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オープニング

(スタジオは深い青の光に包まれ、星々が瞬く宇宙空間のような映像が壁面に映し出されている。やがて中央に立つ「あすか」に柔らかなスポットライトが当たる。彼女はモノトーンを基調とし、マンガのスクリーントーンのような繊細なパターンが施された、未来的なデザインのドレスを着用。手には滑らかなフォルムのタブレット「クロノス」を持っている。)


あすか:「…無限の物語は、一滴のインクから生まれます。一本のペン先から、新たな宇宙が、新たな生命が、そして新たな感動が。こんばんは。『物語の声を聞く案内人』あすかです。」(静かに一礼する)「ここは、時空を超えて伝説の物語紡ぎたちが集い、その魂を交わす場所、『歴史バトルロワイヤル』。今宵、私たちの目の前で繰り広げられるのは、まさに歴史的な邂逅です。」


(あすかが「クロノス」に触れると、スタジオの奥に黄金色の光を放つ荘厳な「スターゲート」が静かに起動する。ゲートの向こうは、未知なるエネルギーで揺らめいている。)


あすか:「今宵のテーマは…そう、『マンガ』。子どもたちにとっては夢への扉、大人たちにとっては人生の羅針盤。そして、創作者にとっては、魂そのものを込める器。その『マンガ』という名の宇宙を、誰よりも熱く、誰よりも深く、そして誰よりも自由に描き出した、まさに『神々』と呼ぶべき4人の巨匠が、今、このスターゲートの向こう側から、私たちの前に姿を現そうとしています。」


(あすかは、期待に満ちた表情でスターゲートを見つめる。)


あすか:「まずお迎えするのは、この方!彼が生み出したヒーローたちは、悩み、苦しみ、それでも正義のために立ち上がる…その人間味あふれる姿は、世界中の読者に勇気を与え続けてきました!Mr.エンターテイメント、ミスター・マーベル!スタン・リー!」


(スターゲートが激しく閃光を放ち、陽気でダイナミックなジャズナンバーが鳴り響く!ゲートから、鮮やかな色のジャケットを着こなし、トレードマークのサングラスをかけたスタン・リーが、まるでレッドカーペットを歩くスーパースターのように、両手を広げて登場!)


スタン・リー:「ヘイ、ヘイ、ヘーイ!トゥルー・ビリーバーズ、そしてこれから僕のファンになるみんな!スタン“ザ・マン”リーが、このエキサイティングなパーティーにやってきたぜ!」(観客席に向かって投げキスをするような仕草)「いやあ、こんなゴージャスな場所に呼んでもらえるなんて、まるで僕のヒーローが初めて空を飛んだ時みたいにワクワクするね!今日はどんなすごいヤツらに会えるんだい?僕のアイデアがまた刺激されちまうかもしれないな、エクセルシオール!」(軽快なステップで、用意された豪華なアームチェアに腰掛ける)


あすか:「スタン・リーさん、ようこそ!その太陽のような明るさ、スタジオが一気に華やぎました!」(にっこりと微笑む)「続きましては、この方です。そのペン先から紡ぎ出される物語は、時に壮大な叙事詩となり、時に鋭い社会風刺となり、そして常に我々に『生命とは何か』を問いかけます。日本のマンガ表現を革新し、その可能性を無限に押し広げた…不滅の『マンガの神様』!手塚治虫先生!」


(BGMが静かで荘厳なクラシック音楽へと変わる。スターゲートから、ベレー帽を少し傾け、丸眼鏡の奥に深い知性と探究心を湛えた手塚治虫が、一歩一歩を確かめるように、しかし確固たる意志を感じさせる足取りで登場する。ゆっくりと一礼し、スタン・リーの隣の席へ。)


手塚治虫:「…ご紹介、痛み入ります。」(落ち着いた声で、しかしその瞳はスタン・リーを捉え、明らかに懐かしさと知的な好奇心を湛えている)「おや…スタン・リーさん、これはこれは!いやはや、何十年という時が流れましたかな。以前、対談させていただいた折、あなたのスタジオにはミッキー・スピレーンや、あのマリオ・プーゾまでいらっしゃったというお話には、大変な衝撃と…ええ、ある種の羨望を覚えたものです。あなたの周りには、常に才能が集うのですね。そのエネルギッシュなオーラは、少しもお変わりない。」


スタン・リー:「ワオ!ミスター・テヅカ!マイ・インテレクチュアル・フレンド!よくぞご記憶で!そうとも、あの時の君の探究心旺盛な質問の数々、そして『火の鳥』のような壮大な作品への情熱は、僕のクリエイター魂を大いに刺激してくれたよ!まさかこんな形で再び君と議論を交わせる日が来るとは、これぞまさしく『コズミック・キューブ』が起こした奇跡だね!(笑)そうそう、あの時、君が作っていた『バンダー・ブック』はどうなったんだい?僕も急いでニューヨークに帰って作りたいくらいだって言ったのを覚えてるよ!(笑)」


