第六話 「断絶」
――「原理を改変させる程度の能力」。
それは、相手と自分との間にある原理を違うものにする、という能力だ。
例えば、机に一つのリンゴがあったとする。
当然それは食べられる。
だが、この能力によって、「食べられる」という認識を別の認識に変えることができる。
だがその改変する認識は、相手の死亡に直結する認識(例:お前は攻撃できない。)などができない。
これがこの能力の実態である。
そして、レインが改変した原理は――
「巨大妖怪は殺せない」
レインの能力によって原理が改変する!
「ここからだ…巨大妖怪」
レインの紅剣が凄まじいオーラを放つ!
「紅剣・スレイ・ザ・ディザスター」
紅剣ディザスターから振り下ろされる一撃は、全てを堕とす。
バスン、と巨大妖怪を斬る。
「ヴォオオオオオオッ」と巨大妖怪がうめき声を上げるが、紅剣の衝撃は巨大妖怪に斬撃を入れていく。
本来ならとっくに死滅している攻撃だが、レインが変えた原理によって命を保っている。
だが、巨大妖怪にはダメージが蓄積していく。永遠に痛みを浴びせ続けることのできる状態となったのだ。そうすると相手に精神的苦痛も与えることができる。「原理を改変させる程度の能力」はこういった使い方をすることで相手の精神にまでダメージを与えることができる。
「お前は咲夜とレミリアに傷を負わせたからな。この程度の罰は当然だ」
だが巨大妖怪もその名の通りタフだ。何回攻撃を食らってもまだ弾幕を放つ程度の体力が残っている。
「ヴウアアァッ!!!」
巨大妖怪が命からがら放った最期の弾幕は紅剣の衝撃を避け、レインの急所を狙って飛び交う。
そして背後に集い、爆ぜる!はずだった。
それはもう、レインには通用しなかった。
「それはさっき見た」
と言うと謎の空間から四本のナイフが出てくる。
「集え、弾壊のナイフ」
レインの言葉によって四本のナイフがレインの左手に集まり、一太刀の剣になる。
「壊せ」
その一言により、剣は集って巨大弾幕になった巨大妖怪の弾幕に突き進み――
パアアァァン、とガラスのように壊した。
その後剣は4つに分解されもとに戻った。
これはレインの「神器を授かる程度の能力」で授かったもので、弾幕を破壊できるという特性を持っている。このナイフはレインの言葉一言でそのようになる。
「巨大妖怪、お前の勝手に飛び交う弾幕を見て再現してみたんだよ。結構使いやすいな。だからそれに免じてここらで逝かしてやるよ」
そういうと、レインは懐から一太刀の小刀を取り出す。
これは無響の刀。レインの能力「原理を改変させる程度の能力」の影響を無視する刀。
つまり、これで――
「お前を殺せる」
ドン、とレイン周辺の空間が歪む。
「お前の弾幕はすべて俺が解析し尽くした。レミリアを傷つけた罰としてもうちょっと痛めつけてやりたかったが…まあいい」
そう、レインが認識を変えたのはこのためだったのだ。
「ガアアアアアアァァッッ」
巨大妖怪が喚き声を上げるが、レインは進むのをやめない。
そして、レインと巨大妖怪との距離が1mほどになった時、レインが全てを断つ斬撃を放つ。
「断絶・奪命一断」
それによって、巨大妖怪は光り輝き、光の珠となって消えていった。