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10 かつてはこんな事しか出来なかったけど、今は違います、やっぱりレベルは大事です

「そうだよ」

 目的地に到着して、荷物を渡して。

 その時にオトハは尋ねた。

「植物型の怪物を先に見つけたの、あれは渡澄さんの超能力なんですか?」

 この答えである。



「俺の能力は収容空間だけじゃないからね。

 そもそも最初はもっと地味だったし」

「どんなものだったんですか?」

「現在地と時間が分かるだけ」

 この一言はオトハを唖然とさせた。



 確かにあれば便利な能力だろう。

 GPSはほぼ壊滅。

 時計も、今では貴重品になりつつある。

 大災害で怪物が暴れ回った結果、文明の維持が難しくなってるのだ。

 科学者や技術者などが殺され、様々な施設も破壊されている。

 今まで通りの科学を保つ事すら、今の状況では難しい。



 だが、戦闘に役立つ事はないだろう。

 日常生活でも、それほど必要になる事もない。

 あれば便利だが、無くても困るというわけでもない。

 そんな能力でソウマが頑張ってきたという。



「【時空】っていうんだ」

 これがソウマの手にした超能力だった。

「たいそうな名前だけど、出来る事はほとんど無かったよ」

 それでもソウマはこの能力を活かし、レベルを上げてきた。



 最初は居場所と時間が分かるだけ。

 あと、方角なども。

 成長すると、周囲の状況や誰がどこにるかが分かるようになった。

 レーダーのように。

 これで怪物の位置や、捜し物、遭難者などの発見が出来るようになった。

 収容空間が使えるようになったのはこの後になる。



「それでも探索者としては便利でね」

 現在地が分かるのは、迷宮の中では便利だった。

 案内役として重宝された。

 周囲の状況を把握出来るようになると、重要さが増していった。

 敵の位置を先に把握出来るのは有利になるからだ。



 また、正確な位置が分かるのは戦闘でも便利だった。

 相手がどの位置にいるのかが分かれば攻撃をしやすくなる。

 相手の位置が分かるから、攻撃も避けやすくなる。

 直接的な攻撃力には乏しいが、命中率と回避率を上げることが出来た。



「でも、レベルを上げた方が強くなれたけどね」

 レベルとは大災害で発生した現象だ。

 これが上がるとゲームのように能力が上がる。

 体力や知力、精神力。

 これらが高まる事で、危険な怪物とも渡りあえるようになる。



 ソウマもこのレベルの上昇は超能力を使い続ける事で上がっていく。

 怪物を倒すと残る霊気の結晶を使ってもよい。

 どちらにせよ、能力を高める事ができる。

 人が持つ霊魂の力を高める事になるからだ。



 これは霊魂が放つ霊気、オーラと呼べるものの強化によるものだ。

 霊魂が高まる事で霊気が強く濃くなり、細胞などに好影響を与える。

 これが身体能力や思考の効率化をもたらす。



 また、霊気を身にまとう事で攻撃をはじく障壁、いわゆるバリアーのような効果も得られる。

 超能力を使う際にも、この霊気を用いる。

「ゲームみたいだろ」

 RPGのHPとMP。

 この二つの性質を霊気は持っている。



「だから、まずはレベルを上げること。

 その為にも超能力を使っていくこと。

 これが強くなる為の近道だ」

 これまでの体験や経験から、ソウマはオトハに教訓を伝えていく。



「オトハに音を拾わせてるのもこのためだ。

 使えばその分だけ強くなる」

 だから、あえてソウマの能力については語らなかった。

 オトハに練習させるために。



「さっきので分かっただろうけど、超能力は使いようだ。

 特徴を掴んで使いこなせば、大きな力になる」

 これも偽りのない事実だ。

「けど、やっぱり力は強ければ強いほど良い。

 元の力が強ければ、それだけ出来る事も増えるから」

 この言葉にオトハはウンウンと肯く。

 興奮した面持ちで

 表情そのものに変化は少ないが、ほんのりと紅潮した肌から興奮が伝わる

 しかし。



「あの」

「なんだ?」

「ゲームってなんですか?」

 この言葉にソウマは、世代間ギャップを感じる事になった。

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