75 人材育成のために投資をためらう必要はない、どうやって引き込むかは考えないといけないが
村や町を巡り、荷物を届け、道具をなおして飯を作る。
しばらくはこんな日々が続いた。
儲けは確実に増えていく。
もっとも、カナヤとシラベが増えた事による人件費を差し引くことになる。
最終的にはわずかに利益になるくらい。
それでも利益は出てるのだから悪い事ではない。
それにカナヤとシラベに活躍の場所は多い。
出向いた先だけではなく、拠点となってる都市でも仕事はある。
むしろ、こちらでの作業の方が多い。
壊れた設備や機械はいくらでもある。
これらの修理でカナヤはあちこちからお呼びがかかる。
シラベの料理も要望が多い。
探索者組合の食堂にはじまり、弁当屋に食堂と働く場所は多い。
これらでは短時間で大量の、しかも味のついてる料理が求められる。
これを作れるシラベは貴重な戦力である。
全てはレベルだ。
2人のレベルが一気に上がったからこうなってる。
これがレベル1の状態だったら仕事で呼ばれるわけがない。
ソウマが最初の段階で一気にレベルを引き上げたから活躍が出来ている。
そしてソウマは2人のレベルを更に引き上げていく。
配達途中で遭遇した怪物を倒し、手に入れた霊気結晶を使わせる。
カナヤとシラベのレベルを上げていく。
「どんどん上げてくれ」
ためらう事なくソウマは霊気結晶を渡していく。
「2人のレベルが上がれば、俺が儲かる」
欲望を隠すこともなくさらけ出しながら。
ソウマが霊気結晶を渡すのは、主に自分の利益のため。
それがカナヤとシラベの利益ともなる。
利害の一致が共存関係を構築している。
「はあ……」
「それじゃあ……」
呆気にとられながら2人は霊気結晶を受け取る。
これでいいのかなと思いながら。
しかし、レベルが上がるのは悪い事ではない。
それにレベルが上がれば出来る事も増える。
今以上に機器をなおせる。
今以上においしいご飯をつくれる。
これらを拒む理由もない。
こうして2人はレベルを上げていく。
これがさらなる活躍につながる。
こうして新体制となったソウマの配達業は順調な滑り出しをみせる。
それでも不満もある。
目下、もっとも解決したい悩み。
それにソウマは向き合う事となる。
「…………どうやって2人を巻き込もう」
夜な夜な迷宮に出向いて行ってる怪物退治。
大量の経験値稼ぎ。
これをどうやって2人に告げるか。
今のソウマにとっての一番の悩みである。




