2度目の人生 だよ!
ゲームクリアおめでとう!
「え?」
君は無事この世界で生を全うすることが出来たね!
「あの、なんの話ですか?それに君はどこかで...」
それじゃあ君を元いた世界に戻ってもらうよ!
「ゲーム?元の世界ってどういうことですか?」
バイバイ!また会おうね!
さっきまで静かに寝ていた僕は目を覚ました。
「戻ってきたのか...現実世界に...」
全てを思いだした。
僕がゲームを通じてとある世界にダイブしていたことを。
立ち上がり机の上にあるゲームソフトを手に取った。
〔恋愛メモリーズ〕
今巷で有名な学園恋愛ラブコメ。ヒロインは3人存在し、特に人気となっているのが佐倉 百。
今ではこのキャラを知らない人はいないと言われるほどの認知度を有している。
そして僕はこの子に恋をした。
幸運なことに今の時代はゲームの技術が発達していて、2次元の世界に実際に入ることができるゲームがあった。
僕はすぐにそのゲームを買い、恋愛メモリーズの世界に入り百ちゃんと付き合って人生を送ろうと思ったんだ。
だから僕は、もう一度やり直す。
目を瞑り、僕はもう一度世界へ入った。
コンクリートの坂を登り校舎を目指す。
学校の敷地内の掲示板の所には新入生でごった返していた。
クラスはA〜Dの4つあり、僕はA組だった。
自分の教室もわかり、向かおうと思った時後ろでヒソヒソと声が聞こえた。
「お、おいあの子見ろよめっちゃ可愛いな」
「新入生か?同じクラスだといいな〜」
僕はその話している人の目線の先をみた。
そこには桃色の髪の色をした美少女がいた。
「ごめんなさい、私も自分のクラスを確認したいのでちょっと空けてくれませんか?」
「えっと私のクラスは...A組ね」
その瞬間そこに居た約4分の1は歓喜し、残りは絶望していた。
教室に入り自分の座席を確認し席に着いた。窓際の後ろから2番目だった。
「おいっ、おいっ!」
後ろから声が聞こえて振り向いた。
「よっ!俺の名前は早音一雄って言うんだ、席近い同士仲良くしようぜ!」
「あ、うん。よろしく」
「それよりさ、みて見ろよ」
僕は早音が見ていた方向に顔を向けた。
「可愛いよな〜、佐倉さん。もう学校中の噂になってるんだぜ?すげ〜よな〜」
「佐倉さんか...なんだろうどこかで会ったことがある気がする」
「そうなのか?」
「いや、会ったことはないはずなんだけど...」
「お前まさか佐倉さんのこと好きになったのか?」
「え、いや、うん...多分好きかな」
「言っとくけどライバル多いぞ?」
「ははっ...」
それから数日間僕は佐倉さんに話しかけることはなかった。
僕はいつのまにか佐倉さんを目で追うだけで満足になっていた頃、課題を自分の机に忘れたのを思い出し、教室に戻っていた。
「あ...」
教室には佐倉さんが自分の席に着いて何かをしていた。
僕は...
→ 話しかける
→ 話しかけない
ガララ...
教室のドアを開け僕は中へ入った。
「あれ、佐倉さん何やってるんですか?」
「あ、石田くん。日直の仕事をしてるのよ。もう終わるけどね。」
「そういえば今日日直でしたね。僕は課題忘れちゃいまして」
そう言って自分の課題を手に取って見せた。
「ふふ、そうなんだ」
そう言うと、筆箱をカバンの中にしまい身支度を整え始めた。
「それじゃ私先生に日誌出しに行くね」
佐倉さんは日誌を手に取り教室から出ようとした。
(もしここで一緒に帰ろうと誘えたら僕のこれからの人生は変わるかもしれない...)
僕は...
→ 一緒に帰ろうと誘う
→ 今日はやめておく
「あ、あの佐倉さん!」
「え?」
ドアに手をかけたところで佐倉さんは振り向いた。
「あの、よかったら僕と一緒に帰りませんか?」
「え、あーうん良いよ。いつも一緒に帰ってる子は先に帰っちゃったし。それじゃあ先に校門で待ってて」
「はい!じゃあお先に!」
というわけで佐倉さんと一緒に帰ることに成功した。
(あぁ...まさか佐倉さんと一緒に帰れる日が来るなんて)
「...石田くん?」
「あ、はい!」
「もう急にボーッとしちゃうから驚いちゃったよ」
「す、すいません佐倉さん」
「ねぇ敬語やめましょうよ、私達クラスメイトなんだし」
「そ、そうですね...じゃない、そうだね」
「あ!」
佐倉さんが声をあげ横に立て掛けられていた看板を見た。
「美味しそう〜、ねぇ石田くんちょっと寄ってかない?」
佐倉さんが目を光らせて僕に言ってきた。
どうやらここのカフェのケーキが食べたいようだった。
「うん、良いよ」
「わぁ〜美味しそう!いただきま〜す!」
佐倉さんはケーキを一口くわえ美味しそうに食べていた。
「ごめんね、私のわがままに付き合わせちゃって」
「いいよいいよ、僕も暇してるからさ」
と言って頼んだコーヒーを口に運んだ。
「私甘いものが大好きなんだよねー、そんな中でも1番好きなのが...」
「シュークリーム?」
「!? そう!よくわかったね!」
「うん、なんかそんな気がして。シュークリームといえば駅前にあるあそこの店だよね」
「そう!あそこのシュークリームはとっても美味しいよね!」
「そうそうそれにさ...」
僕はコーヒーを飲みながらこの一時を楽しんだ。
店を出て商店街を歩いていた。
色々な店が並ぶ中、ふと窓に貼ってあったポスターに目がいった。
(春シーズンか...そういえばこの時期って)
「フラワーガーデン...」
「え、フラワーガーデン?」
「うん、そういえばそろそろだったかなって」
「石田くんお花興味あるの?」
「あ、えっと...」
(普通に興味ないけど、なんかここはとても重要そうな気がする...)
僕は...
→ 興味がある
→ 興味がない
「まあ好きかな」
「ほんと?私も好きなんだ!」
「それでね、今年もフラワーガーデンに行こうと思ったんだけど、いつも行ってる友達が用事が出来たから諦めようかなって思ってたの」
「だったら僕と行く?僕も誘ったけど断られちゃって」
「本当に?!それじゃあ今度の日曜日ね!」
2人で待ち合わせを決め、その過程でメアドも交換し解散した。
家に着き、そのまま自分のベットまで行って横になった。
(しかし今日の僕は驚くほど上手く言ったな。一緒に帰るだけならまだしも、まさか隠キャの僕があそこまで話が盛り上がるなんて。)
(しかし1番驚くことといえば)
(シュークリームや花のこと。僕はこの両方とも興味はないはずなのにまるでハマっているかのように情報が出てきた。)
「ま、いいか!佐倉さんとデート出来るんだし!」
僕は今から楽しみすぎて、毎晩眠れない夜が続いた。