表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロード・オブ・三国志X ~ 乙女ゲーム転生! 推し軍師・郭嘉の神技能を継承し、曹操を主君として、乙女軍師として征く三国覇道 ~  作者: 初美陽一
第一幕 女軍師・甄嘉、イケメン烈士どもの信を得る――!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/36

第15話 奸雄ミッドナイト★ ※第一幕ラスト

〝許昌〟からの移動中、遭遇した賊軍を平定した私たちは、そのまま〝新野しんや〟の入り口付近のお城へ入っていった。


 簡単に言えば、()()()()()向けて移動しているところだ。そして時間は少し過ぎて夜半ば、私は今、手配してもらった部屋に一人でいる。


 デビュー戦を経て、体は疲れているのに、目が冴えて眠れもしない……いや、初めての戦を体感したからこそ、眠れるわけがない。


 思い返せば、勢いとはいえ、ゲーム知識があったとはいえ、()()()を継承していたとはいえ――随分と、無茶なことをした。


 10%以上の成功率があれば〝確定(100%)成功〟なんてブッ壊れチート技能〝神算鬼謀〟を持っていた、けれど――実のところ、話はそう簡単じゃない。

 賊兵に対して、私が速攻で〝降伏勧告〟を使わなかった……使()()()()()()のには、大きな理由がある。


 単純に、開戦時には10%以上の条件を()()()()()()()()()――〝鬼謀〟で確認した限り、1~2%がいいところだったのだ(※まあゲームでも、いきなり降伏勧告の成功率が高いことは、早々ないんだけど……)。


 だからこそ私はあの時、夏侯惇殿に囮を頼んだり、伏兵計を使ったり、戦場を差配して優位に進め、敵の士気を下げ――成功率10%以上を()()()()確保する必要があったのだ。


 さすがに最後に迫られる段階までには……具体的には伏兵を破った辺りで、降伏勧告の成功率は確定になっていたけど……どこかが綻んでいれば、ああも上手くはいかなかったはず。


 あの時は、勢いに乗って、どうにか強がれたようなもので……本当、今さらになって、事の大きさを振り返ると……。


「……は、はぁぁぁ……こ……怖かったぁ~……ていうか上手くいって、ほんと良かったぁ~……そこが一番、心配だったし……」


『――そうか、キミも本当は緊張していたのだな、甄嘉しんか


「――――!?」


 突然に声をかけてきた人物は、〝女の部屋に勝手に!〟などと怒るのも憚られる……のはこれで()()()の人物。


 曹操孟徳そうそうもうとく――曹操様が、神妙な表情で現れた。


「夜分遅くにすまないな、甄嘉……無断で足を踏み入れて、悪いとは思うが」


「女の部屋に夜中に訪ねてくるのが趣味だったりします?」


「うぐうっ! そ、そういう訳ではないのだが……す、すまぬ」


 軽めにつついてみると、素直に謝ってくる乱世の奸雄。やっぱり戦場での様子とは、随分と雰囲気が違うなぁ。


 けれど、どうやらそんな雰囲気のままで、彼の話は続くらしい。


「だが、どうしても……甄嘉、初の戦を終えたキミに、何かありはしないかと……気になったのだ」


「へ? あ……ま、まさか、私なんかのことを心配して――」


「――甄嘉!」


「へっ。……ひゃ、ひゃわわわわぁ!? ちょ、曹操様、近っ……!」


 ぐわっ、と物凄い勢いで近づいてきた曹操様が、私の両手を握る。いや心臓に悪いなイケメン急接近! ゲームで画面越しに見るのと、生で目と鼻の先で見るのとは、当然だけど全然違うわ! てかてか、こんなイベント知らないんですけど――!?


