ハンバーグ弟子
好き勝手に書いていますね……
皆様はハンバーグが好きだろうか。
因みに私は得意料理の中にハンバーグが入るくらいには繰り返し作っている。つまるところ好きである。
気づけば家族の中で私の担当になっていたハンバーグ。こやつ結構奥が深い。
パン粉を牛乳に浸すだけでも、それぞれの分量を変えるだけで結構食感が変わったりする。
こねる回数と力にも影響を受け、こねる回数が少なすぎればまとまらず、こねすぎればガチガチになる。
塩コショウが多すぎればねっちょり塩辛くなるし、塩コショウが少なければパサパサになってしまう。
他の料理だってそうだ、と言われれば何も言えないのだが、私にとって一番試行錯誤した料理はハンバーグだと即答できる。
そんな私のハンバーグの進化歴を語らせていただきたい。
最初は確か、子供の頃に親が忙しそうなときに姉と結託してご飯を作ろうとしたのがきっかけだった気がする。
冷蔵庫の中身を勝手に物色し、ちぎって洗えばできる大皿のサラダとハンバーグを錬成した。
なお、ハンバーグ作成の九割近くは姉が頑張った結果であり、私は横であれこれ言われたことを遂行したり、謎に芸術的なサラダの盛り付けをしているくらいだった。
それでも何故か鼻高々に親に報告したものだが、親からしたら有難い半分迷惑半分だったろうなと今は思う。
家に帰ったらごはんが出来ていた。それは多少嬉しいだろうけれど、細かいバランスなぞ知ったこっちゃない編成のうえ、食材を勝手に使ったせいで親の食品消費スケジュールも狂うどころの話ではない。当たり前だが親ほど料理スキルもない。
それでも上記の葛藤全て飲み込んで感謝と賞賛を口にしてくれた両親は、一体どれだけ優しいのだろう。本当に申し訳なかったりする。
因みに、何故ハンバーグだったのかというと、ハンバーグの作り方だけを知っていたからだ。
我が家にレシピ本なんてなかった……というか、あったとしても、私はその場所を知らなかった。
だから必然的に、唯一知っているものが選出されたのである。
何故知っていたか。実は漫画からだったりする。父の部屋にある少年誌に、一見何の脈絡もなく急に『綺麗なお姉さんたちがやたら丁寧に解説しながらハンバーグを作るシーン』があったからだ。料理番組さながらのそれをガン見しながらハンバーグを作った。
そのことを食事中の父親に行ったところ、凄い苦い顔をされた。今ならわかる。せめて食事後に言うべきだった。すまぬ父よ。
因みにこれが何かよく分からない、かつ知りたい人は【少年誌 ハンバーグ トラウマ】で調べると詳細を知る事が出来る。が、お勧めはしかねるし、調べるとしても相当な覚悟をして調べることを推奨する。
話を戻して、私の初期ハンバーグについて語ってみよう。端的に言うと、私はあれをハンバーグとは認めない。あれは肉団子である。
ぱさぱさぼそぼそ塩辛い。あんなものをハンバーグと呼称したら、厨房に立つ皆様に助走をつけて殴られかねない。
つなぎの『つ』の字も知らかったので、パン粉も牛乳も気持ち程度しか入れなかった。強いて言うなら卵ががっつり入っていた程度。
混ぜるだけでこねもしない、よく分からないまま空気抜きと中央へこみはしていたが、調味料の塩梅もぐちゃぐちゃ。これをどうにか食べられる味にしていた姉に伏して感謝をする必要があるほどだ。
当時の私は典型的な料理下手あるある、『常に強火』病にかかっていたため、練炭か?と言うくらい表面を消し炭にしたこともある。
まあ一通りやっちゃいけない事はやった。あっつあつの油に水を注ぐ馬鹿もやった。
そんな私がハンバーグ担当になるほど上達したのは、ひとえにある少年の活躍あってこそだったりする。料理人志望の我が友人が、ちょくちょく料理のイロハを教えてくれた。
火加減の重要性から何故鍋物でも混ぜるのか(カレーを焦がした時に、あまりの知識のなさに半泣きになりながら教えてくれた)、そして何よりハンバーグのこね方とつなぎの重要性を熱弁してくれた。覚えるまで何回も教えてくれる根気強さを持っており、そのおかげで人並みの料理が出来るようになった。なので私は彼を勝手に師匠と呼んでいる。なお油の件がバレたときは何故か実の親以上に怒られたので一発で覚えた。
そんな彼の元基礎と最低限の応用を叩きこまれ、今のハンバーグが作れるようになったのである。
今でも気まぐれに教えてくれる彼の指導の下作った方が、家族のウケが抜群に良い。ハンバーグに至っては『もはや別物』『こっちの方が美味しい』と
つい 最近 !
手放しでほめられて、育ちつつあったプライドをフードプロセッサーで粉砕された気持ちになった。
なおそれを報告したところ、「料理人志望に勝てると思うな」と笑い飛ばされた。やはり師匠の壁は高いのである。
さてここまで滔々と語って来たので、一応レシピモドキも記しておこうと思う。なおご家庭の都合上四人分なのは許して貰いたい。
ひき肉千グラムに卵二個。そして塩コショウを魂がここだ!と叫ぶまで突っ込む。すごくアバウトな指標とすれば、大きめボウルに突っ込んだひき肉の表面全体に、薄く塩コショウが目視できる程度。最悪味は微調整できるので、入れ過ぎにだけは本当に注意してほしい。私はやらかしたが、もう二度と同じ轍は踏まないと誓った。それくらいには痛い目を見る。
お椀三分の一だけ入れたパン粉に、隙間から見えるか見えないかくらいの量牛乳を注いで適当に混ぜて吸わせてボウルに放流。後玉ねぎ二つを根性で粗みじん切りにして同じく合流。それらを、師匠曰く「パンをこねるのと同じ要領」で手のひらの下の方、手首に連結してそうな部分で押し出すようにして粘り気が出るまで混ぜる。これでタネ完成。
ここからは多分我が家独特のやり方だが、まずタネをざっくり八等分にする。
その後丸めて、空気抜きの為に手のひらでキャッチボール。その後整形して真ん中をくぼませて並べる。……うちの場合、油を引いたホットプレートの上に。
そして中火で両方に焼き目を付けて、超弱火にして蓋を閉じる。
もしよければ、蓋を閉じる前に冷凍フライドポテトを冷凍のままこれでもかというほど叩き込んでみてほしい。
本当に美味しいから。背徳的なおいしさだから。あふれた肉汁を全て吸って、やわらか肉のうまみ全開なギルティポテトが完成する。うちでは大人気だった。
多分フライパンでも同じ事が出来ると思うので、ぜひやってみてほしい。
そんなわりと好き勝手な私のハンバーグ話だが、だいぶ変化球な要素があると重々承知している。なので、皆様の話もぜひ教えてほしいものだなアと考えていたりする。
特に美味しいレシピとか、お待ちしてます。打倒師匠!ってね。
美味しいハンバーグ、追求したい