67 大量の怪物は一瞬にして消えた、率いた魔族はもっとあっさりと
一瞬だった。
オトハが強烈な音を放ち。
サユメが魔族の視界を幻で遮った。
動きを止めた怪物に強烈な音が襲いかかる。
鼓膜と脳を吹き飛ばされた怪物の多くが死に至る。
本能的に危険を察知した怪物の中には逃げようとしたものもいた。
しかし、サユメがひろげた幻影が壁として立ち塞がる。
黒い平面が仕切りとなって怪物のいく手を阻む。
それらは物理的に怪物を押しとどめてるわけではない。
だが、その向こうが見えないから、怪物はためらった。
そちらに進んでよいのだろうかと。
それでも無理して通って、黒い仕切りの向こうにいる怪物に当たり。
ぶつかって転がる怪物が大勢でてくる。
これが連鎖的にあちこちで起こる。
それでもまだ無事な怪物もいるのだが。
それらが慌ててる間に、仕切りの平面がまぶしく光る。
カメラのストロボのように。
瞬間的な閃光は、怪物の目をついた。
目の細胞が焼き焦げるような感覚に、怪物どもはのたうち回っていく。
これによって多くの怪物が行動不能になった。
最初の轟音によって命を失った怪物もいる。
そうでなくても目を焼かれて行動不能になってるものもいる。
これが軍勢の中心で起こった。
それもかなり広い範囲で。
1万あまりの怪物は、半分以上が戦闘不能に陥った。
これを見て牛の角を持つ魔族は呆然とする。
起こった事態をすぐには飲み込めなくて。
隣にいた三つ目の魔族はもう少し素早く反応をした。
何が起こったのかを正確に把握したわけではない。
だが、何かまずい事が起こってるのは察した。
そう思うよりも早く、体が反射的に動いた。
振り返ってその場から逃げようと。
しかし、そんな三つ目の魔族は逃げ出す事も出来ずに命を終えた。
瞬間的に首を収納空間に回収されて。
腕も、足も。
胴体も腰と胸の上下に分かれて収容された。
「逃げるなよ」
そう言いながらソウマは、角持ちの魔族の隣に転移してきた。
この場から逃げだそうとする巨大な霊気を持つ存在を察知して。
その声に牛の角を持つ魔族はゆっくりと振り返った。
驚愕のあまり呆然とした顔を向けて。
「よう」
そんな魔族にソウマは、きわめて軽やかに声をかけた。
そして。
「じゃあな」
何の感慨もなく、角持ちの魔族の体を寸断していった。
三つ目の魔族と同じように、収納空間に回収していく事で。
この2体の魔族だけではない。
この場から逃げだそうとした怪物もだ。
オトハとサユメの超能力が届かない範囲にいた怪物はそれなりにいる。
これらは、危険を察知するとすぐに走り去ろうとした。
それらをソウマは残らず回収していった。
逃げて生き延びれば、また増殖してくるからだ。
集められた怪物が消える。
まとめあげた魔族とともに。
そんな魔族の残骸を収容空間から取り出し、地面に放り出す。
分断された魔族の体は、無造作に積み上がって転がっていく。
それをソウマは侮蔑を込めて見下ろした。
「馬鹿な事を企てやがって」
この魔族が怪物を集めた事をソウマは既に見通してる。
だからオトハとサユメを連れて殲滅しにきた。
おかげで大量の霊気結晶を得ることが出来た。
しかし、費やす事になった労力、強いられた負担を考えると腹が立つ。
怪物がいなければ平穏に暮らせる。
魔族がいなければ、余計な騒動も起こらない。
これらの存在がただひたすらに人類にとっての脅威になる。
そんな魔族や怪物という存在に、これらの催す害悪に。
ソウマはただ一言でまとめて吐き捨てた。
「邪魔なんだよ」
邪魔。
人類に仇なす存在を短く的確にあらわすのにふさわしい言葉だった。
妨げになるという意味でも。
よこしまな悪魔という意味でも。
そんな邪魔を消し去り、ソウマはほんの少しだけ胸をなで下ろした。
これでまた少しだけ平和な生活が出来ると。
そう思いながらオトハとサユメの方へとむかっていく。
2人が残敵の掃討をあらかた終えてるのを把握して。
2人が倒した怪物が残した霊気結晶。
それらを収容空間に回収しながら。
「よーし、そろそろ帰ろうか」
のんびりした調子で声をかけた。
オトハとサユメも、その声に手を振って応えた。
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