78 2人の新人も何かがおかしいと気づいていく
評価されてるカナヤとシラベも、何かがおかしいとは思っていた。
上手く言葉には出来ないが、何かが違うという思いがこみあげる。
「おかしいよな」
「うん」
それをはっきりと形に出来たのは、渡された霊気結晶を見た時だった。
「霊気が多いよ」
霊気結晶を手に入れるのは大変だ。
怪物を倒さなければ手に入らないのだから。
それをソウマ達は惜しげも無く渡してくる。
「まずはレベルをあげろ」と言って。
その量ががおかしかった。
いきなりレベル20まで上げられるほどの数を渡されて。
その後も怪物を倒して手に入れればすぐに渡される。
「金は配達で稼げる。
それに、お前らのレベルを上げればもっと稼げる」
そう言われて手に入れた全てを渡される。
確かにその通りだ。
カナヤが機械を直し、シラベがご飯を作る。
これがあちこちで求められる。
当然、報酬も手に入る。
レベルが上がれば、対応できる仕事も増える。
なおせる機械が増える。
作れる料理も増える。
その為にもレベルを上げねばならない。
これはわかる。
だが、渡される霊気結晶は何かがおかしかった。
最初は大量の数を渡されて驚いた。
それ以後は霊気結晶の質に違和感を感じた。
得られる経験値が多いのだ。
数はそれほどでもないのに。
普通の霊気結晶ではありえない。
考えられるのは、蓄えられてる霊気が多いから。
しかし、そんなものは強力な怪物を倒さなければ手に入らない。
これくらいはカナヤやシラベでもわかる。
「どこからもって来たんだ?」
「そうだよね」
渡された霊気結晶から、2人はおかしな何かを感じる。
とはいえ、だからと言って素直に尋ねるのも難しい。
藪をつついて蛇を出す危険さくらいは2人も理解してる。
とはいえ、出所不明の霊気結晶からは得体の知れない何かを感じる。
このままソウマの所にいて良いのかどうかを考えてしまうくらいに。
「もしかしたら、悪いことをしてるのかもしれない」
こんな疑念を抱くのも無理はない。
しかし、ソウマの所から出てどこにいくのか?
行くあてがないのに。
悩みはしても解決はしない。
そんな問題が増えていく。
だが、状況も待遇も悪くはない。
これが余計に悩ませる。
ここに居続けてしまう。
それに、おかしいと思っても、悪い事をしてるようには見えない。
これも判断を難しくさせていた。
悪さをする人間なら、さっさと逃げ出してしまうのだが。
そういう兆候は見えない。
だから2人はこの場にとどまっていた。
何かがおかしいと思うが、悪いところではない。
そして、悪い人たちではないと。
こう考えるのが良いのか間違ってるのかもわからないまま。
そんなカナヤとシラベを引きずりこむべく、ソウマ達は動いていく。
悪い大人のように。




