49 頃合いとみて、より難しい試練を与えていく
「いい調子だ」
劇的な成長を遂げたオトハとサユメ。
ソウマもそれを見てご満悦だ。
そこで次の試練を2人に与える。
「これならボスも何とかなるだろう」
ボス。
迷宮の主である。
迷宮の中心、迷宮を産み出す元凶。
悪意を生み出し怪物を発生させる根源。
当然ながら強力な怪物だ。
「それを私たちで?」
「いや、さすがにそれは……」
言われた2人は尻込みする。
それはそうだろう。
ボスと呼ばれる事の多い迷宮の主は強力だ。
高レベルの探索者が大勢でかからねばならない程だ。
それを2人でやれというのだ。
無理だと思うのも当然。
「さすがにそれは……」
「上手くいくかな?」
オトハとサユメには疑問と不安しかない。
「まあ、何とかなるだろ」
無責任にソウマは断定する。
「まずいと思ったら俺が助ければいいんだし」
「まあ、それなら」
「どうにかなるけど」
渋々とだが2人も納得していく。
圧倒的な強さを持つソウマが助けてくれるならと。
それでも戦うのは2人だ。
最悪の場合はソウマが助けてくれるにしてもだ。 ソウマの救援はあくまで保険だ。
自分の実力で倒すのが本分である。
その為に何が出来るのか?
これを2人は考えていく事になる。
互いの超能力で出来る事を考え。
互いの超能力の得意と苦手を伝えていき。
互いに己の超能力をぶつけあって実際の効果を確かめて。
2人で出来る効果的な戦い方を探っていく。
もちろんお互いの超能力をぶつけ合うにあたり威力は下げている。
それでもオトハとサユメはそれなりの衝撃を受けていく。
いつも一緒にいる仲間の使う超能力の特性を身をもって知っていく。
その上で、自分たちに出来る戦い方を探っていく。
お互いの能力を最高の状態で発揮できる方法を。
幸いにも迷宮も怪物もいくらでもある。
練習台には事欠かない。
再開した配達の合間に、迷宮に出向いて怪物を相手にする。
オトハとサユメの2人で協力して。
特徴をどう活かすか。
互いに何を補いあうか。
それを試して、確かめていく。
それを何度か繰り返し、手応えを感じていく。
様子を見ていたソウマも、これなら上手くいくだろうと感じていく。
「そろそろやるぞ、ボスを」
この言葉に、オトハとサユメは表情を引き締めて。
静かに肯いた。
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