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人ならざる力がバレて世界中に狙われた少年、人類の敵と認定されて大切な人を奪われたので復讐を決意します  作者: 寒い


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〈31話〉人ならざる力

「おばあちゃあんッ!!!」


 ベッドの上で眠る千代さんの姿を見た柚葉さんは兵士を振り解き千代さんの元へ駆け寄る。


「おばあちゃあん! 大丈夫!? ねぇ! 起きて!」


 柚葉さんが千代さんの体を軽く揺すり起こそうとする。

 しかし、千代さんの起き上がらない。


 ベットの上で眠る千代さんの姿を見た時点で、嫌な予感はあった。

 けれど、それは今ので殆ど確信に変わってしまった。

 麻酔で寝ている、なんてことは無いだろう。

 そもそも本当に手術をしたのか。

 その手術は千代さんを治すためなのか?


 病院での手術が終わったあとの千代さんは本当に、もう一度大規模な手術が必要なほどの命の危険があったのか?


「おばあちゃん、起きて、起きてよ・・・・・・なんで、憐君、おばあちゃんが起きない・・・・・・なんでかな、まだ眠たいのかな。お願い、1回だけでいいから目を開けて・・・・・・神様、一生のお願いです。おばあちゃんをッ、おばちゃんを起こしてください!」


 柚葉さんの声は目の前で起こっていることを信じたくないという願望と、時間が経つにつれ現実を直視しなければならない悲しさと不安に震えていた。


「どうだ神崎憐、私に従いたくなったか? その訳の分からない力を、私の奴隷になって従順に従い使おうと思ったか?」


 大臣が何かを語りかけている。

 けれど、今の自分にそんな言葉は届かなかった。

 今目の前で自分の大好きな人が、家族を、大切な人を殺され悲しんでいる。

 いや、まだ分からないさ。

 きっと大丈夫、千代さんは少し眠っているだけだ。


「おい、無視をするなよ神崎憐。天城千代は死んだぞ。いや、殺したと言った方が正しいかな? お前の為にな」


 どれだけ神に祈ろうが、神は振り向かない。


「あ、あああ!! ああぁぁ・・・・・・ぁ」


 自分に向けて放たれたその大臣の言葉を柚葉さんもハッキリと聞こえていたのか、力なく膝から崩れ落ち、涙が頬を伝い、止まらない。


「柚葉、さんっ」


 自分のせいでこんなことに・・・・・・。

 ごめんなさい。


 立ち上がろうとしても足に力が入らず、ガクッと床に倒れる。

 腕も痛い、血は今だ止まらず、乾いてきた血はまた新たに流れてくる血で上書きされる。

 けど、進める。

 這って進める。

 なら進め。


 柚葉さんの元に。


 なんのために?


 自分のせいで千代さんが殺されて、その謝罪をするため?

 千代さんが殺されて心に穴が空いてしまった柚葉さんを助けるため?


