〈45話〉世界は恐怖する
「憐様!」
「ベル、終わったよ」
「良かったです・・・・・・圧勝でしたね」
「そうだな。思っていたより呆気なかった。戦闘機の方は戦いにくいな」
「強くはないんですね」
「まぁ早いから面倒なだけだしな」
戦闘機はすぐに俺の射程の外に逃れられるからな。
1機だけとか、固まってしまった飛んでたら楽なんだがな。バラバラに動いてるときは1機ずつ対処せざるを得ない。
その対策も考えておかないとな。
「とりあえず、お疲れ様でした」
「ああ、ありがとう」
「家へ帰りましょうか」
「そうだな」
ベルと共に家へ歩き出す。
家の窓からは子供達がこちらを見ていて、俺とベルが戻っているのに気づくと奥に引っ込んで行った。
「結局、私の出番はありませんでしたね」
「お前が居たから安心して戦えたんだよ。いつも助かってるよ」
「そう、ですか・・・・・・ふふ」
「なんだ?」
「いえ、お役に立てて良かったです」
ベルは口に手の甲を当てて優しく笑う。
ああ、綺麗だな。
もしかたら花を咲かせるんじゃないかと思えるほど眩しい笑顔だ。
「憐様! ベル様ー!」
「わああああ!!!」
「お?」
「お出迎えのようですね、憐様」
子供達が家の扉を開けて一斉に駆け寄ってくる。
皆笑顔で、顔からは一切の不安が消えていた。
「おかえりなさい!!」
「流石です憐様!!」
「かっこよかったです!!」
「私ね、憐様にご馳走お見舞いするの!!」
「俺もする!!」
子供達が俺とベルを囲み口々に感想を述べていく。
そして今日も料理を作ってくれるようだ。
「良かったですね。初陣での勝利、彼らが盛大に祝ってくれるみたいです」
「ああ、これほど嬉しいものは無いな。1番の生きがいと言ってもいいかもしれない」
「むっ、今の発言は聞き捨てなりませんね。いいでしょう、私の料理が1番だと、憐様の胃袋に教えてあげます!」
ベルが子供達に対抗するように袖を捲って自分の腕をぺちぺちと叩いている。
「さぁ早く行きますよ!」
「待ってーベル様!!」
「俺も手伝う!!」
ズンズンと早足に家に向かっていくベルの後を子供達が走って追いかけていく。
とても微笑ましい光景だ。
自分に子供がいたら、こんな感じなんだろうなとたまに想像する。
「憐様ー! ゆっくり帰ってきてくださいね!!」
ベルがこちらに振り返り、手を大きく振りながらそんなことを大声で叫ぶ。
「いやもう目の前なんだが・・・・・・」
たった今家の中に慌ただしく入っていったベルと子供達の背中を見て、苦笑しながらそんなことを呟く。
その数秒後、普通に家に入るとベルに早い!
とりあえず手洗って待っててください!
とツッコミを入れられてしまった。
いやどうしろってんだ。
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世界を混沌に貶めた国際最重要人物、神崎憐。
数十年前、突如としてSNSに現れて話題をかっさらった一人の人物である。
しかしその数ヶ月後、彼の犯罪動画がSNSを中心に広がり、世界中で取り上げられた。
このことをきっかけに世界の歯車は大きく動いていく。
そこからさらに数ヶ月後、彼は東京都新宿区に現れた。
そこで世界を激震させた出来事が起こる。
神崎憐は日本の首都である東京都を壊滅させ、その隣県である神奈川県と千葉県も壊滅させた。
あまりに衝撃的な出来事で、世界中の各国政府の高官や有名人などが反応を示した。
その後数年間、神崎憐は世界中を回りながら、手当たり次第に都市や街を破壊し、大勢の人間を殺害した。
この時に、国際連合により神崎憐は国際最重要人物として世界中に指名手配された。
さらに数年後、中東の大企業のアカウントからの突如始まったゲリラ配信で出現。
そこで街を破壊することを辞めると宣言。
その時に各国に‘’俺達‘’を狙うなと発言。
後に複数の少年少女を匿っていたことが判明。
これを守るために宣言をしたのだと予想される。
その数日後、各国の都市上空を島が横切る事件は発生。
原因は判明しており、島を先導するように神崎憐が先行して飛んでいたとの報告多数あり。
そのまま太平洋のほぼ中央に着陸したことをアメリカやロシア、中国が観測。
ほぼ同時刻、神崎憐及びその庇護下にいる者の討伐隊結成が発表された。
各国の動きは迅速で、島の行き先が確定した時点で各国は海軍を出撃させ、神崎憐のいる島へと集結。
しかし結果は大敗。
世界連合艦隊は生き残った数隻を除き全滅した。
生存者から伝えられたのは、神崎憐が再び世界を敵と認定したということ。
その後数年間、神崎憐は世界中を周り、街を焼き、民間人や軍人関係なく惨殺を繰り返した。
特に政府関係者には厳しく拷問が施されたという記録もある。
その後新たなトップが出来た国や、周りの国の末路に怯えた国々は、神崎憐と不可侵を結ぶ選択肢をとった。
かくして、世界を巻き込む大騒動は幕を閉じたのだった。
次回最終話です。
20時前後に投稿予定。