手塚治虫:「ははは、ご心配なく。アニメーションは時間がかかりますからな、あの時もそう申し上げたはずです(笑)。『バンダー・ブック』も無事完成し、その後も幸い『火の鳥』のアニメーションなど、ライフワークには取り組ませていただきました。それよりもスタンさん、あなたのマーベル・コミックの、あのダイナミックで写実的な画法と、日本の『マンガ的』と評された表現の違いについて、あの時もう少し深くお話ししたかったと、実は心残りだったのですよ。」


スタン・リー:「オー、それこそ僕も聞きたかったことだ!あの『マンガ的』なスタイルで、どうしてあんなにもシリアスで深遠な物語が描けるのか、そしてそれが読者の心に響くのか…本当に興味深いテーマだと思っていたんだ!今日は、あの時の議論の続きを、そしてその後の我々の新たな発見を、心ゆくまで語り合おうじゃないか、マイフレンド!」


あすか:「なんと、日米の巨星が早くも互いに熱い視線を…!さあ、まだまだ伝説は続きます!この方の作品は、シンプルながらも一度見たら忘れられないキャラクターと、ページをめくる手が止まらない冒険の連続で、世界中の子どもたち…いえ、大人たちをも夢中にさせました!『ドラゴンボール』を生み出した、天才ストーリーテラー!鳥山明先生!」


(BGMがどこかノスタルジックで、しかし胸が高鳴るようなポップなインストゥルメンタルに変わる。スターゲートから、少し着古したようなカジュアルなジャケット姿の鳥山明が、肩を小さくすぼめ、やや猫背気味に、しかしその目には好奇の光を宿して登場する。周囲を少しキョロキョロと見渡し、ぺこりと頭を下げながら席へ。)


鳥山明:「え、えーと…どうも、鳥山です…。」(少し緊張した面持ちで、スタン・リーと手塚治虫の顔を交互に見る)「いやあ…なんか、とんでもないところに来ちゃったみたいで…スタンさんも手塚先生も、僕、子どもの頃から作品読んでましたから…今日は、えーと、その、胸をお借りするつもりで…はい、よろしくおねがいします(笑)。」


スタン・リー:「ヘイ、ミスター・トリヤマ!君のマンガのあの『ワクワク感』は最高だぜ!うちのハルクだって、君のキャラクターたちと戦ったらどうなるか、想像するだけでエキサイティングだよ!」


手塚治虫:(鳥山に優しく頷き)「鳥山さん、あなたの描くキャラクターの、あのデフォルメされた魅力と、アクションのスピード感は本当に素晴らしい。私もいつも『次はどんな驚きがあるのだろう』と楽しみに拝見していましたよ。」


鳥山明:「あ、ありがとうございます…!なんだか、もう、今日ここに来られただけで、一生分の運を使っちゃったような気がします…(笑)。」(頭を掻きながら、少し顔を赤らめる)


あすか:「鳥山先生、その素晴らしい才能に世界が感謝していますよ。さあ、そして今宵、最後にお迎えする伝説は、この方です。戦争の不条理、貧しさの厳しさ、そして見えざる者たちの囁き…その全てを、唯一無二のユーモアと深淵な眼差しで描ききった、魂の絵師。彼岸と此岸の語り部、ゲゲゲの哲学者!水木しげる先生!」


(BGMが、古い日本のわらべうたのような旋律と、どこかおどけた調子のジャズが融合したような、奇妙で心地よい音楽に変わる。スターゲートから、くたっとした着流しのような服をまとい、片手にスケッチブックを抱えた水木しげるが、猫のようにひょいと、しかし確かな足取りで登場する。周囲を面白そうに見回し、ゆっくりと席に着く。)


水木しげる:「やあやあ、どうも。水木サンです。」(独特の節回しで、目を細める)「いやはや、なんともまあ、キラキラしたところだねえ。スタンさんだっけ?あんたの描く、あのムキムキした人たち、ありゃあ見てるだけで肩が凝りそうだけど、ベビーたちは大喜びだろうねえ、へへへ。手塚さん、久しぶりだねぇ。相変わらず忙しく描いてるんだろうね(笑)。鳥山さんの、あのカメハメ波だっけ?あれはうちの近所のベビーたちも、みんなやっとったなあ。」


(水木の言葉に、スタンは「ハッハッハ!」と快活に笑い、手塚は懐かしそうに目を細め、鳥山は「えへへ…」と照れ笑いを浮かべる。スタジオに温かくも不思議な一体感が生まれる。)


あすか:「水木先生、ありがとうございます。そのお言葉だけで、この場の空気がふわりと軽くなったようです。皆様、ようこそ『歴史バトルロワイヤル』へ!」(全員が席に着き、スタジオに心地よい緊張感と、これから始まるであろう知的な戦いへの期待感が満ちる)「神々が、今、私たちの目の前に…この奇跡の瞬間を、クロノスもしっかりと未来へ記録しています。さて、レジェンドの皆様。本日は『マンガ』という広大無辺なテーマについて、皆様の魂の言葉を、存分に交わしていただきます。」


