第九話 「月の民」
登場人物紹介
蓬莱山輝夜
年齢:一億歳以上
能力:永遠と須臾を操る程度の能力
性格:おしとやか。
説明:月の姫。詳細は本文にて
鈴仙・優曇華院・イナバ
年齢:約1800万歳
能力:狂気を操る程度の能力
性格:礼儀正しい
説明:月に住んでいた兎の一人。月に人間(宇宙飛行士、アポロ13号)が攻め込んできたので地上に帰ってきた。永琳にはうどんげと呼ばれている。
「なぜここにいる、月の民」
輝夜が言葉を言い放った相手は、月の民だった。
何故こんな状況に陥ったか…一時間前に遡る。
九時。鈴仙が薬売りから帰ってきた頃だった。
「ただいま帰りました〜」
「おかえり、うどんげ」
そう、永琳と鈴仙が何気もない会話をしている時。
「…え?」
永琳の表情が驚きと不安に満ち溢れた。
「どうしたんですか、永琳様?!」
「来ている…やつらが…」
「やつら…?」
その時だった。
ドオオオオオン、と大きな音がした。
「今の音…あっちの方から…!輝夜様!」
永琳はそう言って走り去っていった。
〜その頃、庭では…
「何故、ここにいる!月の民…!」
そう輝夜が視線を向けた先には、数十人の人がいた。いや、この場にいる者全員、圧倒的な魔力量で、人とは言えなかった。
――月の民。
文字通り、月にある月の都に住む者達で、通称:「月人」と呼ばれ、輝夜、永琳は月の民である。だが幻想郷ができるずっと前、一億年程前のこと。カグヤは月の姫として大事に育てられたが、家庭教師の永琳に蓬莱の薬(不老不死の薬)を作らせ、手を出した罪で処刑されることとなった。だがカグヤの能力「永遠と須臾を操る程度の能力によって事実上殺すことはできなかった。
そこで罰として地上に落とされ、地球人に拾われた。それが昔話の「竹取物語」となる。大事に育てられて来た時、輝夜の罪が償われ、月からの使者が来る。だが、その使者の中にいた永琳とともに月の使者を皆殺しにし、地上に隠れ住むことになった。その後、幻想郷ができ、幻想郷を隠蔽する博麗大結界によって、月の使者はここに来れなくなった。…はずだったが、今、眼の前にいるのは月の使者だった。
すると、リーダーらしき男が言った。
「何故、ですか…。普通のことです、時間が経ったんですよ。」
「どういうことだ」
「あの頃から一億年。我らはあの小癪な結界を突破しようと、研究を積み重ねてきて、ようやく結界を突破できるようになった、ということです」
男は平然と、澄ました顔で言う。
しかし、輝夜の感情は相反していた。
輝夜の驚きは結界を突破してきたことだけではなかった。
それは月の使者達の実力だった。
一億年前とは明らかに魔力量や技術の格が違う。
そこに永琳が駆けつける。
「輝夜様!」
「八意永琳…共犯者の薬師か」
男が舌打ちをする。
「まあいい。今回の目的は連れ戻すというわけではないのでな」
「…え?じゃあ何が目的なの?」
そこに、衝撃の一言が突きつけられる。
「今回の目的は、蓬莱山輝夜、八意永琳…お前らの処刑だ」