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第四十四話 真祖と現人神、認め合う。






 白夜とイルミナは無事仲直りをし、今後について語ることとした。


 まず白夜達はこの城から早々と離れなければならない。

 以前襲って来た奴らが帰って来ず、不振に思った者達が、いつ様子を見に来るか分からないからだ。

 以前は不意打ちで一撃必殺のスキルを放ち、見事撃退出来たが、白夜達はまだ異世界に来て日が浅く、次も同じ手が通用するとは限らない。

 ならば戦いそのものを回避する方が賢い。


「最長でも今日を入れて三日程だろう。早ければ早いほど良い。それまでに準備を済ませよう」


 白夜は二人にそう言い、準備をするよう促す。


「分かったよ。ハクヤさん、あたしは何をすれば良いかな?」


 イルミナはこくりと頷いた後に質問する。


「イルミナは取り敢えず、この城内に存在する通貨を集めてほしい。しばらく人間の国『ヒュマノ』に滞在するつもりだからな。金は必要だろう。

 それから、この塔内に何か希少な物があるなら、集めておいてくれ。その中で俺達三人でも難なく持てるくらい小さな物があるなら持って行こう。荷物が多すぎると後々面倒なことになるだろうから、持って行く物については後で皆で考えよう」


 金品はそのままにしておくにはいささか勿体無いと感じる。

 しかし、ここに居るのはたった三人。

 しかもこれから密入国に近いことをやるのだから、そんな者達があまりにも豪華な物を持ち過ぎているとなるとかなり目立つ。

 怪しまれて国に入国出来ないとなると、兼ねてからの目標達成からかなり遠ざかってしまう。


「分かったよ。取り敢えず塔内を探して、目ぼしいものを玉座の間にでも持って行こうかな」

「おう。それで良い。頼んだぞ」


 イルミナへの仕事はこれくらいだろう。

 次はコウハクだ。


「コウハクにも色々準備してもらうぞ」

「かしこまりました。とは言っても、わたくしは特に準備するものはありませんが……」


 コウハクはそう言う。

 しかし――


「いや、コウハクは一番仕事が多いぞ。まずは書斎の本の解析の続きだ。後でイルミナにも協力してもらって、本の表紙や題名を見て、必要そうなら俺が読む指示を出す。それが終わった後はこの城を皆で見て回ろう。何か今後役立つ物があるかもしれん。無理をしない範囲でスキルを使用するとしたら、どのくらいかかる?」


 そう言ってコウハクに問いかける。

 すると――


「書斎の本の解析、場内の散策ですね。前者も後者も含めると――二日で可能かと」


 コウハクがそう答える。――思ったよりも短時間に思える。


「……それは、本当に無理をしない範囲でか?」


 白夜はコウハクを真剣に見つめ、そう問いかける。


「はい。もちろんです。もう同じ過ちは繰り返しません」

「……そうか」


 コウハクの表情は自信に満ち溢れ、とても嘘を言っているように感じ取ることは出来なかった。


「……そうだな。疑って悪かった。じゃあ、頼んだぞ」

「いえ、わたくしの体を労ってくださり、ありがとうございます。もし辛くなった場合は休むように致します。任せてください!」


 コウハクは「むふん」と鼻息を立て、自信満々にそう答える。――これなら何も問題はなさそうだ。


「……二人って、本当に最近会ったばっかりなの? なんだかそうとは思えないくらい、信頼関係良すぎなんだけど……」


 イルミナがつまらなそうに不貞腐れながらそう返す。


「何を仰いますか! 主人さまはわたくしの全てを認めてくださり、このような素晴らしいお姿を与えてくださったのです! 何も疑いようがありません! それはもう数十年……いや! 数百年の信頼関係にも及びますとも!」

「そうだな。二日前だな。だけどコウハクはたまにおかしくなるけど、信頼できる良い子だぞ。安心しな」


 白夜はあることないこと言っているコウハクに対して軽くフォローを入れておく。


「……そうね。ま、まぁ、今となっては、あの時のコウハクの気持ちも分からないでもない……かな。ハクヤさん、すごく良い人だし、信頼できるよ」


 イルミナは照れ臭そうにそう言う。


「……ほほう。たまには貴女も良いこと言うじゃありませんか」


 珍しくコウハクがイルミナのことを認めた。――悪いものでも食べたのだろうか。


 そしてしばらく二人がお互いを見つめ合っているような状況が続いた。

 二人の間からは何やらメラメラとも言えるような雰囲気を感じる。


(……何これ?)


「……良いでしょう。貴女のことをわたくしの好敵手ライバルと認めます。精々、かかって来るが良いです」

「ふふっありがとう。でも良いの? あたし、負けないよ?」

「ふっ。わたくしに勝てるとでも?」


 すると、二人の間に何かとてつもないオーラを感じる。――見えはしないが。

 そしてやがてふっとオーラが消え去り、二人はどちらからともなく、握手を交わしていた。


(――ナニコレ?)


「あぁ……二人とも、仲良くなれて良かったな」


 白夜は二人に対し、そう楽観的に言葉を述べる他なかった。






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