第十一話 「魔醒化」
「こっからは地上人の反撃だ」
レインがそうつぶやいた後、月の使者は一斉に弾幕を繰り出した。
すると、霊夢が一歩前に出た。
「霊符・夢想封印!」
霊夢のスペルカードが炸裂し、弾幕の6割程度が消し飛ぶ。
「レイン、後はお願い!」
霊夢がそうレインに言うと、レインは「あいよ〜」と返事をした。
「壊せ、弾壊のナイフ!」
レインがそう言うと、異空間から四本のナイフが出現し、凄まじい勢いで弾幕を破壊していった。
「今だ!畳み掛けろ!」
レインがそう言うと皆は一斉に動き出した。
「(ん…?あっちの方に魔力が少し高い集団がいるな…)」
レインがそう思想する。
「レミリア、フラン!お前等はあいつらを集中的に狙ってくれ」
「わかったわ」
「うん!」
そう言い、その場に残ったのは…
――レインと、ハクアだけだった。
「よし、やるか」
「…貴様、俺とやるつもりか?」
そうハクアが言うと、レインはあっけなく答えた。
「え?うん。やるつもりだよ」
「フフフ…そうか、ならば本気でかかってこい!」
「お前もな」
「生意気なっ!」
そうハクアが言った瞬間、二人の身体は消えた。
「月の民を舐めるなよ、小僧!」
ハクアがそう言うと、大量の弾幕が放出された。
本来ならこの一撃で消し飛んでいただろうが、今はレインの能力によってそれを不可能にしていた。
「飛び交え、弾壊のナイフ!」
そういうと、弾壊のナイフがレインの周りをヒュンヒュンッと飛び交い、レインに当たるはずだった弾幕がガラス玉の様に壊されていく。
「全然当たらないぞ?どうした」
「黙れ、ここからだ!」
ハクアがそう言うと、弾幕の形が縦長型になり、超速度で真っ直ぐ飛ぶようになった。
これは「縛り」というもので、弾幕の性質を変えて、欠点を作る代わりに他の良点を上げる、という弾幕の工夫術だ。
ハクアが縛りをした事で、弾幕が真っ直ぐにしか飛ばない代わりに、速度が上がり、それには弾壊のナイフはすぐには対応できなかった。
すると、ハクアの放った弾幕の一つがレインの頬にかすった。
「…ふーん、結構やるじゃん」
「そう言ってられるのも今の内だ!」
するとハクアが縛りをかけた弾幕にさらに縛りをかける!
数秒に一回しか打てない代わりに、弾幕の速度、威力を更に上げたのだ。
ドン。
ハクアが放った弾幕は弾壊のナイフの防御を通り抜け――
――レインの腹を貫通した。
「ッ…が…ふっ…」
そうするとレインは地面に倒れてしまった。
「ハハハハッ!ざまあみやがれ!俺を見くびるからそうなるんだ!」
「やばい…このままでは死ぬ…」
「ハハハッ!そうだろうそうだろう!」
「……なーんてな」
「…は?」
レインがそう言うと、周りの空気が歪む。
「ふう…これ疲れるから使いたくなかったんだけどなー…」
レインがそう言うと、ハクアが叫ぶ。
「なっっ…なんだその魔力…っっ⁉」
ハクアの言う通り、レインの魔力は先程からありえないほどに跳ね上がっていた。
スカーレット家秘技、その名を――
――『魔醒化』。