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人ならざる力がバレて世界中に狙われた少年、何故か人類の敵と認定されて大切な人を奪われたので復讐を決意します  作者: 寒い


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借金の形

 鬼塚達は憐を気を失った憐を車に詰め込み、夜の街を走る。

 そして運が良いのか悪いのか、憐は車で運ばれている途中で目を覚ます。


「鬼塚さん、あそこの家やばくないですか?」

「ああ、そもそも自分達のガキを売る時点でまともじゃあねぇな。俺達が言えたことじゃあねえがな。日本のガキは高く売れる。本体が売れなくても新鮮な臓器はそれだけで価値がある」

「でもこんな街中で堂々と誘拐して・・・その、大丈夫なんですか?」

「お前はこれが初めてだったか。安心しろ、この街にある防犯カメラの位置は把握している。それに、仮に映ったとしても問題ない。オヤジはこの街の市長と深い関係にあるからな、よっぽどやらかさねえ限りは揉み消せる」


 チンピラの男2人が運転席と助手席に座り、手を縛られて後部座席に座らされている憐の隣に座っており、スマホを取り出しロックを解除する。

 憐はその瞬間を目に焼き付けていた。


「兄貴っ! そいつ起きてます!」

「あ?」


 運転していた男がルームミラー越しに憐が目を開けている事に気づいたのだった。


「お目覚めか。大人しくしておけよ。痛い目に遭いたくなければな」

「・・・・・・」


 鬼塚の言葉に憐は沈黙を貫く。


「何が起こっているのか分かってね顔をしているな。お前は売られたんだよ。あいつらにな。これからお前は海外の金持ちに売られるんだよ。もし売れなければお前は殺されて臓器だけ売られる事になるだろうなぁ」


 鬼塚は独り言の様に呟く。


「まぁ、どっちにしろこれからお前が歩むのはカスみてえな人生ってわけだ」

「・・・・・・」

「おいクソガキ。俺が教えてやってんだ返事くらいしろ、よっ!」

「がはっ!?」


 反応のない憐にムカついたのか、鬼塚は憐の腹を一発殴る。


「おいおい反応が薄いな。もっと喚いてもいいんだぞ?」


 憐は鬼塚を睨み返すだけで声は出さなかった。

 今まで隼人に殴られ、泣けばもっと殴られる。

 だから声を抑えて我慢していたら、殴れる事に慣れてしまっていた。


「睨むなよガキ。どうせ死ぬんだぞ? 耐えても意味ないぞ? 泣き叫ぶか反抗でもしろよ」


 鬼塚は暴力が好きだった。

 自分よりも弱い生き物が強者である自分に対して泣き喚き許しを請う姿が好きで、そして一筋の希望に賭けて抵抗して挑んでくる相手をボコボコにするのはもっと好きだった。

 今回もそんなつもりでアレスの口を塞がなかった。

 騒がれても力で黙らせられるからという理由もあるが、第一に鬼塚自身はその悲鳴を聞きたかったからだ。

 しかし、一向に何の反応もしない憐に対して苛立ちが募っていく。


「お、鬼塚さん・・・あんまり殴らない方が・・・傷が付きますよ」

「っち! 分かってらぁ。んだこいつはよぉ。さっきから何の反応もねえ」


 助手席に座っていた部下に注意されて冷めたのか、憐から視線を外してポケットからスマホを取り出した。

 ーーー瞬間。


「うあああああ!!」

「ぐっ!? はっ! 急にやる気になったか!?」


 憐が縛られたままの腕を鬼塚の頭目掛けて振り切り、ぶん殴る!

 少しよろつきスマホを落とした鬼塚だったが、すぐに憐の腹を殴り返す。


「ぐっううあああ!」


 憐は目を見開き痛みに耐えながらもその目に恐怖はなく、ただ生きたいという本能でもってがむしゃらに鬼塚の頭を何度も殴っていると鬼塚の動きは次第に鈍くなっていき、動かなくなる。


「鬼塚さん!」


 助手席に座っていた男がシートベルトを外し後部座席にいる憐を取り押さえようとするが、もう遅かった。


 ドオオン!という音と共に憐の座っていた扉が吹っ飛んでいき、憐はそのまま外へと転がり落ち血が出る程の傷を負いながらも夜の街の路地裏へと入っていき闇の中へと消えていったのだった。

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