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崩壊世界で独立開業 ~怪物あふれる地球になったけど、個人事業主として地道に稼ぎます…………なお、かわいい女の子がついてきたのは予定外~  作者: よぎそーと
1章 独立開業、怪物業者

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7 しゃべれない彼女は音をつかって話していき、音を拾って敵をみつける

 翌日。

 ソウマとオトハは開業初日の仕事に赴いていく。

 ソウマが運転する軽ワゴンに乗り込んで。



「いくぞ」

「はい……」

 小さな声で返事をし、こくりと肯くオトハ。

 その顔は幾分青ざめてるようにも見えた。



「安心しろ。

 怪物だってそう頻繁に襲ってこないから」

「…………」

 無言で肯くオトハ。

 しかし、そう言われても恐怖と警戒はどうしてもこみ上げてくる。

 そんなオトハに、

「それに、佐々波の能力なら、近付く前に気づけるから」

「…………」

 こくり、またも無言の肯き。

 それを見て、ソウマは苦笑する。



(でもま、こんなもんか)

 咎めだてするつもりなどない。

 これが軍隊とか体育会系なら、「返事がない!」と怒鳴るところだろうが。

 そんな事でいちいちとやかく言うつもりはない。

(性格なら仕方ないからなあ)



 持って生まれた性分というのはどうにもならない。

 変更が出来るものではない。

 固定化された電子装置、ROMなどと同じだ。

 変わらないものを変えようとしても無駄である。

 オトハも同じだ。



 出会ったのは昨日だが、その1日でソウマはオトハの癖をある程度理解していた。

 表情に変化が乏しく、口数も少ない。

 それがとっつきづらいという印象を与える。

 だが、決して無感情・無表情というわけではない。

 声を出すのが苦手で、表情と感情が連動しにくいだけだ。

 実際には、声に出さなくても様々な事を考えてるし、普通に感情もある。



 なので、オトハなりの方法を考えてみた。

 表情はともかく、声を出す方法はないかと。

 さすがに意思の疎通のために会話が出来るようになっておきたい。

 その結果。



「じゃあ、ここから練習だ。

 昨日言ったとおり、【音響】の能力を使ってしゃべってみろ」

「はい」

 返事はすぐに出てきた。

 喉や口からではない声で。



 オトハの超能力である【音響】。

 音を操る能力だ。

 これを使えば、声に出さなくても言葉をしゃべる事が出来るのでは?

 そう思ったソウマは、使い方を提案してみた。

 効果は絶大だった。

 今までほぼ無言で反応が薄かったオトハが、返事を即座に返すまでになった。



「すいません、昨日教えてもらってたのに忘れてました」

「ああ、気にすんな気にすんな。

 新しい使い方をおぼえたばっかりなんてそんなもんだ」

「でも、おかげで言いたいことがすぐに伝えられるようになりました」

「そりゃあ良かった」

 たったこの程度の会話でも、昨日のオトハに比べれば格段の進化だ。



 なにせ、「はい」「うん」くらいしか返事がなかったのだから。

 何か言おうとしたら、一拍おいてからしゃべるという事で、テンポがいささか悪かった。

 しかも、言葉が短く途切れてしまい、聞き取りづらい。

 それが超能力を使う事で一気に改善された。



「そうやって使っていけば、レベルも上がりやすいから、頑張ってみてくれ」

 これも利点になる。

 超能力は使うことでレベルを上げられる。

 日常的に使っていけば、その分成長も早くなる。

 レベルが上がれば出来る事も大きくなる。

「こういう点では俺たちみたいな、日常的な能力は便利だからな。

 なにせ、使っても誰の迷惑にもならい」

「確かに」

 コクンと肯いたオトハが、口を閉じながら返事をする。



 これが殺傷力のある超能力だったら、迂闊に使えるものではない。

 炎を吹き出すような能力だったら、火事の原因になりかねない。

 この点では、ソウマやオトハの能力は便利なものだった。

 どれだけ使っても、誰の迷惑にもならないのだから。



「ただ、使い方も考えて覚えていけよ。

 その調子だと、考えてる事をそのまま声にしちまう可能性があるから。

 だから使い分けをしっかり出来るようにしておけ」

「あ、確かに」

 言われてオトハも気づいた。



 意識するだけで声にする事ができる。

 喉を使わないから便利だが、これだと何かを思った瞬間に声にしてしまいかねない。

 念じるだけで発動できるのは超能力の利点だが。

 下手すると言わないでよい事も言ってしまう事になる。



「気をつけます」

「うん、そうしてくれ。

 それも超能力を使う訓練になるかもしれないから」

「なるほど」

 ウンウンと頷きながら、オトハは自分の能力の使い方を考えていった。



「それじゃあ練習がてらに。

 周りの音を調べてみてくれ。

 昨日言った通り、それで怪物の何かが聞き取れれば助かる」

「はい、やってみます」

 口を閉じたまま返事をするオトハは、助手席で自分の能力を使っていった。

 周囲の音を拾うために。



 さすがに都市部の近くでは、おかしな事を発見はしなかった。

 怪物も人間が集まり、防備の固い都市の近くまで出向く事は控えてる。

 接近すれば容赦なく攻撃されるからだ。

 しかし、これが都市部から外れ、廃墟に入りしばらく経つと様相が変わる。



「……います、何かが。

 おかしな音がします」

「うん、分かった」

 聞いたソウマはハンドルを握り直す。

「出来るだけ音の少ない方を教えてえくれ。

 そっちから迂回していく」

「分かりました」

 指示に従い、オトハは音を拾う為に超能力を使っていく。



「……右の方から音が聞こえます。

 でも、右前の方は薄いようです」

「左は駄目なの?」

「すぐ近くに音は無いですけど、離れた所におかしな音がします」

「分かった」

 それを聞いてソウマは、音の鳴らない方へと向かっていく。



「その調子で頼む」

「はい」

 その後も音を頼りとした指示に従って、ソウマは車を走らせていった。

 おかげで右に左にと曲がる事は多い。

 だが、怪物の姿を見る事は無かった。



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