41 迷宮の中核にして主
迷宮は悪意の塊である。
悪意の塊を中心にして発生する。
この中心となる塊とは怪物そのものである。
悪意によって生まれる怪物は、悪意によって成長する。
悪意を吸収し、己のうちにため込み、やがて変異していく。
より強力な怪物に。
凝縮された悪意をその身に宿して。
こうして強力になった怪物は、周囲の悪意を更に吸い込んでいく。
再び悪意を己のうちにため込み、更に強力になる。
これが何度も繰り返される。
そうして怪物の強さが一定の段階に到達すると、怪物は悪意の中心となる。
引力が全てを引き寄せるようになる。
悪意を引き込む重力の中心となる。
こうして集まった悪意が凝縮され濃縮され、強力な怪物の中にたまっていき。
これが放出されて、迷宮となっていく。
こうして出来上がった迷宮は、悪意の中心となった怪物の思いを具現化してるといわれている。
悪意の塊と言えるほど強力に成長した怪物の心の風景を表現してると。
迷宮とは、こうした中心となってる怪物の家であり城なのだ。
そんな中心たる怪物がボスと呼ばれる。
あるいは、主とも。
そんなボスたる怪物に迷宮の悪意が集まっていく。
怪物を発生させる事をやめ、ボスの強化に悪意を用いていく。
その悪意の流れはソウマ達にも感じ取れた。
「うわー、始まったか」
「え、え、え……」
「あ、大丈夫。
ボスがやる気出した証拠だから」
「え、あ、は……」
「あ、まだ知らなかったんだっけ?
えーとね────」
一点に向かう悪意の流れ。
これを見て驚くオトハ。
そんな彼女に、サユメは説明をはじめていく。
「迷宮のボスってね、自分がやばくなると、悪意を集め始めるんだよ」
悪意が怪物を作る。
血肉になる。
ならば、その悪意を己に集める。
自分を強化するために。
「死にたくないからなんだろうね」
だから迷宮の主は悪意を己に集める。
怪物を発生させて対抗するのではなく。
己を強化して迎撃するために。
「こうなるとボスは強くなるんだ」
当然だ、怪物を産み出すために使っていた悪意を用いるのだ。
何十何百という怪物を産み出していた素を一点に集める。
その効果は大きい。
怪物による悪意の生産は止まってしまう。
迷宮を支える悪意が消える。
しかし、瞬間的にであっても、能力は大幅に上昇する。
この強化状態で迷宮に侵入してきたものを撃退する。
「だから、ボス相手には全員で攻撃するしかないんだ」
迷宮攻略の大詰め、自分を強化した主を倒すには、相応の戦力が必要となる
高レベルの探索者を出来るだけ多く揃えねばならない。
そうしなければ対抗できないほど主は強くなっている。
そうでなくても、その迷宮で一番強いのはボスである。
それが更に強化されるのだからたまったものではない。
「けど、どうなのかな」
しかしサユメは疑問を抱く。
「兄ちゃんなら1人でもやっちゃいそうなんだよねー」
「そうですね……」
オトハも同意する。
迷宮の主も確かに強いだろう。
しかし、出現した怪物を苦も無く倒し続けてるソウマだ。
ボスすらもあっさりと倒してしまうのではないか?
そんな思いも抱く。
そんな2人をつれて、ソウマは転移する。
この迷宮の主のところに。
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