(あすかは、クロノスのスクリーンに指を滑らせ、輝く文字を浮かび上がらせる。)


あすか:「では、最初の問いかけをさせていただきます。それは、皆様の創作の原点、その核に触れるものかもしれません。皆様にとって、その人生の多くを捧げてこられた『マンガ』とは…もし、一言で表現するならば、何でしょうか?これは、ある意味、皆様の『遺言』にも似た重みを持つかもしれませんね。では、スタン・リーさん、トップバッターをお願いできますか?」


スタン・リー:「オーケー、レディ!いきなりディープな質問で攻めてくるね!まるで僕のヒーローが宿敵に心理戦を仕掛けられるみたいだ!(笑)そうだなあ…僕にとって“マンガ”、つまりコミックスとは、ズバリ!『シェアード・ドリーム(共有される夢)』だ!読んだ人が一瞬でも現実を忘れて、僕が創り出した世界で一緒に冒険し、ハラハラし、そして最後には何かを感じてくれる…そんな、みんなで一緒に見る最高の夢なのさ!エクセルシオール!」(高らかに右手を掲げる)


あすか:「シェアード・ドリーム!素晴らしいお言葉です、スタンさん!その夢を、私たちは確かに共有してきました。では続きまして、手塚治虫先生、お願いします。」


手塚治虫:「私にとってマンガとは…そうですね、『可能性』そのものです。」(少し遠くを見つめるように)「かつては“子供だまし”と見なされたこの表現方法が、実は文学にも、映画にも、哲学にも匹敵しうる、いや、それら全てを内包しうる無限の可能性を秘めていると、私は信じて描き続けてきました。生命の神秘も、歴史のうねりも、未来への願いも…このペン一本で表現できる。マンガとは、まだ見ぬ表現へと挑み続ける、終わりのない旅路のようなものかもしれません。」(その言葉には、静かだが揺るぎない確信が込められている)


あすか:「可能性…そして終わりのない旅路。手塚先生のマンガへの深遠な愛を感じます。では、鳥山明先生、いかがでしょうか。」


鳥山明:「えーと、マンガですか…うーん、そうですねえ…。」(少し考え込むように首を傾げ、やがて顔を上げる)「僕にとっては、やっぱり…『最高の暇つぶし』かなあ、なんて言ったら怒られちゃうかな(笑)。でも、描いてる自分が一番楽しんでないと、読んでくれる人も楽しめないと思うんですよ。だから、難しいことはあんまり考えずに、自分が『これ、なんか面白いじゃん!』って思えるものを、ただ夢中で描いてきた…それがたまたまマンガだった、っていう感じですね。読んだ人が、ちょっとでも時間が経つのを忘れて、ワクワクしてくれたら、それが一番嬉しいです、はい。」(はにかみながら、しかし真っ直ぐな目で語る)


あすか:「最高の暇つぶし、そしてワクワク!鳥山先生のその純粋な想いが、世界中の人々を魅了してきたのですね。では最後に、水木しげる先生、お願いします。」


水木しげる:「マンガねえ…。」(腕を組み、少し天井を見上げる)「水木サンに言わせりゃあ、まあ、『屁』みたいなもんかもしれんねえ。」(スタジオに一瞬どよめきと笑いが起こる)「いやいや、臭いって意味じゃなくてね。こう、腹の中に溜まったもんを、えいやっと外に出さんと、どうにも気持ちが悪い。戦争のこととか、貧乏暮らしのこととか、妖怪のこととか…そういう、自分の中にどうしようもなく渦巻いとるもんを、紙の上にぶちまける。そしたら、ちょっとスッキリするわけですよ。で、それがたまたま他の人も『面白い』とか『なるほど』とか言って読んでくれたら、そりゃあもう、望外の喜びってもんだねえ。だから、まあ、生きるために出す、自然なもんじゃあないかね、へへへ。」


(水木先生の言葉に、スタジオは再び温かい笑いに包まれる。スタン・リーは手を叩いて喜び、手塚治虫は深く頷き、鳥山明は肩を揺らして笑い、あすかもこらえきれずに微笑んでいる。)


あすか:「『屁』…ですか!しかし、その奥には生きることそのものと表現が分かちがたく結びついている、水木先生の深遠な哲学を感じます。シェアード・ドリーム、可能性、最高の暇つぶし、そして生きるための自然な発露…。皆様の言葉一つ一つが、マンガという表現の多面性と、その底知れぬ魅力を物語っているようです。この異なる哲学、異なる魂が、この後どのような火花を散らし、あるいは共鳴し合うのか…本当に、目が離せません!」

(あすかは「クロノス」を胸に抱き、力強く宣言する。)


あすか:「さあ、それでは最初のバトルテーマへと参りましょう!『歴史バトルロワイヤル』、いよいよその幕が、今、切って落とされます!」

(スタジオの照明が一変し、これから始まる熱い議論を予感させるドラマチックなBGMが流れ始める。)

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