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13-2.狙撃手必殺の一撃を喰らい、アルズは窮地に陥る

「化け物か!」


 全身に脂汗が噴きだしたフレッドは恐怖で体が震えそうになるのを意志の力で抑えつける。視線を背けたくなるほどに恐ろしい存在が一直線に飛び上がってくる。フレッドは息を止め、狙いを定める間もなく発砲。


 当たるはずのない牽制弾。だが、命中。


 殺傷力が極めて高い大口径魔力弾が近距離で右肩に炸裂し、ルイドの体を落とす。


 フレッドは自身の成果を信じられずに、大いに困惑した。


「あ、当たった?! 何故、正面に身を晒した?!」


 模擬戦闘ではなく実戦で精霊武具使いに発砲したことは初めての経験だ。ルイドの戦闘力を知るフレッドは、自分の攻撃が当たるとは到底思えなかった。何かしらの罠を警戒したからこそ、追撃を躊躇う。


 フレッドは魔力を集中し、次弾を装填する。腕と精霊武具を繋ぐ血管のような管が、獲物へ牙を剥く蛇の如く大きく脈打つ。眼球の赤い瞳孔が、輝きを増していく。


「髪を染めていたが、あの精霊武具は間違いなくルイド隊長だ。背後からの不意打ちを避ける人が、俺の攻撃を喰らった。やはり何者かに操られている!」


 フレッドの魔力弾が軌道を変える特殊能力を持っているように、精霊武具は固有の特殊能力を有している。


「記憶操作能力を持つ精霊武具使いが敵に寝返った?」


 精霊武具の知識があるからこそ、フレッドはルイドが敵の能力によって操られている可能性を疑わざるを得ない。それは確信に変わりつつある。


「逃げ切れるわけがない! せめて脚を破壊する!」


 瞳孔が一瞬だけ拡大し、すぐに収束する。その瞳は、落下の衝撃で舞い上がった砂埃の中に、アルズの体をくっきりと映す。中庭の生け垣に埋まるようにして、漆黒の甲冑が倒れている。


 フレッドはルイドの甲冑を貫くため、魔力を集中する――。


 その魔力が上方で膨れあがっていくのを八咫烏は感知する。防御用の魔力場を貫通しかねないため、常より口早にアルズを急かす。


『アルズ。立ち上がれ! 追撃が来る!』


「ぐ……」


 右肩への直撃と落下の衝撃でアルズは跳びはねたい痛みに襲われているが、背中から痺れが全身に広がっているため、小さく悶えることしかできない。小烏丸を手放さなかったのは、痛みで右手が硬直しているからに過ぎなかった。


「ぐ……。右腕は繋がっているのか? 感覚がない。全身の骨が砕けた……。動けない……」


『負傷はない! ダメージは自己治癒能力で瞬時に回復する。残る痛みは一過性のものだ。押し殺せ!』


「うっ……」


 アルズは仰向けのまま、肘を使って体を起こそうとするが、全身の血管に金属でも流し込まれたかのように体が硬く重い。


『来るぞ! 頭部!』


 間一髪のタイミングで防御が間に合い、両前腕甲(ヴァンブレイス)が大口径魔力弾を受け流した。


「くっ……!」


『大口径弾を近距離から立て続けに喰らえば、いずれ受け流せなくなる。立ち上がれ! 負傷は癒えている。痛みを無視して移動しろ!』


 フレッドは最大魔力を注いで連射。彼の技量で近距離の動かない的を撃つのならば、伏せてライフルを固定する必要もなく、立った状態でも十分だ。


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