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人ならざる力がバレて世界中に狙われた少年、人類の敵と認定されて大切な人を奪われたので復讐を決意します  作者: 寒い


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〈42話〉そんなあなたは好きじゃない

「それじゃあ始めるから、家から出るなよ!」


 そう声をかけ、俺は空へ飛ぶ。

 ある程度の高さへ登ると、止まり、下を見下ろす。

 子供達が入っている家ちその周辺がよく見える。


「よし、やるか」


 そう言って手を前に突き出し、物を操る力を使

 って地面を抉り取っていく。

 あまり適当にやると振動で家が崩れそうなので、出来る限りゆっくり丁寧に。

 家と周辺の土地を宙に浮かすと、直径700mほどの浮島のようなものが出来上がった。


 土が下に伸び、逆三角錐のような形。横に平べったく、あまり尖ってはいない。

 その尖っている部分が下にある感じだ。


「家が壊れなくてよかった・・・・・・それじゃあ移動するぞ!」

「わかりましたー!!」


 俺が家のほうに声をかけると、家の外に出ていたベルがこちらに向けて手を振る。


 ここからは長旅になる。

 元々あの廃墟があった地域は中東の東の方にあった。

 そこから太平洋の中央付近までも移動となれば、数日はかかるだろうか。

 地球の4分の1くらいを移動するわけだから、それくらいはかかりそうだな。


 俺1人で全力で飛べば1日2日もかからんだろうが、島をそんなに高速で動かすのは怖いな。

 崩れないようにそっちに意識を割いてるし、まぁ時間はある。

 ゆっくり行こう。


「わああああ!!」

「凄い凄い!」


 先頭で飛んでいると、後ろにつけている島から声が聞こえる。

 軽く振り返ると、子供達が窓を開けて楽しそうに外を覗いてキャッキャッしていた。


 すごく微笑ましい光景だ。


「頑張りますか」



 それを糧に途中休憩を挟んでも1週間足らずで目的の場所へと到着した。


「やっとか」


 ゆっくりと減速していき、停止させる。

 そして宙に浮かしている島を少しずつ高度を下げていき、海に着水させると、ザブーンという轟音と共に大きく揺れ、陸地の部分が浸水しないように調整し、そこで止める。


「よし、任務終了」


 トッと軽やかに島に着陸する。

 ここ数日はずっと力使っていたから疲れたな。

 最近は力を使っても疲れることは少なくなっていたが、流石にこれはしんどかった。


 けど、達成感はある。

 自分自身でもよく出来た方だと思っている。

 そう満足しながら家の方へ向かっているとベルが走って近づいてくる。


「お疲れ様です! 憐様!」

「ああ、ベルもお疲れ様」


 ベルには島が飛んでいる間に家が壊れないように、風を受け流してもらっていた。

 俺が飛ばしている間はベルもずっと力を使っていたから、結構疲れているだろうな。


「「ただいま」」


 夜ももう遅く、陽は完全に沈みきっており周りは暗い。

 2人で一緒に明かりがついた家へ戻ると、いつもは全員で出迎えてくれる子供達が2人ほどしか居なかった。

 その代わり、リビングの奥からいい匂いは漂ってくる。


「おかえりなさい! 皆でご飯作ったよ!」

「用意するから待っていてください!」


 そう言って2人ともトタトタと奥へと戻っていく。


「手洗うか」

「そうですね」


 ベルと一緒に洗面台へ行き、蛇口をひねらずに自分で目の前に水を出し手を洗う。

 ベルはなんだか嬉しそうだ。


「よし、行こうか」

「はい!」


 リビングに行くと、子供達が慌ただしく食器を運んだり完成した料理を長机に置き、ご飯を茶碗に掬う。

 特に年齢が高い2人の子達が主に調理を担当しているようだった。


「はい! 皆で協力して作ったよ!!」

「食べて食べて!」

「待って! いただきますが先だよ!」

「みんな手を合わせて! いただきます!」


 全員が席につき、手を合わせていただきますしてから食事が始まる。

 食欲をそそられるいい匂いを前に、俺はご飯とおかずにがっつく。


「美味い!」


 俺が一通りのおかずを食べてそう一言言うと、皆一斉に笑顔になる。


「そう? えへへ〜」

「ベル様の料理を真似てみたの!」

「僕はじゃがいもの皮切りました!」


 皆それぞれが自由に話しだし、食卓は一気に賑やかになっていく。

 ベルもずっとニコニコしている。

 こういうのもいいな。


「本当に美味しいですね! あなた達には料理の才能があります!」

「本当!? やった〜!」

「これからも私が作ろうかな!」

「僕も手伝う!」

「俺も〜!」


 子供達がここまで自分達だけで出来るようになるとは、成長が早いな。

 とても素晴らしいことだ。

 あんなことがあっても、めげずに皆頑張って生きていてくれている。

 それだけで、なんと嬉しいことか。


 その日の食事はいつもよりも長い時間続いたが、賑やかさは衰えることなく最後まで楽しい時間を過ごせた。


「悪くなかったな・・・・・・」

「ふふ、そうですね。いい時間でした。それに、あの子達が料理を作れるようになれば私もサボれるので」


 食事も終わり、子供達が就寝した後。

 今日俺とベルは2人でお茶を飲みながらゆったりとした時間を過ごしながら少し前の感想を言うと、テヘッと少しおちゃらけた感じでベルが返答する。


「ベルは1人で頑張りすぎだったしな。これからは俺にも頼ってくれ」

「え?」


 俺の返答がおかしかったのか、ベルは少し驚いたようにこちらを見る。


「そんな、私なんてそんなに・・・・・・憐様の方が、沢山背負っていますし」

「そんなことは」

「私はもっと強くなって憐様の役に立ちたいのです。例え戦場でも」

「・・・・・・ごめんな」

「どうして謝るんですか」

「俺はその願いを叶えさせてあげられない。俺はベルにもあの子達にも、そういうのをして欲しくないんだよ」

「分かっています。憐様は優しい方ですから」

「そんなことない。俺はこれまで、沢山の命を」


 奪ってきたんだ、そう言おうとして、止められた。

 ベルが机の上に乗り出し、人差し指を俺の口に当てる。


「それ以上は言わないでください。もう聞き飽きましたよ。自分を卑下するあなたは好きじゃない」

「ぁ、ああ、ごめん」

「いえ、こちらこそ失礼を言いました」


 ベルの圧に押され謝ると、ベルはニコッと笑って自分の椅子に戻り頭を下げて謝った。


 ベルにこんなことを言わせてしまう俺は、本当にどうしようもないな。

 いや、こういうのは、もういいか。

 今叱られたばかりだ。


「ありがとうな、ベル」

「いえ・・・・・・そろそろ寝ましょうか」

「ああ・・・・・・そうだな、おやすみ」

「はい。おやすみなさい」


 ベルと寝る前に挨拶をして、その日は眠りについたのだった。

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