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人ならざる力がバレて世界中に狙われた少年、人類の敵と認定されて大切な人を奪われたので復讐を決意します  作者: 寒い


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〈32話〉決意

「殺すなよ!! 腕か足を狙え! いいな? 突入するぞ!! 迅速に行動せ」

「っ!? 隊長!」


 煩い集団が奥からどんどんやってくる。

 今も大きな声を出していた奴を1人握りつぶした。

 自ら来てくれて探す手間が省けた。


 1人残らず殺してやるッ!


「な、なんだ・・・・・・どうなってるんだ、これはッ」


 次から次へと俺を狙って銃を構えて突撃してくる悪魔を殺していたら、いつの間にかこの部屋は血の池となっていた。


 そしてその中央から部屋の扉を眺める俺と、そこから入ってきた1人の兵士。

 兵士はこの惨状を見て、言葉を失う。


 兵士が部屋を見る。

 その辺に血だらけの肉塊が転がり落ちており、壁の端には何度吹き飛ばされたか分からないほど電子機械は大破しており、血が付着し、見るだけで嫌悪感があるほどの何かが媚びりついている。


 そして、視線は次第に俺の方へと向く。

 ヘルメットの少し下、その目は、あまりの恐怖に染められ、絶望し、全てを諦めている目だった。


「ぁ、悪魔・・・・・・」


 そう一言だけ残した兵士を、俺は潰した。


「悪魔はお前らだろ」


 そう、そうに違いない。

 なんの罪もない人をあいつらは痛ぶり、殺したのだ 。

 それが悪魔でなければなんだと言うのだ。


「来ないな・・・・・・俺から行ってやるか」


 途切れることなくここへ来ていた兵士が来なくなった。

 まだどこかにいるだろう。

 銃を持った奴らだけじゃない、ここにいる悪魔は全員殺さなければならない。


「・・・・・・」


 そう言えば、いつの間にか立っていた。

 腕も動かせる。

 痛みは無い。

 包帯は真っ赤だが、もう止まっているだろう。


 これなら幾らでも殺せる。

 逃げようが、追いかけることも出来る。


 お前らがしたように、俺もお前らを絶望まで落としめてやる。


「さて、行く・・・・・・か」


 悪魔を(みなごろし)にするため進もうとしたら、力無く地面に倒れ込んでしまった。


 足は痛くない。

 まだ動かせる。

 しかし、眠気が酷く立ち上がれない。

 それどころかどんどん意識が薄まっていく。


「くッ・・・・・・そ」


 そのまま俺は気絶したかのように意識が途絶えた。






 何か服が濡れている気がする。

 それだけじゃない、自分が池の中にいるような、そんな感覚だ。


 鼻を突くような異様な臭い、なんだろうか。


 意識が覚醒し、パチっと目を開ける。

 そしてすぐに飛び込むは白い天井、そして横を見ると

 ーーー真っ赤に染った壁や床に、大型の電子機械にサッカーボールほどの肉塊。


「ぅ、おええええ!!!」


 それを見た瞬間、反射的に吐いてしまった。

 そして全てを思い出してしまった。

 ここで何があったか。

 千代さんが殺され、柚葉さんが殺された。


 そして、この殆どの血は自分が殺した人間の血。

 そしてあの肉塊は・・・・・・!


「うッ、おうぇえ!」


 そんなことを想像してまた少し吐いてしまった。


 自分は、なんてことをしてしまったのだろうか。

 これだけ大勢の人間を殺してしまった。

 この中には、もしかしたら殆ど関わっていない無関係な人もいたかもしれないと言うのに。

 こんなにも惨い殺し方を・・・・・・こんなにも簡単に殺してしまった。


「っ、柚葉、さん」


 そして動揺する視界に映ったのは地面に倒れ、頭から血が流れている柚葉さんだった。


「柚葉、さん! 柚葉さん!!!」


 何度叫ぼうと、その体が反応することは無かった。

 それでも、柚葉さんの元へ駆け寄り、体を揺さぶり、声をかけ続けた。

 もう一度、この人の声が聞きたくて。

 もう一度、この人の笑顔が見たくて。


「柚葉さん、お願いします!

 目を覚ましてください、お願いしますお願いします・・・・・・ぁあ、神様! 何でもします!

 死ねというのなら、自分が死にます! だからッ、柚葉さんを・・・・・・」


 それでも、柚葉さんが動くことは無い。

 神様が振り返ることはない。


「うっ、う、ぅぅ」


 柚葉さんの体に寄りかかっていると、泣いてしまった。

 殺してしまった。

 自分のせいで、千代さんも、柚葉さんも。

 大切な人達を。


 自分さえ居なければ、こんなことにはならなかった。

 あのまま2人で幸せに暮らして、柚葉さんは将来いいお嫁さんになっていただろう。

 それを、自分のせいで潰した。

 それどころか殺してしまった。


「・・・・・・」


 ただ何も考えず、ボーッとしていて、時間だけが流れていく。

 何もやる気が起きない。

 何をしたいとも思えない。

 自分は、何をすればいいんだろうか。

 何を目標に生きていけばいいんだろうか。


 そんなことを、自分の息遣いしか聞こえないほどの静かな部屋の中で、何をするでもなくただ無心に考え続けていた。



 少し経ったあと、顔は涙の跡で汚れ、しかし心は落ち着いてきた。

 柚葉さんの体を抱えたままゆっくりと部屋の中を見渡す。


 目に映るのは乾いた血や肉塊、ボロボロの機械。

 目が覚めた時に見たのと変わらない悲惨な部屋。


 ただ少し違ったのは、プロジェクターがまだ生きていたこと。

 床に倒れ、天井に映像を映している。


 ゆっくりと丁寧に柚葉さんの体を地面に置いて立ち上がり、フラフラとそちらへ寄っていく。

 足に痛みは無いけど、力は入らない。


 上を見あげてプロジェクターが映している映像を見る。

 先程のニュースの続きが流れていた。

 音声はない。

 しかし、テロップは何の話をしているのか。

 何のことを言っているのか分かる。

 分かってしまった。


「なにも、知らないくせに」


 それは天城家を批評しているものだった。

 先程もいたスタジオで話し合いをしており、端っこにはコメントのようなものが流れていく。


 そいつらは犯罪者と言われている自分を匿った柚葉さんと千代さんを悪く言っている。

 なにも知らないやつが。

 苦労してなさそうな、呑気な顔をしたやつが、匿名だからと何でも言っていいと思っているイカれた奴らが、優しくて、温かくて、人思いのあの人達を貶している。


「ああ、そうか」


 思い出した。

 自分がこいつらを殺した理由を。

 思い出した。

 なぜ先程までの自分は、あそこまで怒り狂っていたのかを。


「復讐だ」


 そう、復讐のためだ。

 自分を苦しめた、柚葉さんやその他の大勢の優しい人を苦しめ殺した奴らを、生かしては置けないからだ。

 なんせ悪魔なのだから。


 そしてここに映る奴らもそうだ。

 苦しい環境でも必死に生きてきた柚葉さん達を、何も知らない呑気な奴らが貶し、馬鹿にし、あげく罰しろなどと言っている。


 こいつらは全員悪魔だ。

 殺すべき対象だ。

 いや、殺さねばならない。


 見た目は自分とさほど変わらない人間の姿形をしている。

 騙されるな。


「俺がお前らに、罰を下してやる」


 篠原さんに頼まれただろう。


 こいつらを、この狂った世界を殺してくれと。


 これは、力がある俺にしか出来ない使命だ。


 だから今、この使命を果たす。



 この世界に巣食う悪魔共を、鏖にしてやる。


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