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第五十四話 神様一行、老人に会う。






 ドンブ村。

 人間の国『ヒュマノ』と吸血鬼の国『ヴラッド』の狭間に位置する、数十世帯が居住している程度の小さな村である。

 近くには森があり、様々なモンスターが出ることもあるが、村の自衛に任せたり、ヒュマノへと冒険者を要請してモンスターを狩ってもらっていた。


 しかし、最近はヒュマノと魔物の国との抗争が激しくなりつつあり、冒険者を要請する費用が高騰していた。

 そして、いざ高い報酬をギルドに支払い、依頼を送り届けたにも関わらず、依頼を受けてさえ貰えなくなったのだ。――それほど抗争が激しくなってしまっているということなのだろう。

 ヒュマノ以外の国の冒険者を要請するにしてもこの場所は遠く、依頼が数多くある中、向こうからわざわざ来る可能性は限りなく低い。


 よって、この近隣の村々はモンスター対策が万全には整えられておらず、潰れてしまう村まで出てきた次第だ。

 この村――ドンブ村も、潰れるならいっそのことヒュマノへ全員移住したいものだが、街での暮らしは村に比べて贅沢でお金がかかる。

 村一番の金持ちである牛飼いの家族でさえも厳しいものがある。

 ヒュマノへ助けを求めても、抗争中だから後にしろと言われて門前払いだ。


 ――そんな中、ある事件が起きる。

 近隣の村人が幾人か襲われてしまったのだ。――それはそれは恐ろしい魔物に。

 それはいつも決まって夜中にどこからともなく現れ、家を襲い、村人を殺し、血肉を食い、去って行く。

 なぜここまで情報が揃っているかというと、近隣の村々でも目撃情報が相次いで出てきたからだ。


 そして、それがこのドンブ村近隣でも現れた。

 犬歯を生やし、爪の長いその魔物はこちらをあざ笑うかのごとく、その姿を一瞬で消したという。

 暗がりで顔が良く見えず、どのような魔物かは分からなかったらしいが、その魔物の名は恐らく――。


 他のある村は対策として、やはり冒険者を要請する。

 しかし、先ほどの理由により通ったものはない。

 大金を支払って有名冒険者チームに依頼をした村もあったのだが、大きな仕事があると言われ、拒否されたらしい。

 もはや村々に残された力は魔物退治によって数を減らされた自衛村人しかおらず、滅びる運命にあるのだと村々の村長は悟っていた。






 しかし、そこに”救世主”が現れた――






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 白夜達は『ヴラッド=シュタイン城』を跡形もなく消し去った後、金銭などの荷物を持って交通機関――馬車の停車場がある場所へと向かっていた。

 森を抜けしばらく進んでいくと、馬車が通った後のような二本の線――わだちが地面に残されており、それを辿っていくことで、田舎のバス停のような、木で出来た停車場らしき場所へと辿り着いた。


「ふむ。書物で確認は出来ていたが、わだちがあって助かった。おかげで難なく辿り着くことが出来たな」

「はい。主人さま。これも日頃の善き行いの成果かと」

「ハクヤさんは良い人過ぎるからね〜。悪いことしたって、バチ当たんないんじゃ無いの?」

「それがなぁ……悪巧みすると大概上手くいかないってのが、俺の性らしくてなぁ……」


 などとたわいもない話をしていると、やがて一台の馬車がカラカラとやって来た。

 白夜達が停留所で待っているのを馬の操縦席に座っている者が見つけ、手を上げて来る。――乗車確認だろうか。


 白夜はどうすればいいのかよく分からなかったので、取り敢えず手を降り「おーい、乗せてくれー」と言っておいた。

 すると停留所の前で馬車が止まり、操縦席の者が降りて来た。


「どうも。旅のお方々。こんな所でお待ちだとは、いささか危険ですぞ?」


 その者はローブを羽織っていた。

 頭には緑のフードを被っており、そこから下は茶色の皮の素材で出来ている上着を羽織っていた。

 その言動から察するに、ここは待つべき場所では無くなっているようだ。

 抗争の影響だろうか。――本ではバス停的なことを書いていたのだが。


「あ、すみません。交通機関の馬車では無かったのですね。失礼しました。どうぞお先にお進みください」


 白夜は早合点してしまったと思い、謝罪する。


「ホッホッホ。良い良い。見た所、冒険者と言った所じゃろうな」


 その者はローブをたくし上げる。

 そこには――齢七十くらいだろうか。

 人間の老人の姿があった。


「わしはリンブルダム魔法学院学院長。名をホフキンスと言う」


 その老人は『リンブルダム魔法学院学院長』という、大層偉そうな自分の方書きを名乗ったのであった。






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