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人ならざる力がバレて世界中に狙われた少年、人類の敵と認定されて大切な人を奪われたので復讐を決意します  作者: 寒い


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〈43話〉反逆者は奮走する

「それじゃ、行ってくる。そこまで長くはならないと思うけど。家を頼んだぞ」

「はい。任せてください」


 早朝、まだ陽もあまり出ていない時間。

 子供達はまだ家の中で眠っている中、俺とベルは外に出て、別れの挨拶を交わしていた。


 空を飛び、どんどん加速していくとすぐに島は見えなくなる。

 島を運んでいた時とは違って俺1人なら全力で飛べる。


 俺も成長した、今なら相手が戦闘機でも簡単に相手どれる。

 今までに数機だけだが撃墜させた経験もある。

 数が少ないのはそもそも街中での戦闘が多く被害を出さないためか戦闘機が出てこない。


 っとまそれは置いといて。

 今回島を離れた目的だが、あの島に足りない物の調達だな。

 まだまだ沢山あるが、とりあえずは当面の食料調達をしなければならない。


 電気は問題ないか、定期的に蓄電器に俺かベルが直接貯めればいい。

 水も同じだ。

 これは島を移動させる前から変わっていない。


「さて、そろそろ見えるか」


 今回の目的地は日本だ。

 ここ数年は日本から離れていたから懐かしい気持ちもある。

 けれど、やっぱり嫌な思い出の部分が大きいな。


「久世さん、どこにいるかな」


 まだ生きているのかも分からないけど、歳的に寿命で死ぬとかは無いだろうし、会えるなら会っておきたいな。


「ここはまだ全然進んでないな」


 着いたころには陽も沈んでおり、淡いオレンジ色に空が染まっている。

 東京、神奈川、千葉の復興はあまり順調では無いようだ。

 新しく建物が立ったりはしているが、壊滅した範囲が広すぎてまだまだ更地の部分が多い。


 まぁ滅ぼした側が心配することでは無いか。

 見つかりたくないし、早々に離れよう。


「島にない物か、だとすると食料面が心配だな」


 当分の間は俺が近くの大陸から調達するしかないが、ずっと続けるのも面倒だし、あの島で時給時速が出来るようにしておきたいな。


 今は騒ぎを起こしたくないし、山の付近で事前に着陸してから名も知らぬ村に繰り出す。

 街だと人が多くてバレそうだし、ここの村は上から見た感じ人も少ないし老人が多い。

 多分バレないだろう。


 それにそこまで多くはないが、日本の金はある。

 野菜の種でも買うのがいいか?

 俺はあんまりその辺の知識はないが、農家出身の子がいた筈だ。

 その子に頼ってみるか。


「一応、買っておくか」


 たまたま目に付いた、野菜の育て方という農業本を1冊買っておいた。

 念の為ね、念の為。


「家畜とかも育てないといけないかな?」


 う〜ん難しい。

 野菜だけの自給自足なら案外何とかなりそうではあるが、家畜となると一気に難易度が上がるな。

 まぁ一応考えておくか。


「とりあえず今日は寝る場所探すか」


 そう言って山のほうに戻るため振り返り歩き出す。


「人いないところならどこでもいいか」


 山の生活にも慣れたもんだし、とりあえず適当に人のいない奥の方にいけばいいか。


 そんなことを考えながら歩いていると、誰かが後ろから近づいてくる。

 偶然かもとも思ったが、10分以上適当な路地に入ったりしてもついてくる。

 つけられてるな。

 どうするか。


 次の曲がり角で殺して山にでも埋めるか?

 いや、それはダメだな。

 誰にどこで見られているか分からない。

 あんな宣言をしたんだから人は殺さない方がいいか。


 直進は行き止まり、右に曲がり、そこで待機する。


 街頭の光からつけていた人物の影が近づいてくる。

 もう少し、あとちょっと・・・・・・。


「俺をつけてるな? 誰だ?」


 出てきた瞬間に、声をかける。

 距離を少し空け、特に何もせずに。

 周りに人はいない、監視カメラもない。

 とはいえ殺すのはやめておこう。

 問題になりそうなら最悪飛んで逃げる。


 そうなったらこの街は使えなくなるなあ。


「お前、神崎憐か?」


 その人物は黒色の帽子を深く被り、マスクつけていて顔が分からない。

 そしてこちらの素性は割れている。

 逃げた方が良さそうか。


「そうだと言ったら?」


 念の為こいつの正体を探って起きたいな。

 俺の敵となり得うるのか、なり得ないのか。


「やっぱりか。あん時のガキが、大きくなったな」


 そう言ってその男はマスクと帽子を外す。

 露わになったその顔は、この国で唯一残っている見しった顔だった。


「久世さん?」


 俺が自信なさげにそう問うと男はニヤッと笑って頷く。


「ああ、久しぶりだな。神崎憐」


 数年越しに会った久世さんは、記憶の久世さんよりも少し老けて、髭も生えていた。

 少し清潔感は無くなっていたが、どこか前よりも生き生きしている感じがした。


「暴れてるみたいじゃねえか」

「ええ、ただ、それはもう辞めました」

「ああ、そうだったな。お前の配信のアーカイブを見たぞ。どういう風の吹き回しだ? 守りたい者でも出来たからか?」

「ええ」


 久世さんの少しからかったような言葉に俺は迷うことなく頷く。


「本当か?」

「本当です」


 久世さんは意外だと言わんばかりの表情をしている。

 いや、なにかを言うの迷っている?


「お前、ってことはあの島にそいつらがいんのか?」

「島? なんで知ってるんですか?」

「そりゃあな、空飛ぶ島が幾つもの国の上空を領空侵犯しながら飛んで行ったんだ。

 世界中でニュースになってるだろうよ。

 そこまで来たら場所くらい簡単に特定される。

 遥か上空から地球を監視出来るカメラも大量にあるしな」


 人工衛星か。

 まぁ場所がバレるのは問題ないか。

 あれは防げないだろうし。


「ってんなことより、お前ニュース見てねえのか?

 世界が連合を組んでお前の島を沈めるとか言ってんぞ!

 中国、ロシア、アメリカ、欧州やら・・・・・・日本も入ってる。

 こんなところに居ていいのかよ?

 島は大丈夫なのか?」

「・・・・・・は? 何ですかそれ?」


 何を言っているんだ?

 世界が連合を組む? 島を沈める?

 何を言ってるんだ?

 ロシアとアメリカが協力?

 冗談はよせ、あいつらは俺が世界中で暴れ回っていてもいがみ合っていたんだぞ。


「ほら見ろ」


 そう言って久世さんは俺にスマホを差し出してニュースを見してくれる。


 世界連合艦隊。

 太平洋にあるたった1つの、数人しか住んでいない島を沈めるために結成された世界最大最強の戦力。


「人類の宿敵、国際最重要人物である神崎憐、お前を殺すために結成された世界連合軍だ。早く行った方がいいんじゃないか」

「久世さん、ありがとうございます!」


 久世さんが言い終わるか俺が動き出したのが先か。

 人の目なんてどうでもいい。

 空を飛び、全力であの島に戻る。


「死ぬなよ!」


 もう結構な距離離れてしまった久世さんが背後からそう言ってくれる。

 手を軽く上げて反応しておく。


「頼むッ、間に合ってくれッッ!」


 あっという間に海に出た。

 ここからは高度を落とし、海面ギリギリを高速で飛んでいく。



 世界が、いがみ合っていた人類が、今は一丸となり協力している。

 たった1人の反逆者を狩るために。


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