エンディング
(スタジオの照明が、夕焼けのような暖かくも荘厳な光に包まれる。これまでのラウンドで映し出された巨匠たちの名言や、象徴的な作品のシーンが、ゆっくりと壁面にオーバーラップしながら流れていく。司会のあすかが、感慨深げな表情で、静かに語り始める。)
あすか:「『我、筆を執る理由~創作の魂、ここにあり~』、『神は細部に宿る~キャラクターとストーリー、創造の秘密~』、そして『ペン先は時代を映す~マンガ表現の革新と未来へのまなざし~』…。三つのラウンドを通じて、私たちは、ここにいらっしゃる四人の偉大なマンガ家の方々の、その魂の深淵に触れることができました。」(「クロノス」のスクリーンに、各ラウンドのハイライトシーンが静かに映し出される)
あすか:「それぞれの哲学、それぞれの創造の秘密、そして未来への熱い眼差し…。お一人お一人の言葉が、マンガという表現がいかに豊かで、いかに力強く、そしていかに私たちの人生に深く関わっているかを、改めて教えてくれたように思います。この歴史的な対談も、いよいよ終わりの時を迎えようとしています。最後に、この『歴史バトルロワイヤル』にご参加いただいた皆様に、本日のご感想と、そしてこの番組をご覧の全ての方々へのメッセージを、改めてお伺いしたいと思います。…まずは、手塚治虫先生、お願いいたします。」
手塚治虫:「いやはや…まさかこのような形で、スタン・リーさん、そして水木さん、鳥山さんという、それぞれに全く異なる、しかし強烈な輝きを放つ才能と、時空を超えて一堂に会し、マンガについてここまで深く語り合える日が来ようとは…正直、夢にも思っておりませんでした。」(感慨深げに、他の三人の顔を見渡す)「それぞれのマンガへの情熱、譲れない哲学、そして未来へのまなざしに触れ、私自身、多くの刺激を受け、そして改めてマンガの持つ無限の可能性を確信することができました。この素晴らしい邂逅は、私にとって生涯忘れ得ぬ宝物となるでしょう。そして、マンガを愛する全ての方々へ…どうか、これからもマンガを読み続けてください。そして、描き続けてください。その一枚一枚のページに、あなたの人生を豊かにする何かが、きっと見つかるはずですから。」(穏やかながらも、力強い眼差しで語り終える)
あすか:「手塚先生、魂のこもったお言葉、誠にありがとうございました。…続きまして、スタン・リーさん、お願いいたします。」
スタン・リー:「ワオ!言葉もないよ、あすか!こんなにエキサイティングで、こんなにインスピレーションに満ち溢れた時間は、本当に久しぶりだったぜ!」(満面の笑みで、両手を大きく広げる)「ミスター・テヅカの深遠なる哲学、ミスター・ミズキのユニークで心温まるユーモア、そしてミスター・トリヤマのフレッシュでパワフルなイマジネーション!君たちは本当にアメイジングなクリエイターだ!このバトルロワイヤルは、まさに最高のアイデアがぶつかり合う、夢のようなイベントだったね!」
スタン・リー:「そして、この番組を見てくれた世界中のトゥルー・ビリーバーのみんな!覚えておいてくれ、マンガ…いや、コミックは、国境も、言葉の壁も、世代の違いだって軽々と飛び越える、最高のエンターテイメントなんだ!これからも素晴らしい物語を、僕らと一緒に探し、そして楽しんでいこうじゃないか!だって、最高の物語は、いつだってまだ描かれていないものだからね!さあ、みんなも一緒に!エクセルシオール!」(高らかに拳を突き上げ、ウィンクする)
あすか:「エクセルシオール!スタン・リーさん、その底抜けの明るさとエネルギー、最後まで私たちを勇気づけてくださいました。…では、鳥山明先生、お願いいたします。」
鳥山明:「えーと…本当に、僕なんかがこんなすごい先生方の中に混じって、最後までお話しできるなんて、始まる前はもう、どうなっちゃうんだろうって、ドキドキしっぱなしだったんですけど…(笑)。」(少し照れくさそうに、しかし安堵したような表情で)「でも、先生方のお話を間近で聞けて、マンガに対する熱い想いとか、僕なんかじゃとても考えつかないような深いお考えに触れることができて…本当に、すごくすごく楽しかったですし、めちゃくちゃ勉強になりました。改めて、やっぱりマンガって面白いんだなあって、心の底から思いました。」
鳥山明:「もし、この番組を見て、これからマンガ家を目指そうって思ってくれてる若い人がいたら…僕から言えるのは、とにかく、自分が『これが面白い!』って信じるものを、周りの声とか気にしないで、とことん楽しんで描いてほしいなっていうことだけです。僕も、そうやって描いてきただけなので…。はい、本当にありがとうございました。」(深々と頭を下げる)
