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4 一人でやっていこうと思ったら新人をおしつけられるのは熟練者の義務なのだろうか

 組合からの要望で引き合わされた新人。

 まず、見た目だけならお仲間にしたいと思わせるものがあった。

 ととのった綺麗系の顔立ち。

 細身で整った体型。

 長い黒髪と相まって、全体の印象は人形のようだった。

 表情が乏しいように見えるが、初対面の人間を前にして緊張してるならば仕方ない。

 そんな15歳の美少女がやってきたのだ。

 諸手をあげて迎え入れたいという気持ちはある。



 ただ、欲しいのは外見ではない。

 才能や能力だ。

 探索者という、怪物と戦い迷宮に挑む危険な仕事をこなせる力があるのかどうか。

 重要なのはここである。

 それで言うと、佐々ささなみオトハは少々厳しいものがある。


【音響】

 オトハの能力である

 その名の通り音を操る能力だ。

 便利ではあるのだが殺傷力は無い。

 探索者としてやっていくには心許ない能力だ。



 大災害以来、こういった超能力に目覚める者は多い。

 しかし、出来ることは様々で、中にはこういった使い勝手の悪いものもある。

 特に探索者に向かない能力の場合、一般的な仕事の従事する方が向いている。

 なのだが、昨今の世相を考えるとそれも難しい。

 探索者達も好んでこういった超能力の持ち主を抱えようとはしない。



「なのになんで俺のところに?」

 ソウマだって今日独立したばかりで余裕はない。

 それなのにわざわざオトハのような新人を連れてくる理由が分からない。

「いやあ…………渡澄さんならなんとかしてくれるんじゃないかと」

 申し訳なさそうに言う職員に、ソウマはため息を吐いた。



 確かにソウマは、使い勝手の悪そうな能力を上手く使う道を探してきた。

 ソウマ自身の超能力が使い勝手の悪いものだった為である。

 仕方ないので、己の能力で何が出来るのかをとにかく考えた。

 少しでも上手くやっていくために。

 おかげで、旅団ではそれなりに重宝された。



 これを応用して他の者達の能力の使い道も考えてやっていた。

 おかげで超能力を効果的に使って活躍していけた者もいる。

 サユメもその一人だ。

【幻影】という、幻を出現させるだけの能力を駆使するようになってる。

 姿を幻で覆って隠すというのもその一つだ。



「そんな渡澄さんなら彼女も何とか出来るんじゃないかと」

「だったら旅団に頼めよ……」

 これが旅団という大所帯にいるならまだ何とかなる。

 他の者達の協力を仰げるからだ。

 その中で、オトハの能力の使い道を探せばいい。

 しかし、独立して単独で仕事をしようとしてるところだ。

 今のソウマに他人の面倒を見てる余裕はない。

 無いのだが。



「……まあ、いいか」

 放っておく事も出来ず、オトハを預かる事にする。

「あとは男と一緒でもかまわないっていう覚悟があるかどうかだ」

「はい、かまいません」

 頷くオトハに躊躇いはなかった。

「よろしくお願いします」

「おう」

 これで話は決まった。

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