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物書きの言い訳

異世界を描くこだわり

 これは異世界物の話じゃないけれど、どう考えてもモンゴロイドではないキャラクターが

「ケツの青いガキ」

 っていう科白を吐くと凄く違和感を感じる。蒙古斑(もうこはん)が一般的でない世界でそんな慣用句が使われる訳はない。

 あるアニメで感情すらもっているロボットにむかって

「真空管抜いてやる」

 という科白を放ったキャラがいた。そんな超高性能なロボットに真空管が使われているハズはないだろうし、メチャクチャ未来という設定の世界に住む人間が真空管などというものを知っているのが驚きだ。現代の子供だって知らないんじゃないか?

 言葉は文化そのものだし、文化というのはそこに住む人々を取り巻く環境によって育まれる。だから真面目に現代の我々とまったく違う環境下に住んでいる人々を描こうとしているのなら、そこで語られる言葉には細心の注意を払う必要があると思う。(ダイヤモンドダストみたいなおちゃらけ話は別だけどね)

 で、人様の話をひいてくるのもなんなのでウェリガナイザを書く時に気をつけている事など例にしてみる。なんといっても激しく後悔したのはウェリアの大部分の地域では

「昼ではなく夜を数え、日没をもって一夜(日)の始まりとする」

 なんて設定してしまった事。古代ゲルマンの風習だったのを真似したんだけど、そのおかげでうっかり明日、明後日、昨日、一昨日、誕生日なんて書いて後で読み返して

「しまった、またやった」

 と明夜、明後夜、昨夜、一昨夜、誕生夜と書き直す事数知れず。その日、とか2、3日前とか気がついたら書いちゃってるし。(実はこのコラムを書く直前にも色々みつけてUPしてあるファイルを訂正したところ。一体何回同じページを更新した事か……。ごめんなさいねー、不完全なままUPして)

 でも子供が「また明夜」なんて挨拶をするのも、昼間の勝負で「今夜の勝利」とかいうのもなんとなく変なので[あした]とか[きょう]というルビをふってみたり。

 三日月も三夜月に直しました。

 過夜(かじつ)とか昔夜(せきじつ)とかいう訳わかんない造語もやっちゃったし。

 更に日没を一夜の始まりとするという事は我々の云う前夜はその夜(日)になっちゃうし、その日の夜はもう翌夜なので夜付(日付)の区切り方に気をつけてないといけない。王国の人々が昼間「昨夜」という時は我々の一昨夜にあたるしなー。

 ここらへん、誤解がないように読者に伝えるにはどうしたらいいんだろう?

 ああっ、もう私のか弱い脳ミソは大混乱です。しかし今更設定変えるのもなんだし……

 あと時計にあたるものがない設定なので数秒とか、数分間とかいう概念がない。

 仕方がないから時間経過を表すのに心臓が数回鼓動する間とか、息が続くくらいの間とかそんな書き方になる。午前9時じゃなく午前の半ばとか。

 単純な日時計(地面に棒立てて真北を示す印しだけつけてあるとか)は普及しているので正午の感覚はある。ホントは午前・午後という言葉も十二支を使った時刻形態をもたない文化にはありえない表現なんだけど、現代の日本人も別に午の刻(うまのこく)をはさんで前とか後とか思って使っている訳ではないから、まあいいか、と。他に表現のしようもない(と思う)し。

 枝葉末節という言葉があるけれど小さな歯車ひとつかけても機械は正常に働かない。小さい事をひとつずつ確実に積み重ねていってはじめて大きな事が成し遂げられる。

 物語のパターンなんてもう全部出つくしているって云ってもいいと思う。あとは組み合わせとディティールの描き方。

 あらすじ読んで感動して泣く人はいないし(私は知ってる話を思い出して泣く事はあったりするけど)、同じあらすじの物語でも作者のアプローチの仕方で名作にも駄作にもなる。

 同じシナリオを渡して映画を撮らせても、監督によってまったく違う映像ができあがるのと同じ。

 だから私は「細かい事」にこだわる。物語をつくりあげているのは、ひとつひとつの単語、一文字一文字の積み重ねだから。

「ウェリガナイザ」「ダイヤモンドダスト」というのは当時私のホームページに掲載していた小説です。

「ウェリア」はウェリガナイザの舞台の世界。

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