あすか:「鳥山先生、その誠実なお言葉、きっと多くの未来のクリエイターたちの心に響いたことでしょう。…それでは最後に、水木しげる先生、お願いいたします。」
水木しげる:「ふーん、まあ、なんだかあっという間じゃったねえ。」(腕を組み、いつもの飄々とした表情で、しかしどこか満足げに)「スタンさんも、手塚さんも、鳥山さんも、みんな、よっぽどマンガが好きで好きで、もう、どうしようもないくらい好きなんじゃなあ、ちゅうことが、よう分かりましたわい。水木サンも、マンガ描くのは好きじゃけど、ここまで熱く語れるかと言われると、ちと自信がないねえ、へへへ。」
水木しげる:「まあ、結局のところ、人間、自分の好きなことを、好きなようにやるのが一番の幸福じゃあないかねえ。マンガ描くのが好きなら、とことん描けばええし、読むのが好きなら、とことん読めばええ。周りが何と言おうと、自分が『これでええんじゃ』と思えりゃあ、それが一番ですよ。わしはまあ、この後も、相変わらず好きなように妖怪でも描いて、うまいもん食って、屁でもこいて、ぐうぐう寝るだけじゃけど。若い衆も、あんまり難しく考えんで、気楽にやりなさい。その方が、きっと面白いものが生まれると思うよ。」(最後に、いたずらっぽく笑う)
あすか:「手塚先生、スタン・リーさん、鳥山明先生、そして水木しげる先生…。皆様の最後のメッセージ、それぞれの生き様そのものが凝縮された、珠玉の言葉たちでした。」(目にうっすらと涙を浮かべ、声を震わせる)「この奇跡のような対談を通じて、私たちはマンガという表現の無限の可能性、そしてそれらを生み出すクリエイターたちの熱き魂に触れることができました。ペンは剣よりも強し…その言葉の意味を、今、私たちは心の底から実感しています。」
(あすかは「クロノス」を胸に抱き、スタジオ全体を、そして画面の向こうの視聴者を見渡す。)
あすか:「それでは、名残惜しいですが、伝説の物語紡ぎたちを、元の時空へとお送りする時間です。」(スターゲートが再び荘厳な光を放ち始める)「皆様、この歴史的な邂逅の証人となってくださった全ての視聴者の皆様を代表し、心からの感謝と、万雷の拍手をお送りください!」
(スタジオに、鳴り止まない拍手と歓声が響き渡る。BGMが感動的なフィナーレへと向かって盛り上がっていく。)
あすか:「まずは、妖怪と共に生き、私たちに本当の幸福とは何かを問い続けた、ゲゲゲの哲学者!水木しげる先生!ありがとうございました!」
(水木しげる、飄々と立ち上がり、観客に軽く手を振り、ゆっくりとスターゲートへと歩みを進め、光の中へと消えていく。)
あすか:「続いて、その純粋なワクワク感で、世界中の子どもたちの心を掴んだ天才ストーリーテラー!鳥山明先生!ありがとうございました!」
(鳥山明、少し照れくさそうに、しかし深々と一礼し、早足でスターゲートへと向かい、光に包まれる。)
あすか:「そして、人間味あふれるヒーローたちを創造し、私たちに勇気と希望を与え続けてくれた、ミスター・エンターテイメント!スタン・リー!ありがとうございました!」
(スタン・リー、満面の笑みで観客に投げキスを送り、「エクセルシオール!」と高らかに叫びながら、スーパースターのようにスターゲートへと向かい、眩い光と共に姿を消す。)
あすか:「最後に、マンガの可能性を無限に切り拓き、私たちに生命の尊厳と未来へのメッセージを伝え続けた、不滅のマンガの神様!手塚治虫先生!誠にありがとうございました!」
(手塚治虫、静かに立ち上がり、深く、そして長い一礼をする。その姿には、万感の想いが込められているように見える。そして、確かな足取りでスターゲートへと進み、光の中へと静かに消えていく。)
(スターゲートがゆっくりと閉じ、スタジオは再び静寂と、そして深い感動の余韻に包まれる。あすかは、涙をそっと拭い、穏やかな微笑みを浮かべる。)
あすか:「ペンは剣よりも強し。そして物語は、時空を超えて、私たちの心の中で永遠に生き続けるでしょう。『歴史バトルロワイヤル~マンガ編~』、これにて、閉幕でございます。皆様、またいつか、新たな伝説の生まれる場所でお会いいたしましょう。ごきげんよう。」
(あすかが深々と一礼すると、スタジオの照明がゆっくりと落ち、番組は静かに幕を閉じる。エンドロールには、4人の巨匠たちの代表作の数々が、感動的な音楽と共に流れ始める。)