 目をグルグルさせる勢いで戸惑う私に、曹操様はあくまで神妙な表情のまま、本当に心配そうな声音で問いかけてくる。


「甄嘉、何か調子の悪いことはないか、無理をしているのではないか? 初の戦だし、キミは女人……戦など、男でも心胆しんたんを潰す者もおるくらいなのに。……まさか怪我などして、それを隠してはいないだろうな!?」


「えっ、えっ!? ななな、ナイです、ナイです! あっほら、最後だって曹操様が守ってくれましたし……た、確かに緊張はしていましたし、後になって怖くもなっているのは、否定しませんけど……調子の悪いとこは、全くナイですから!」


「本当か? 本当に、本当か? ……本当だろうな?」


「ほ、本当に本当ですよ、大丈夫です! 信じてくださいってば!」


 何度も念を押してくるものだから、ついつい強い語気で返してしまう……と、ドキリとするような大きな目で、ジッ、と見つめられ――暫くして、彼は大きく息を吐いた。


「……は、はぁ~~~~……そ、そうか、よかった……本当に、良かった……キミが無事で、本当に……」


「…………えっ?」


「キミに何かあったらと思うと、どうしようかと……すまぬ、偉そうなことを言っておいて、本当に心胆を潰していたのは、おれのほうだったんだ。……だが、良かった……甄嘉が大丈夫というなら、それで……」


「…………」


 時の最高権力者が、新参者の家臣を、これほどまでに気にかける。それだけでも充分に異例で、いっそ異常事態とも言えるだろう。


 けれど、つい先ほどの私以上に、私のことを気遣ってくれる――そんな曹操様を見て、私は思わず、胸を押さえてよろめいた。


「――――くっ!!」


「!? し、甄嘉……どうした!? やはりどこか、調子でも――」


「……ふっ、ふふっ……うふふっ!」


「え? し……甄嘉?」


 戸惑う曹操様に、つい失笑してしまった私は、こらえきれないまま返事する。


「ふふっ、ご、ごめんなさいっ……だって曹操様、私本人より、焦ったり安心したりして……お、おかしくって、うふふ!」


「あっ……し、甄嘉、()()()()()のか!? 全く、人が悪いぞ――」


「いえ、ドキッとして胸を押さえたのは本当ガチですけど」


「甄嘉――! 大丈夫か甄嘉、心の臓はまずいぞ甄嘉――!」


「だだ大丈夫です大丈夫です! ふ、ふふ……あははっ♪」


〝ロード・オブ・三国志Ⅹ〟の曹操様は、気弱な印象――だけど、そうだ、彼が城中や戦場で、その気弱さを見せることは滅多にない。


 その顔を見せるのは、()()()()()()()――今で言えば、()()()()


 そのことが、何だかとても、むず痒くて。

 また〝まずい〟とご評判の心の臓が、どくん、と跳ねる。


 デビュー戦の後から来る緊張感なんて、いつの間にか蹴散らして――私は心から、笑ってしまうのだった。


 ――――…………。


 ()()()()

 それでもやっぱり、気は晴れない理由が、私にはある。


 終わったことを言っても仕方ないけど、賊との戦いをもっと簡単に、一瞬で終わらせるなら――伏兵を〝火計〟で焼き払うとか、味方の能力にたのんで容赦なく全滅させるとか、容易な方法は幾らでもあった。


 それを出来なかったのは、〝人を殺す〟という覚悟が、元は()()()O()L()だった私には無かったからだ。

 この世界で人々が()()()()()()()()ことを知ってしまって、賊ですら容赦なく殺すなんて、出来なかった。


 ……一応ゲームなら、〝捕縛〟や〝降伏勧告〟などを駆使し、〝殺さずの縛りプレイ〟とか出来るんだけど……。

 ここでは〝セーブ〟や〝ロード〟なんて、出来ない。やり直しは、利かない。


 それなのに……こんな甘々な私に、()()()んだろうか。

 この先に待ち受けている、()()()()()を、攻略することなんて。


 それは三国志を知る者なら当然で、知らぬ者でさえ《《聞いたことはある》》人も多いというほどの、大戦おおいくさ



   ――――〝赤壁の戦い〟――――



 避けられぬ運命の大戦を想い――今度は緊張感のために、私の心の臓は、どくん、と跳ねた。


第一幕ラストまでお読み頂き、誠にありがとうございます!

追いかけやすくなるよう「ブックマーク」して頂いたり、

「★★★★★」のところの評価などポチッと押して応援して頂けるとものすごく嬉しいです!


P.S.いつもリアクションで応援してくださって、本当に感激です……!

応援、しっかりと届いて力になっております……引き続きお楽しみ頂ければ幸いですっ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