44 快進撃は続く
ソウマ達の進撃は続く。
草原の迷宮の中心たる巨大樹木型怪物を倒し。
更に周囲の迷宮にも攻め入り、この中心たる迷宮の主を倒していく。
いわゆるボスといいわれる強力な怪物。
これらが苦も無くソウマによって駆除されていく。
いずれも、一定以上の規模の探索者旅団が攻略するような所をだ。
高レベルの探索者を揃えた、大勢の人数で挑み、何週間という時間をかけて。
それがソウマは1時間とかからずに攻略する。
目の当たりにしてるオトハとサユメは、何が起こってるのか分からなくなりそうになる。
ただ、迷宮の主を倒して手に入れる強大な霊気を宿した霊気結晶。
これは本物で。
これが迷宮攻略と同時にソウマによって提供される。
目の前に置かれる実物を疑うわけにはいかない。
しかもそれで2人のレベルは確実に上昇してる。
ありえない程の早さで。
一気にとんでもない程のレベルにまで。
おかげで2人のレベルは、迷宮攻略前を遙かに上回る。
この異常な成長速度にも唖然としながら、2人はソウマに付き添っている。
それはソウマの手伝いなどではない。
怪物と迷宮を蹂躙するソウマの後ろについていってるだけ。
仕事としてそばに居るとは決していえない状態だった。
これで2人がほどよく肩の力を抜ける性格だったら良かったのだが。
なまじ勤労意欲と自立心を持ってるから葛藤が生まれる。
「私たちいる必要あるのかねー?」
「ですね……」
サユメのぼやきに、オトハも肯く。
今の段階で2人の必要性はどこにもない。
その事が悩みを生んでしまう。
「気にするなって」
ソウマにとっては、それこそ気にする必要のない事だ。
ソウマは2人のレベルを上げることを最優先にしてるだけ。
必要な仕事や作業は、それからやってもらう。
今はただ地力をつけてもらえればそれでいい。
ついでに、作業内容を目で見てもらいたい。
ソウマが挑んでる迷宮。
これの片付け方。
目で見て、肌で感じて、やり方をおぼえてもらいたい。
おぼえないまでも、見て聞いて感じて欲しい。
すぐには役に立たなくても、いずれ思い出して参考になることもあるだろうから。
見て聞いただけでも、何も知らないよりは大きな学びになる。
「だから、何も気にする事は無い」
そう言ってソウマは2人を励まし、なぐさめる。
とはいえ、
「無理なのも分かるけど」
とも思う。
やる気があって、責任感がある。
こういう人間にとってつらいのは、する事がない事だ。
何も出来ずにその場にいる事に引け目を感じる。
無能で役に立たず、周りの足を引っ張っていたら確かにこれは正しい。
しかし、2人は無能でも邪魔でもない。
ソウマが要求する水準に到達してないにしてもだ。
それはソウマが桁違いに高い要求を出してるだけである。
その水準に到達してない事を、ソウマも責めることはない。
足りないなら満たせば良いのだけなのだだから。
その為の膨大に霊気を貯えた結晶である。
迷宮の主を倒して手に入るこれを、ソウマは2人に提供している。
レベルを上げるためだ。
必要な水準にするためだ。
この為にソウマは2人を連れて迷宮を巡っている。
場所を空間把握能力で確定して。
転移で一気に移動する。
更に迷宮に入れば数時間で攻略する。
怪物の大半を倒すというおまけ付きで。
おかげで、迷宮の主の分だけでなく、一般的な怪物の霊気結晶も手に入る。
「こっちは報酬用だ」
ある程度は報酬用として確保しておく。
今は怪物退治に出かけてるという名目で動いてる。
その活動を誤魔化す為に、霊気結晶はとっておかねばならない。
それでも大量の結晶が残る。
これについては、
「それ以外は経験値に使ってくれ」
といって2人に使わせていく。
こんな事を数日ほど続けていく。
迷宮攻略にどうしても数時間かかる。
中枢であるボスを倒すだけならこんなに時間はかからない。
なのだが、折角だから霊気結晶を集めようと小物の怪物も倒してるからだ。
これを迷宮内で再生産させてるから時間がかかる。
なので、1日の攻略できる迷宮は3つから5つになる。
おかげで比較的近くにある迷宮が姿を消していく。
それでも人里に最も近い迷宮は残された。
これらは探索者が攻略してるものが多く、うかつに中に入れないのだ。
目撃者が増えてしまう。
これを避けるために、いくらか遠くにある迷宮を攻略していってる。
見つからないようにする為だけに。
そうしてる中で、一つの疑問にぶちあたる。
迷宮攻略に乗り出し理由に関わる事だ。
「怪物がいないんだよな」
ソウマ達は姿を消した怪物を求めてやってきた。
しかし、その怪物の姿がほとんどない。
迷宮の外ではそれらしい姿をほとんど見つけない。
中にはたくさんいるが、消えた怪物の数を考えるとさほど多いというわけでもない。
「どこに消えたんだ?」
このような疑問が出て来る。
いきなり大量に死滅したわけでなければ、どこかにいるはず。
ではどこに?
考えるのも嫌になるが、よからぬ何かが起こってるように思えてならなかった。
(たぶん、あれだろうな)
目星はつけていたが。
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