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崩壊世界で独立開業 ~怪物あふれる地球になったけど、個人事業主として地道に稼ぎます…………なお、かわいい女の子がついてきたのは予定外~  作者: よぎそーと
1章 独立開業、怪物業者

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5 こんな悲惨な世界では危険が常につきまとう、だから商売も成り立つわけですが

「それじゃ、必要な手続きをしておこう」

 オトハと職員を促し必要な書類を作成していく。

「新人を押しつけたんだから、職員も手伝ってくれるよな」

「ええ、それはもう」

 面倒を押しつけた組合には、しっかりと仕事をしてもらう。



 それだけ組合の申請は手間がかかる部分がある。

 組織というのは何にせよ手続きが多くなり、作業が煩雑になる。

 探索者組合も例外ではない。

 ただ、無駄に仕事を増やしてるわけではない。

 所属する探索者の状態を出来るだけ把握しようとしているからだ。



 登録はいつで、どのような仕事をこなしてきたのか。

 成功と失敗はどれくらいなのか。

 仕事を割り振る上でこうした情報は欠かせない。

 なので、できるだけこれまでの実績を報告させようとする。

 当然、経歴の申請は手間で面倒になっていく。



 これらを組合に手伝わせる。

 新人であるオトハを押し付けてきたのだ。

 手間の肩代わりくらいは当たり前というもの。

 ついでにソウマの独立申請もやらせるのも、手間賃のうち。



 おかげで独立の手続きは割と簡単に終わった。

 同時にオトハを仲間として登録した。

 たった2人だが旅団がこうして結成された。



 これが終わると、ソウマは早速仕事の依頼に目を通していった。

 自分が扱える、自分だからこなせる仕事を見つけるために。

 ついでだからオトハにも手伝わせる。

「荷物運びの依頼で、村や町への配達を扱う仕事を選んでくれ」

 指示を出して依頼票を探っていく。



「……これでいい?」

 作業中にオトハが尋ねてくる。

 新人だから、何が良くてどれがダメなのか分からないのだろう。

 しかし、ソウマは決して文句を言わなかった。

「ああ、十分だ」

 こればかりは慣れないとどうしようもない。



 ただ、それを踏まえてもオトハの顔には疑問が浮かんでいる。

 ソウマが探せといった仕事は、割の悪いものといわれてるからだ。



 荷物は少なく、料金も安い。

 大手だったら赤字になるから引き受けたがらない。

 小規模な運送業ですら避けようとする。

 こういった情報は一般的な常識となってる。

 オトハだってこれくらいの常識は持ち合わせてる。



 だから思うのだ、「本当にこれで良いのか?」と。

 しかし、ソウマにとっては都合がよい。



「大丈夫、これでいい」

 怪訝な顔をするオトハにこたえるように、説明をしていく。

「確かに安いし危険だ。

 普通ならやらないだろうよ。

 でも、必要な事だからな」

 聞いてオトハは肯く。

 確かにその通りなのだから。



「大災害からこっち、都市の外への物資輸送は大変になってるからな。

 特に小規模な農村とかだとな」

 オトハもこれについては聞いている。



 10年前の大災害。

 怪物が出現したこの日、人類の8割から9割が失われたと言われる。

 この騒乱の日から、世界の多くは人類にとって危険地帯となった。



 怪物の恐ろしいところは、人に襲いかかり殺すこと。

 それもほぼ確実に。

 動物とは違い、その時の調子や状態によっては見逃すといった事はない。

 出現したその時からこの性質は変わらない。



 艱難辛苦の果てに、これらを人々はどうにか退けた。

 その後に、都市部を中心に集まり、怪物と戦い続けてる。

 さすがに怪物も、武装した人間が多く集まる都市に襲い掛かるのは控えてる。

 だが、それ以外の多くの場所は、怪物によって蹂躙され、廃墟となった。

 多くの村や町などの小規模な集落が消えた。



 都市の外は、怪物が跳梁跋扈する危険地帯となってしまった。

 そこに踏み出す人間は多くはない。



 とはいえ、都市部だけで全てがまかなえるわけもない。

 資源の採掘地や農場、移転が難しい一定以上の規模を持つ工場など。

 都市の外にあるこうした生産地も、都市を保つために必要だ。

 そして、こうした場所も様々な物資を必要としている。

 互いに物資を供給しあっていかねば、どちらも立ちいかずに共倒れになってしまう。



 だからこうした重要な地域には武装部隊などが駐留している。

 地元の人間も武装して怪物に対抗している。

 重要度は人口が最も多い都市部に劣るものではない。



 なのだが、こういった場所はどうしても人数が少ない。

 必要な量もあわせて少なくなるし、少ないから運送料も下がる。

 それなのに怪物に襲われるので、危険も大きい。

 商売として考えたら割に合わないのだ。

 少なくとも、大手の運送業などが参入するには市場規模が小さすぎる。



 ならば小さな運送業者ならばとなるが。

 都市部と各地の村や町の間には怪物がはびこってる。

 そんなところを少数で移動すれば、たちまち襲われる。

 物資どころか命すらも失ってしまう。



「だけど、俺ならどうにか出来る」

 そう言ってソウマは選んだ依頼票を持って受付へと向かう。

 どういう事だろうと思いながらも、オトハはその後ろについていった。



 依頼を受けたソウマは、荷物の置いてある倉庫へと向かう。

 そこには、伝票が貼り付けられた荷物がおかれていた。

 いずれも小口だが、集まると結構な量になる。

 それを見て、ソウマは自分の能力を使っていく。

 すると、積み重なっていた荷物が消えた。



「──収容空間」

 オトハが能力を言い当てる。

 様々な物品を別の空間に格納する能力。

「正解」

 ソウマの返事がオトハの考えが正しいことを明らかにする。

「これがあれば、荷物を運ぶ手間を考えなくて済む」

 それは運送を営む上では大きすぎる利点だった。


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