絶望へのカウントダウン。開始
俺は今日の分の訓練を終わらせ、自室に戻ってきた。
普段は気にも留めない部屋の机だが、今日は違った。誰のか分からないが日記が置いてあったのだ。
読むかどうか悩んだが、持ち主がわからないのでは読んで確認するしかない。と自分に言い聞かせ、興味本位で読み始めた。
……
………
…………
・私が今日起きた地獄を忘れられる日は来ないだろう。この地獄の始まりから事の顛末をここに記そうと思う。
・ある日、私とベリアルさんの元に知らせが届いた。不夜の平原での魔物討伐戦に参加した騎士団が全滅して戻ってきたらしい。話を聞くと、死者は出なかったようだが黒い竜によって騎士団は撤退を余儀なくされたそうだ。
・あの知らせが届いてから3日後、私とベリアルさん、そしてクレイさんの3人で黒い竜の討伐に向かった。私は言い知れぬ不安に襲われたが、クレイとベリアルさんはどちらも単独で竜を討伐したことがあると言われ、私は2人を止めることが出来なかった。
・私は酷く後悔している。どうして2人を止めることが出来なかったのか。どうして2人を守ることが出来なかったのか。私だけ無様に生き残っている。いや、正しく言うならば私も死んだ、あの神は約束を守った。私を一度だけ助けてくれた。でもそれが良かったかどうかは分からない。
・私が1人歩いて王都に戻った時には、崩れた建物、業火に包まれた城、あちこちから聞こえる悲鳴。私はもうどうすればいいのか分からない。私は………
『これは妾からのサービスだ。ここまでしかこの時代に送ることが出来なかった。あとはそなたがどうするか、最後まで見させてもらう』
なん……だ…これ……
俺の……日記なのか?
それに最後の文字は……誰が……
「ジャンヌ!飯食うぞ!飯!」
ノックもせずにベリアルさんが入ってきた。
「ん?どうした?なんかあったか?」
俺は日記をとっさに隠し
「い、いえ…食事に行きましょう」
と言ってしまった。
シリアスゾーン!




