76 重要な会議は対象がいないところで行われる
「早いほうがいいよね」
とある迷宮を攻略した直後。
いつものようにソウマの転移で迷宮に向かい。
いつものように怪物も迷宮主も倒したあと。
どうしようかと悩むソウマに、サユメは短く応えた。
「秘密にしておくのも限界があるし」
「だよなあ」
話をもちかけたソウマも頷いていく。
新しく入ったカナヤとシラベ。
この2人にいつ頃、どうやってソウマの能力や強さを伝えるか。
オトハとサユメがどれだけ強くなってるのかを
おしえるのか。
これがなかなか難しい。
「教えても大丈夫だとは思います」
実体験からオトハはこう考えている。
驚きはしたが、特に文句があるわけではない。
むしろ、どんどん強くなれたのでありがたいとすら思ってる。
「これなら、もっと早く教えてほしかったくらいです」
2人の意見を聞いてソウマも考えていく。
教えていくのは問題ない。
事実を知っても、驚きはしても文句を言うことはない。
おかしな事になる可能性は低い。
とはいえ、確証はない。
「やってみなけりゃわからないか」
結局は様子を見ていく事になる。
ソウマ達によるカナヤとシラベの評価観察が始まる。
仕事の能力だけでなく、日頃の生活態度などをみていく。
特別珍しい事ではない。
どんな職場でも新人の見極めはやる。
こいつは一緒に仕事をやっていけるかどうかを確かめるために。
能力の方は申し分ない。
むしろ最高と言える。
あちこちで必要とされ求められてる。
食っていくだけなら今のままでも十分にやっていける。
では、人柄は?
性格や人格は?
仕事が出来てもこちらが駄目ではどうしようもない。
いつか必ず問題を起こす。
早いか遅いかの違いがあるだけだ。
それに技術や知識はレベルを上げればどうにかなる。
だが、人柄はどうにもならない。
レベルを上げても解消出来ない。
むしろ悪化するだけだ。
もって生まれた性格や人格の悪さが、レベルを上げる事でより凶悪になっていく。
持って生まれたひどさを実行できる力を得てしまうからだ。
ゆがんだ人間性はそのままに。
そういう人間は消え去ったが、いないとは言い切れない。
だから生き残った人間は人を見る。
年齢が高い者ほどこの傾向が強い。
かつて、人があふれていた頃はこういう問題を起こす人間がそこかしこにいたからだ。
法律もこうした人間を守り、擁護していた。
おかげで人選にはとてつもなく苦労していた。
その名残で、どうしてもまずは疑ってかかる。
問題を最初の段階で排除するために。
ソウマ達もこれにならっていく。
とはえい、採用するかどうかを考えるためではない。
ここは問題ない。
むしろ、どうにかして確保しておきたいと考えてる。
軽ワゴンの整備や維持が簡単にできるようになったし。
おいしいご飯を毎日食べられるようになってるからだ。
これらを逃すわけにはいかない。
ただ、ソウマ達がやってる事を伝えるかどうか。
そうするに値する人間かどうかだけを確かめる。
この為だけの人事評価が始まっていく。
たった5人の零細企業で何をやってるのかというところだが。
小さいからこそ最初が肝心である。
大きくなってからでは修正も対応も出来なくなるのだから。




