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崩壊世界で独立開業 ~怪物あふれる地球になったけど、個人事業主として地道に稼ぎます…………なお、かわいい女の子がついてきたのは予定外~  作者: よぎそーと
3章 迷宮攻略

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31 そして怪物はいなくなった、でもどこへ?

「いないな、怪物」

「いませんね、怪物」

 周囲の空間を、周囲の音を。

 それぞれ拾っていくソウマとオトハは、様子が違っている事に気づいていった。



 いつも通りの配達をして。

 そのついでに怪物退治の依頼をこなそうとして。

 そこで気づいてしまう。

 怪物が消えてる事に。



 普段は都市から村へ、そして町へ。

 更に村から村へ、町から町へ。

 移動してる間に1回は襲撃を受けるもの。

 しかし、この時の配達ではそういう事は一切無い。

 それどころか。



「怪物が消えてんだよ」

 怪物退治に赴いたらこれである。

 倒して欲しい怪物の姿がない。

 おかしいと思った地元の自警団が周辺を捜索したが、やはり見当たらない。



「まあ、隠れてるだけかもしれん。

 念のために確認してきてくれ」

 怪物退治の依頼はそのままに、念のための確認を頼まれる。

 断る理由もないので、ソウマ達は目撃情報のある場所を。

 そして、更に広い範囲を出来るだけ探っていく。

 それでも怪物の姿はない。



「音はないです」

 オトハが周りを探っても、それらしい音がない。

 ソウマも周辺を探知するが、それらしい気配はない。

 せいぜい野生の動物の姿があるかどうかだ。

 怪物が放つまがまがしい霊気、悪意の存在は見当たらない。



「足跡はあるんだけどねー」

 サユメも自分の見た痕跡を伝えていく。

 ソウマやオトハと違い、超能力での探知や探索は出来ないサユメではある。

 しかし、これらに頼らない調査・追跡能力を身につけている。

 奇襲攻撃に必要だからだ。



 相手の気配を察知する。

 足跡を見つける。

 姿を隠せそうな場所を見つけて、逆にそこを襲撃する。

 わずかな痕跡をたどって相手を追跡する。

 こういった技術や知識に磨きをかけている。



 そんなサユメの見立ては、時にソウマやオトハの探知能力を上回る。

 そこに何かがいれば、2人の方が有利だ。

 しかし、既に立ち去ったあとだと2人の能力はほとんど何の意味もなくなる。

 いる者を、ある物を見つけるのが主な能力だからだ。



 しかしサユメはそうではない。

 どうしても残る痕跡。

 これを見つける事が出来る。

 それでも、こういった事が出来る超能力には劣るが。

 しかし、残ってる何かを見つけ、それを探る事は出来る。



「行ってみるか」

 そう言ってソウマは、サユメが見つけた痕跡をたどる事にした。

 怪物がいてもいなくても、依頼者に報告はしなくてはならない。

 その為の情報を集めねばならない。



 そうして30分。

 サユメを先頭にして足跡をたどり。

 それでも怪物の姿を見つけられず。

 ソウマ達は結果を報告した。



「そうか、分かった」

 依頼者はそう言って報酬を支払ってくれた。

 怪物はいなかったが、いないならそれでいい。

 それでも、調査はしてくれたし、それで姿が見つからないなら仕方ない。

  だが、調査費用として、怪物退治の費用は払うという。



「ありがとうございます」

 依頼料の2万円を受け取り、ソウマは頭を下げた。

 サユメとオトハも同じく頭を下げた。


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