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崩壊世界で独立開業 ~怪物あふれる地球になったけど、個人事業主として地道に稼ぎます…………なお、かわいい女の子がついてきたのは予定外~  作者: よぎそーと
2章 業務拡大中

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24 ラスボス戦だから盛り上がると思ったか?

「いるなあ」

 己の超能力と、双眼鏡を用いて遠目から様子を伺う。

 見つめるソウマの目の先には、一戸建ての住宅。

 その中に体格の良い鬼がいた。



 それだけではない。

 一般人より高い背丈をした鬼の周り。

 向こう三軒両隣といった周囲の家にも小鬼がいる。

 鬼の住居の周囲に小鬼を配置して守りを固めてる。

「無駄に頭を使いやがる」

 やりにくいといったらありゃしない。



 とはいえ、勝てないわけではない。

 やれば確実に勝てる。

 ただ、手間が増えて面倒なだけだ。

 もしかしたら傷を負うかもしれない。

 死にはしないだろうが、出来れば無傷で終わらせたい。



「というわけで作戦だ」

 手際よく、効率的に片付けるために考えていく。



 まず、音が漏れるのは避けたい。

 また、倒してるところが見られるのもだ。

 なので、オトハによる消音と、サユメによる隠蔽を同時に行う。

 これにより、一軒ずつ怪物を片付けていく。



 最後に残った中心にいる怪物を倒す。

 単純だが、この方法が一番だろう。



 ただし、姿を隠し、音を消しても見つかる時は見つかる。

 なので、慎重に事を運んでいく。

 門や戸、扉や窓を開けるとき。

 庭の雑草をかき分けたり、踏み込んだとき。

 こういう動きを目撃されれば、それだけで警戒される。



 怪物の中に超能力に長けたものがいれば、使った超能力に気取られるかもしれない。

 霊気を用いて発動するのが超能力だ。

 超能力に長けたもの中には、これの動きを察知出来るものもいる。

 そうした存在が敵にいれば、接近するだけで感づかれる可能性がある。



 こればかりは運次第だ。

 敵にこれがいたら、諦めて強行突破になる。

 その場合には、オトハとサユメの能力を別の形で使うことになる。

「というわけで、その時にはこうやってほしい────」

 やり方を二人に伝えていく。

 サユメからすれば、旅団にいた時にやっていた事。

 オトハにとっては、初めての事になる。



 こうしてソウマ達の怪物退治が始まる。

 最後に残った大物を倒して仕上げるために。



 接近はさほど問題もなく進んでいく。

 オトハによる消音とサユメによる姿隠しは上手くいっている。

 怪物共が3人の接近に気づいたそぶりもない。

 これはオトハが拾う怪物の声からうかがえる。

 発せられる声に不自然なところはない。



 なお、オトハも今は同行している。

 まだレベルがさほど上がってないので危険はある。

 戦闘になったら、ソウマやサユメほど上手くは動けない。

 しかし、車に残すのも危険だ。



 さまよってる怪物に遭遇するかもしれない。

 連携を取るのも難しくなる。

 とっさに指示を出そうにも近くにいないし、出したとしても細かな状況を伝えられない。

 ならば、まとまって行動した方が良い。

 適度な距離や隊列をとりながら。



 そうして接近した一軒。

 周りの家、特に中央から四角になる方向から入っていく。

 監視のためだろう、開いてる2階の窓。

 そこにサユメが入っていく。

 レベルによる補正を受けた体は、家の屋根まで届く位の高さの跳躍が出来る。

 その身体能力で、開いてる窓から入っていく。

 そこにいた小鬼を始末しながら。



 入り際に小太刀を振る。

 小鬼の首が切り落とされる。

 そんな小鬼の姿を録画しながら先へと進む。



 ソウマによれば、2階に2体、1階に4体いる。

 その情報に従って、もう1体を倒す。

 こちらもすぐに見つけて斬り伏せる。

 残りも下に降りて次々に倒していく。

 姿の見えないサユメへの警戒はない。

 小鬼は次々と倒れて霊気結晶になっていった。



 倒すときに、周囲を確認しておく。

 中央や他の家にいる怪物に見られてないかどうかを。

 幸いにも死角に入ってるようで、他の家から目撃されてる気配はない。

 それでも中で小鬼が倒されてるところは【幻影】で隠していく。



