、心配しても仕方ないだろう!?」


「えっ、あ……そ、そうだったんですか? うわあ、それは……ご、ごめんなさい……あっいえ、申し訳ございません。ご心配をおかけ――」


「そんなことは、よい! 取り繕って、畏まる必要もない……甄嘉よ」


「え……う、うひゃあっ!? ちょちょ、何で急に手を握って……近い近い、顔も近すぎですってばぁ、曹操様!?」


 慌てふためく私に、何とも乱世の奸雄な曹操様は、構うことなく――大きな目で、真っ直ぐに見つめてくる。


 ひゅんっ、と思わず息を吸い込んで動けなくなる私に、沁み渡るような声で告げてきた。


「おれと……せめて、二人でいる時は。主従のように畏まらず、自然体でいてくれて、良い。いや……そうしてくれ。それこそ、奉孝ほうこうの弔いに涙していた、初めて会った……あの夜のように」


「! ……あっ……そ、曹操様……」


「あの時の……割と容赦なく謎の罵声を浴びせてきて、少々出来がアレな、よくわからない詩を歌っていた……あの夜のように」


「だから放っといてくれません?」


「ひいっ!? ……そ、そうそう、そんな感じの」


 軽く怯えても、握った手は離さない――そんな曹操様の言うことは、何だか自分でもおかしいと思うくらい、温かに感じて……つい、私は言い放った。



「……わ、わっ……私の最推しは、あくまで郭嘉様なんですから――勘違いしないでくださいよねっ――!?」



「えええあまりにも性急なる感情の発露!? されど新たなる時代を感じさせる、おれも知らぬ詞藻しそうが、よもや此処に!? ならばあの時のアレな出来の詩も、よもや名文の可能性が……くっ、視野が狭かったのは、おれの方か! 急ぎしたためて、後世に残しておかねば!」(好感度↑・士気↑)


「うおおおおやめとけやめとけ! どう考えても失笑を買うだけですよ、歴史的失笑を! 別の意味で死んじゃいますよ私、やめてくださいねホント!?」


「ええと、確か……推し、失くせり、この世界など。甲斐なし、価値なし、生ける意味なし。死して――」


「よく覚えてやがりますねぇ、さすが文人としての才能もお有りで! まあ記憶力の話なんで文才、関係ないかもですけど! もお、や~め~て~!?」


 まあ本当、私の突発的な転生後・黒歴史を記録にも記憶にも残すのは、勘弁してほしい。

 けれど……外では軍師として、なんて格好つけて構えていた私は、確かに気を張りすぎていたのかもしれない。この夜は、何だかそんな緊張が、ほぐれている気がする。


 曹操様も私の前では気弱な顔も見せてくれるように――

 私も、曹操様と二人の時は、自然体でもいいのかな――


 なんて、考えてしまわなくもないのだった。……ちょっとだけね!



「……あ、そうそう甄嘉、とんがな、キミが起きたら二十四時間の説教を敢行してくれるわ、と涙ながらに息巻いていたから、気をつけてな?」


「えぇ……そこは曹操様、ちょっとこう……取り持ってくださいよお……」



 ……まあちょっと、先行きに不安もあるけれど。

 久しぶりに、自然体で夜を過ごせた気がした――


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