第一話 「始まりの紅」
「ふわぁ…」
とある日の、とある朝。俺はあくびをしながらベッドで起き上がる。
俺がぼやぁ…としていると、
「神太〜?早く起きなさい?学校遅れるわよ〜?」
と、一階からやけにうるさい声が聞こえる。
「今起きた〜」
と、俺も声を上げる。
その後、十分程で朝食を済まし、カバンを持ち家を出る。
暁山神太。近くの高校に通う、普通の学生だ。
近くに住む友だちと合流し、一緒に登校するのがルーティンとしている。
俺が集合場所まで行くと、友達が手を振っているのが分かる。
急いで行こうとすると、友達もこっちに駆け出す。
するとその時、うっすらと轟音が鳴り響きながら、何かが突っ込んでくる。
「(もしかして―)ッ―!!」
俺は言葉を発せずに、友だちを突き放す。
キキィィィィッッ!!!!!
ドン。
その瞬間、俺の視界は紅黒く染まっていった。
俺は友だちを命がけで救い、トラックに跳ねられた。
それが俺の最初で最後の、命を懸けた行いだった。
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目が覚めると、俺は紅いベッドの上にいた。
「…あれ、ここは…そっか、俺の部屋か…どうやら昔の夢を見てたみたいだな」
俺は、陽山神太。こっちの名を、レインザー厶・スカーレット。
俺は502年前のあの日、ここ、幻想郷に転生してしまった。