 こうしていてもどこかが騒ぐ気配はない。

 超能力を使ってることを気取られてはいないようだ。

 なので、そのまま他の家も片付けていく。

 確実に着実に。

 大物がいる家を丸裸にするために。



 8軒の家から怪物を駆逐する。

 あわせて43体の怪物がいたが、その全てが消えた。

 隠密行動は思いのほかうまくいっている。

「仕上げだ」

 残った敵に最後の攻撃を仕掛ける。



 まずはオトハ。

 家の中に向けて大音響を放つ。

 放てる最大の音を、家の中に向けて。

 閉ざされた空間の中で、これは屋外以上に絶大な効果を発揮する。



 瞬間、家が震えた。



 たった一回の轟音。

 それだけで家の中にいた全てのものの耳を、体をふるわせる。

 空気を伝う音は鼓膜を震わせるだけではない。

 肉体を、骨を、内臓をも揺らす。

 脳も例外ではない。



 全身を満遍なく揺さぶられる。

 その感覚に家の中にいた怪物全てが倒れた。

 小鬼の中には、内臓や脳に損傷を受けたものもいる。

 放置すると危険な部位を傷つけたものも。

 今は無事でも、いずれ死に至るだろう。



 唯一の大型の怪物も例外ではない。

 鬼と呼ばれる体格の良い人型の怪物も、膝をついてしまっている。

 頑強な体をもっていても、内臓まで強靭というわけではない。

 人間よりは丈夫でも、基本的には柔らかく脆弱だ。

 それが直接揺さぶられたのだ。

 無事では済まない。



 それでも鬼ともなれば、再生力や治癒力が高い。

 衝撃からの立ち直りも。

 小鬼が耐えられない轟音も、鬼を完全に倒す事は出来なかった。

 揺さぶられた脳はいまだにふるえ、体の動きを司る脳髄もまともに働いてくれないが。

 それでも時間と共に回復していける。



 もちろん、ソウマ達が逃すわけもない。

 2階から侵入したサユメは、そこにいた小鬼を片付ける。

 1階から入ったソウマとオトハもだ。

 オトハは小鬼を。

 ソウマは鬼を片付ける。



 転がる小鬼はオトハの手にした手槍で急所を突かれていく。

 まだ手際が良いとはいえない。

 怪物と闘うのも始末するのもまだやり始めたばかりなのだ。

 それでも、及び腰になったりはしない

 やるべき事を淡々とこなしていく。



 そしてソウマは鬼にとどめをさす。

 手にした刀を使って。

 それを鬼の首に当てて、横一閃。

 最善の力の入れ方と体の動かし方で、刃を適切に振るっていく。

 鬼の首が切り裂かれた。



「終わったな」

 消えていく鬼の姿をカメラで撮影し、超能力で周囲を伺う。

 反応する敵の姿はない。

「念のために音も拾ってくれ」

「はい」

 肯くオトハも周囲の様子を探った。



 どちらか一つでも効果は十分。

 だが、質の違う探知を重ねて使うことで精度はあがる。

 片方が見逃したものを、もう片方の方法で拾う事ができるかもしれない。

 逃した敵がいないかを確かめるためにも、二人は併用する事を心がけていた。



「終わったよー」

 2階からサユメも降りてくる。

「じゃあ、戻ろう。

 配達が残ってる」

「はい」

「おっす」

 次の仕事にとりかかるべく、3人は車へと戻っていった。



(ここは大丈夫そうか)

 周囲の悪意を確かめながら、ソウマは安心する。

 怪物が集まっていたが、まだ悪意溜まりにはなってない。

 いずれまた別の怪物がやってくるかもしれないが、それまでは大丈夫だろう。



(まあ、残りは今夜にでも)

 広げた探知範囲には、まだ多くの怪物がいる。

 それらがいずれはこの近隣にやってくる。

 そうなる前に夜のうちに片付けるつもりだ。

 オトハとサユメには知らせずに。



 とはいえ、サユメが増えた事で誤魔化すのも難しくなる。

 なので上手く伝えようとは思ってる。

 どうやって、という部分の答えがまだ出てこないが。

(上手くやりたいよなあ)

 出来れば失敗はしたくない。

 取り返しがつく事でもだ。

 一回で一気に上手くやれるなら、その方が良い。


 

 とはいえ、やってみなければ何が良いかは分からないもの。

 踏ん切りをつけねばならない。

 それでも失敗を避けたいのが人情。

(どうしたもんだか)



 怪物を倒すのは問題ではない。

 こちらは楽にこなせる。

 だが、二人の人間を納得させる。

 こちらの方はなかなかに難しいものだった。


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