 理由は自分でも分からない。

 けれど、今は柚葉さんの傍に行かないと行けない気がして。

 体が勝手に動いてしまった。


「まだ無視するか・・・・・・まぁいい、あいつにも急かされたし、もう終わらせるとしよう。おい!女も殺せ!」


 目の前で床に倒れ込み、波で顔をぐちゃぐちゃにした女の子が1人。

 必死に這って、その涙を止めたくて、彼女に涙は似合わなくて、けれどそれは自分のせいで涙を流させてしまった。


 まだ距離はある。

 手を伸ばす。


 大臣が何かを喚いていたけど、自分の耳には入らなかった。


 柚葉さんの涙だらけの顔でこちらを見た。


 その表情はあまりに切なくて、見てるだけで悲しくてこちらが涙も溢れそうになる。


 あともう少し、あともう少しで。


 直後、視界の端からスっと銃先が現れ柚葉さんの頭の横につけられ、一発の銃弾が放たれた。


「ぁ、・・・・・・」


 柚葉さんの体の力が抜け、銃弾の威力に体が簡単に倒れた。


「柚葉さんッッッ!!!!」


 こいつらは、一体どれだけ人を殺せば気が済むのか。

 こいつらは人間なんかではなく、悪魔なのではないだろうか。


「終わりだ神崎憐、お前の大切な人は全員死んだぞ。これでお前は私の奴隷に」


 ドオオオン!!! と轟音が部屋に響き渡るち同時に、少しの振動。


 大臣が何事だと音の発生源に振り向くと、近くにあった大型の機械が壁に衝突しており、その間には複数人の兵士がぺちゃんこになって潰れていた。

 悲鳴を上げる間もなく、いとも簡単に死んだ。


「は、何が・・・・・!? 神崎憐っ!!」


 人の法でこの悪魔達を裁けないというのなら、神が罰を下さないと言うのなら、無能な神に代わって自分が、いや

 ーーー俺が罰を下すとしよう。


「死ね」


 床に座ったまま、腕も振らず、足に力は入らないまま、けれど、今の自分には何でも出来る感じがした。


 部屋の中に残っている兵士は騒ぎながら銃を構えると同時に、上半身が握りつぶされたトマトのようにベチャッと嫌な音を上げ周りに大量の血を吹き飛ばし潰れる。


 ああ、俺は何を迷っていたんだ。

 殺しを躊躇う必要は無い。

 こいつらは人間ではなく、ただの悪魔。

 殺すべき存在なのだから。


「な、なななな何をしている!! 早くこいつをどうにかしろ!!!」


 悪魔が何かを叫んでいる。

 悪魔の言葉など人間である俺が分かるわけもない。

 ただただうるさい。


「なんなんだ! 腕を振り回さないと力は使えないんじゃないのか!!!!」


 黙れよ。

 煩わしい。


 悪魔に腕を突き出し、手のひらを広げ

 ーーー一気に握りつぶす!


 すると悪魔は跡形もなく1つの肉塊となり、静かになった。


「悪魔の頭は潰した」


 次は、残党狩りだ。


 部屋の扉がウィーンと静かに音を立てながら開くと、そこには複数の影があった。


「な、なんだこれは!? どうなっているんだ!?」

「あいつを狙え!! 頭を狙え!!」

「ダメだ!! 生きて捕獲しろ!!! あれは貴重な実験体なんだ!!」

「博士!!

 今はそんなことを言っている暇はないんです!!! 大臣も!

  その護衛部隊も全滅しているんですッ!! だから今は」

「えええいい!

 煩い煩いッ! お前らにはあれが分からんのか! あれは神の如き力だ!

 いや神そのものかもしれない!!

 その力を我々は活用出来るチャンスなのだぞッ!」

「おい! 博士を安全な場所へ移せ!

 やつは攻撃を仕掛けてこない。体力の限界か。突入後、すぐにやつを拘束!」

「ハッ!!」

「お、おい! 何をする!? 私はこの光景を見届けないといけないのだ!!」


 部屋の外で何かを喚いていると思ったら、数名の銃を構えた黒に包まれた悪魔が突入してくる。


「皆殺しだ」


 部屋に入ってきた瞬間に部屋の端にあった大型の電子機械を引き剥がして悪魔達に猛スピードで突撃させる。


「え?」


 反応出来て声を上げたのはたった1人、しかしその1人すら避けることは間に合わず、大型電子機械に巻き込まれ、そのまま壁に挟まれてグチャっと潰れる。

 悲鳴を上げる間もない、自分が死ぬことに気づくのに数秒かかるほどの瞬殺。

 そしてあまりに一方的な虐殺。

 しかし、悪魔相手に慈悲はなく、必要もない。


 交番の警察官2人と篠原さんと結城さんを拷問のごとく扱いをしたあげく殺し、柚葉さんを社会的に殺しそれだけじゃ飽き足らず騙し、彼女の祖母を殺し、最終的の柚葉さんを殺した。


 俺の怒りが収まるのはいつだろうか。

 こいつらを全員殺した時か。

 それとも自分は死ぬまで収まることはないのか。


 そんなことを気にすることはない。



 今はただ、彼女らの仇を。

 復讐を。

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