59 魔族の住処、東京
世界に怪物があふれた時。
その被害がもっとも大きかったのは人口密集地である。
都市には大量の人間が集まってる。
怪物の被害者も増えるというもの。
東京が最も大きな被害を受けるのは当然。
これを逃れた者達は東京周辺に居を構える事となった。
その一つがソウマ達のいる群馬である。
ここから南に行くというのは、危険地帯に踏み込むという事になる。
途中には怪物が徘徊し、迷宮が乱立する。
これが東京に近付けば、魔族が居座る地域に踏み込む事になる。
これらが住処とする魔界もあふれてる。
怪物よりも強力な魔族。
それらがあふれる東京。
そんな所に行こうというのだ。
自殺行為といえるだろう。
勝機があるとすれば、ソウマの能力。
これならば魔族に対抗できるのでは?
強制連行される2人はそう考えた。
そう思いたかった。
「ねえ、兄ちゃん」
「なんだ?」
「兄ちゃんなら、魔族も倒せるの?」
サユメの声に、オトハも肯く。
同意を示すように。
「出来るぞ」
あっさりとソウマは応えた。
「おお!」
「!!」
サユメとオトハは希望を見いだした。
これなら生き残れると。
しかし、ソウマは無情である。
「でも、2人で出来る事はやれ。
全力を尽くせ。
それで駄目ならどうにかする」
「え……」
「…………」
ソウマの言葉に2人は目と口を開きっぱなしになった。
「手抜きなんかするなよ。
俺をあてにするな。
とにかくお前らがまずは頑張れ」
「…………」
「…………」
言葉を失った2人は、呆然とソウマを見つめていった。
その表情がソウマに語っていた。
鬼、悪魔、人でなしと。
そんな2人の気持ちを無視して、ソウマは軽ワゴンを走らせる。
南へと。
かつての県境を超えて埼玉に踏み込むのは、しばらくしてからだった。
「なーに、問題ない」
顔色を青く、更には白くしてる2人にソウマは声をかける。
励ましでも慰めでもない、2人への正当な評価を。
「今のお前らならな」
2人はこの言葉を素直に受け止められない。
だが、ソウマは心からそう思っていた。
今の2人なら問題は無いと。
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